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2015年1月29日 (木)

嵐の中の大移動@サンライズ 冬の玄界灘5

五島列島から日本海の壱岐への移動。
直線距離にしてもおよそ130km。
この日の天気は午後から雨、低気圧が玄界灘周辺を通過するらしく予報でも対馬では風右側20m ! 波高4mという予報が出ていたようです。これは言わば嵐の天気予報です。

日頃ワタクシの乗っている、平塚あたりの乗り合い遊漁船では波が2mの予報が出たら、船を出すことはまずないでしょう。
しかしサンライズ号は違いました。すでに我々のいた五島列島は既に2m近い波が立っておりましたがおよそ30ノット(時速50kmくらい)で走るサンライズ号も大きく揺れながらもグングンと走り続けます。
それは、この船の持つポテンシャルの高さと船長の腕の良さを意味していました。

操船パネルには船の現在地を示すナビゲーション・システムの大きなパネルがあり、船の進行状況をリアルタイムで見ることができます。

走るにつれて海は荒れてきているようで、時折大きな波に当たると船は波の頂点から一気に波の底に落ちるのでドシン!という音を立てて上下に揺れるようになることが増えてきました。

時計が2時半を回った頃、船は小さな岩礁の近くに止まりました。
そこは好ポイントのようで、船長はでかいヒラマサが出るよ。と釣り人を鼓舞します。
波は高く船は大きく揺れるもののかろうじて釣りのできる範囲内。
釣りバカ達は一斉にデッキに飛び出し釣竿を構えます。ところが次の瞬間「痛い!、ビリビリする!」という誰かの声が聞こえました。
船べりに体が触れたら感電したようにビリビリするというのです。

次の瞬間船の真上でピカッと稲妻がはしりました。
釣竿は電気を通しやすいカーボン製のものがほとんどだったので、このような状況の船上で釣りをするということは、避雷針を持って立っているようなものなので極めて危険なのです。
さすがに身の危険を感じた一同、釣りバカといえども一斉にキャビンに避難します。

船もこの状況では即移動かと思われたのですが、船長の「ここはいいのが出るんだよなあ」という判断でしばらく様子をみることになり、一同キャビンの中で待機します。
船べりに触ったらビリッ!ときましたよ、みなさん大丈夫ですか?船に落雷したら我々は感電するのか?自動車に落雷しても大丈夫なんだから船も大丈夫なのでは?竿に落ちたら竿は焦げるのか?などと落雷に対する不安と恐怖におののきながら経過を待ちましたが、事態に改善の様子が見られないため、再び壱岐に向けての移動開始です。

走り始めると波はさらに高くなっているようで、大きな波の上を突っ切った後にドシン!の回数は増え、間隔は短くなって行き、その振幅も大きくなり、ドスン!と落ちた時に体が一瞬中に浮くようになってきたじゃあありませんか!

船に迫り来る波は船に覆いかぶさるように高く盛り上がり、一瞬波と空しか見えなくなります。大波に突っ込む瞬間船長はスロットルを下げてスピードを落としさらに細かく舵を切って真正面から波に突っ込むことを避けて、次に来る波の頂点から底に船が落ちるのを緩和するのですが、それでも体が一瞬ふわりと浮き上がり次の瞬間ドスン!という音とともに衝撃が体に襲い掛かります。

スキーでいうと大きなコブに真正面から猛スピードで突っ込んだ感じですね。
足のクッションで衝撃を吸収しないと、全身が吹き飛ばされてしまう、あの感覚です。

ナビゲーションの画面は船が玄界灘に達していることを示していました。
ここから壱岐まで何時間かかるんだろう?と思いながらも一同の不安を煽ってはまずいと判断し口には出しませんでした。

いつの間にかキャビンの椅子には3人しか残っておらず、残り5名はキャビン奥で寝ていたようです。どうやら船酔いに苦しんでいる様子でした。

0220
船酔いに関してはワタクシは何故か強く、かつて一度だけ、岩手県大船渡港から沖の定置網漁を取材した時に、中型漁船で1時間ほど揺れ軽く頭に違和感を感じた程度。この時沖の定置網に着いた時カメラマンのアシスタント君は身動きができないほどの船酔いでうめき苦しんでおりました。

今は船良いにもいい薬があるようで、最も多くの釣り人に愛用されているのはアネロンという薬だそうで、今回もほとんどの皆さんが飲んでいらっしゃった。にも関わらず酔ってしまう方が続出。そのくらい海が荒れていたようです。

空は薄暗くなり始め、ナビゲーションの画面に早く壱岐の島が見えてこないかなあと思い始めたころ、船は沖の海のど真ん中に止まりました。
まさか、釣りするんじゃないよね?って思った瞬間、「水深20m」という船長のアナウンス。釣りするんだあ、って思いながらデッキに出てみると小雨の中船は大波に囲まれている。

