年末はジャズ喫茶@BUNCA 志木
年の瀬も押し迫って30日ともなれば、大掃除をするなりおせち料理を作るなりお正月の支度をしようというのが昔の大人のヒトの正しい姿でありますが、「昨今の若者たちにはあらたまってお正月を迎えようというような文化はもう無いんじゃないの?」って、先日行った床屋の旦那が言っていたっけ。
何でも、かつては12月ともなるとお正月前に髪をさっぱりして迎えようというヒトたちで床屋さんは大忙しの年末モードというものに突入したらしいのだが、最近は12月といっても普段の月と変わらぬ客足だそうで、とりわけ若者たちにその傾向が顕著であるとか?
ただでさえ少子高齢化が進んで、髪の無いハゲおやじが増えた上に若者が減っているところにもってきてこのような、若者の正月なんて別に特別じゃないもん的傾向はさぞや床屋さんにとっては商売上痛いんだろうなあ、などと同情しながら髪を切られたワタクシなのですが。
今回は髪を切る話じゃあ無くて、そんな若者同様お正月を前にして大掃除をするでも無く昼間っからジャズ喫茶に行ってジャズ三昧というお話。
というのも、年末は埼玉の実家に帰ってしまうので大掃除なんかしたくても出来やしない。じゃあその前にやるかっていうと、それもモチベーションが上がらないのでやらないんですよ。そう、それで埼玉の実家で「やる事無いじゃん」て暇こいていた時に「そうだ!ジャズ喫茶に行こう!」って突然頭の中にJRのCMよろしくマイ・フェバリット・シングスのメロディが流れちゃったものだから早速出かける事にしました。
こういう時の立ち上がりは早い。
出かけたのは実家の近くにある、東武東上線志木駅から歩いて3分ぐらいの至近距離にあるBUNCA(バンカと読む)に出かけました。そういえば昨年もにたような記事書いたかも。
ここのお店は、アナログ・レコードとオーディオ・システムが大変充実していて、ジャズ&オーディオ好きのワタクシにはたまらない空間なんですね。
さらに、このお店のマスター(女性)の選ぶレコードのセンスがとても良いので、せっかくいい音なのに変なのがかかるっていう心配も無い。
オーディオ・システムについて簡単にご紹介しますと、プリアンプはマッキントッシュのMC500(98万円)、パワーは同じくマッキントッシュのMC1000を二台(180万円)でスピーカをドライブしています。
スピーカがこれまた素晴らしくJBLの38cmウーファーをホーン仕立ての箱に入れたのが左右に二発ずつ、高音はJBLの 2440当たりと思われるドライバーにTADのウッドホーンと思われるホーンなのですがこれが最強!
実にきめ細かくしかもパワフルに音を再生してくれるんですね。
前にも書いたけれどピアノの和音が全部一音一音聞き取れるくらいの分解能。
サックスの音なんかも使ってるリードの厚さの番手が見えてくるような生々しさ。
そこで今回は、ただ聞きに行くのも能がないので自分のCDを持っていったんですよ。
本来ならレコードを持ち込みたかったんですが、もうレコードでは手に入らないシロモノだったのでやむなくCDで我慢しました。
そのCDというのは、これも以前本ブログに書いたポール・デスモンドのAUDREY Live in Toronto 1975というシロモノ。
Paul Desmond's Canadian Quartet
AUDREY Live in Toronto 1975
30年近く探していたのを今年の7月頃に偶然入手したんですが、このレコードいやCD について以前ここのお店のマスターとお話しした事があったんですね。
それで、せっかく手に入れたのを一度いい音で聞いてみたいなって思っていたものですから自宅から持ってきたんですよ。いわば確信犯なのであります。
年末だというのにお昼ちょい過ぎという事もあってカレーライスなど注文するお客さんでけっこう座席がいっぱいになっていて、忙しく動き回るマスターの隙を見て昔のジャズのヒトなのでコーヒー一杯で粘るワタクシがバッグからCDを取り出してリクエストしたらいやな顔ひとつせず快く引き受けてくださいました。
ワクワクしながらスピーカーから音が出てくるのを待っていると、デスモンドの軽く、でもよーく聴くと厚みのあるマイルドな、これもよーく聴くとカラッと乾いた感じの音が飛び出して来たじゃあありませんか!
我が家のオーディオ・システムから出てくる音とは音の厚みが全然違う。
このアルバムの聴き所は4曲目の「When sunny gets blue」だと思っているんですが、始めは早くその曲が聴きたいと思っていた。ところがスピーカが鳴りだすとデスモンドの音の良さに引き込まれ、他の曲もじっくり聴き込んでみたくなっちゃったんですよ。
おりしもスピーカの真っ正面に席を陣取っていたワタクシは、他の客の事など眼中に入れず「一人昔のジャズ喫茶攻撃」を開始。
両腕を組み、うつむいて目を閉じて一言もしゃべる事など無く、またコーヒーを飲む時に食器の当たる音を出す事にまで気遣いつつスピーカから飛び出してくる音に集中したのでありました。
ここのスピーカから出てくる音はスピード感、音圧共に素晴らしいので「音が出てくる」というより「飛び出してくる」と表現する方がぴったりなんですね。
ここまで集中してオーディオでの(生演奏でない)ジャズを聴いたのは久しぶりです。
生演奏を聴く時というのは、エリック・ドルフィー先生もおっしゃったように、瞬間で空中に消え去っていく音を一音でも逃すまいと必死に集中するので、繰り返し聞く事の出来るCDやレコードを聴く時とは集中力が全く違うものなんですが、ここではそのくらい集中して、「フレーズの一音も聞き逃さないぞ!」という気合いのもとに聴き込んだのでありました。
全6曲の演奏が終わる頃にはいささか疲れがみえて己の歳を感じたりしたのでありますが、最後まで集中して聴く事が出来ました。
演奏終了後、マスターにお礼を言ったら以前来た時に会話した事を覚えていてくださった。年に2〜3回しかこない金にならない客なのに、これは嬉しかった。
勢いでブログに書かせてくださいとずうずうしくも願い出て写真まで撮らせていただきました。
東武東上線方面のジャズ・ファン、オーディオ・ファンのみなさま!
途中下車してでも一度いってみる価値のあるお店ですよ。
う〜ん、これもまた以前書いた事があるような。。。
追記
ポール・デスモンドのAUDREYですが、たった今アマゾンで見たら輸入盤の在庫があるらしい、再発されたんですね、何処の国か知らないけれどえらいえらい。興味のある方今がチャンス!リマスターモノだったらワタクシももう一枚買っちゃおうかな。
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