それでも釣りができるとなると竿を持ってしまうのが釣り師のサガ。
ジギングロッドを手に左舷でジグをしゃくり始めました。
風上にあたる左舷側には波が正面から押し寄せてきます。
屋根ほどの高さに海面が盛り上がったかと思うと、今度は自分がその屋根の上の高さにいて波の底を見下ろしている、というような中での釣りです。

このような波でも船首デッキでキャスティングする猛者もおり、しばらくするとそちら方面がなにやら盛り上がっている。
魚がルアーを追ってきているようです。
間もなくヤッシーさんにヒット!この方本当にキャスティングが上手い。魚を探す目もいいので、魚のいる場所を素早く探し一発で仕留める才能を持っていらっしゃる。ワタクシごときに真似の出来るものではありません。

上がってきたのは1mは有ろうかという大きなサワラ。こんなデカいサワラを見たのは初めて、ところがこのあたりの海域ではアベレージサイズだそうで、恐るべし玄界灘。

0202

この後、岐阜Mさんもほぼ同型のサワラをキャッチされたようで、Y店長から「サワラがいるのでシルバーの小さめのジグを投げて早引きで広く探ってみてください」とアドバイスを受けたものの、ワタクシの頭の中はバースデイ・フィッシュ、ヒラマサの文字しか無く、しかもこれがおそらくそのラストチャンスであろうと思われたので、ヒラマサ狙いに徹したのでした。

何度か船を流し返したのち、本日の釣りは終了。
ワタクシのバースデイ・フィッシュ、ヒラマサは夢と消えたのでした。

船は一気に壱岐に向かって走り始めました。

海の方はというと、これまでの波にさらに輪をかけて大きくなっているようで、船が時折来る大波を乗り越えた後に来るドスン!という衝撃がドッス〜ン!!!と大きくなり、その都度体は中に浮き上がります。キャビンのソファに座っていても片手でテーブルに捕まっていないとたちどころに振り飛ばされてしまうほどの衝撃です。
3m?4m?屋根のような高さの波が船を囲みます。

船長は大波が来るたびにスロットルを緩めてスピードを落とし、すかさずハンドルを切って波を真正面からくらわないようにするのですが、それでも落ちた時の衝撃は凄まじい。

ソファの上に置いてたあった雑誌やクッション、テーブルのお皿や食べ残しのパンなど固定していないものみな床に散乱し、それを拾い上げてもまたすぐに落ちてまうので誰も拾おうとしません。否、テーブルの下に頭を入れて床のものを拾おうとした時に船が揺れたらテーブルに激しく頭を打ち付けてしまう為、危険でできなかったという方が正確かもしれません。

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窓から見えるのは水しぶきと斜めに傾いた大波と空だけで、周りの海の様子すらわからない状況、頼りになるのはナビゲーションのモニターと船長の腕のみ。
我々釣り人一同はなすすべがなく、島に着くまでの間じっと我慢するしかないのでした。

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こんな中でも船長は冷静で、「この前の時化の時は、今のスピードの四分の一しか出せなかったんですよ。いくら走っても全然進まないの」などと、もっとすごい時化の時の話をして我々の気分を紛らせてくれようとします。

船酔いはしないと自負しているワタクシですが、酔いよりも「一体いつになったら島にたどり着けるのだろうか?」という不安感が起こってきて、ナビゲーションのモニターを食い入るように見つめていました。
そこには広域の地図と狭域の地図の二つのモニターがあるのですが、広域で見ると船は島のすぐそばまで来ているのですが、狭域のモニターには陸地はまだ表示されていません。

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耐えること1時間、いや2時間とも3時間とも長く感じたのですが、モニターの上部に陸地を示す黄色い地形が現れてきました。しかし船の揺れる状況は変わらず、窓の外には相変わらず波と空しか見えない。そしてモニターに映し出された陸地が近づくスピードがとても遅く感じられ、やきもきさせられます。「本当に島はあるのだろうか?」とナビゲーションのモニターを疑いたくなったころ、進行方向右手に陸地が見えてきました。

陸地が見えてから港の防波堤を超えて構内に入るまでの時間も、これまた長く感じました。「時間というものはヒトの観念の中にあるもので実体などないものだ」、というようなことをTV番組の「夜タモリ」の中でタモリが語っていたのを思い出しました。

実際にはほんの数分だったのかもしれませんが、ワタクシにとっては、いやおそらく船長を含む全員がもっと長い時間を感じていたに違いありません。


船が防波堤を横に目て港内に入ったとたん、先ほどまでの揺れは嘘のように波は静かになり、船はスピードを上げて港内奥の停泊場所へと向かいました。

「ああ、生きてたどり着くことができた」
と安堵する一同の気持ちで船内の空気が軽くなったような気がしました。

船を停泊させ終え埠頭に上陸すると空はすっかり暮れていたのでした。

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