コモド島GTツアー その4@秘境を釣る
2015年2月19日。いよいよコモド島GT・フィッシング初日です。
朝7時、ホテルに迎えに来た派手なシールが所狭しと貼られた車にタックルを積み込み出発。港に向かいます。
港までおよそ10分、車を降りると目の前は桟橋。
船が着岸しようとしているとところでした。
この船の船長は敏腕船長。
コモド島と一つ手前のリンチャン島周辺のあらゆるポイントを知り尽くしている頼みになる男です。
船の大きさはおよそ35フィートくらいかな?決して新品の船ではありませんが、エンジンだけは昨年末新調したばかりのスズキの4ストロークの250馬力が2機、合計500馬力のパワーボートです。
現地ガイドのMさんによると、今フローレス島では最も速いボートだとか。
この船ならば1日で釣りをしながらコモド島一周も可能だとのことです。
午前7時半前、船に乗って釣りの支度を始めるといつの間にか船は走り始めており、桟橋が遠のいていきます。普段乗っているジーゼルエンジンの船とは違いガソリン・エンジンは音が静かなので気付きませんでした。
天気は雲間の所々から日が差し込み、風は弱く海は凪、釣りをするには好条件です。
気温は真夏の日本の朝と同じ、蒸し蒸しする暑さですでに体は汗ばんでいました。
ワタクシが最初に行ったのは日焼け止めを塗ることでした。
普段、夏の釣りでもあまり日焼け止めを塗ることの少ないワタクシですが、赤道間近の直射日光の強さは想像を絶すると事前に聞かされていたので、肌の露出部分全てに念入りに日焼け止めを塗ったのでした。
次にしたのは、スポーツドリンクを飲むこと。
真冬の日本から気温差30度のこの地への移動は、体に大きな負担がかかり、ただの水分よりもアルカリイオン系の飲料をたくさん摂って体調を維持することが大切ということを、これも事前に聞かされていたので、粉末のものを日本から持ち込みミネラルウォーターで溶かし濃いめのものを用意して飲みました。
動き出した船の上では釣り師一同思い思いのルアーをタックルにセットします、私が今回持って行ったのは竿三本のセット。どんなルアーをつかって良いのか分からないので昨晩のうちにY店長にアドバイスを受けながら選んだのが、ペンシルベイト(魚の形したもの)を一つにポッパー(口が開いていてぽこぽこ音のでるもの)を二つ。
まだ経験のない秘境の島に向かいながら心は高鳴ります。
港を出るとすぐにたくさんの小島が現れ、瀬戸内海の様に無数の島が点在するのですが、島の有り様が瀬戸内とはちと違う。
第一に人工構造物が全く見当たらないこと。港も家も電柱も何にもない手つかずの自然の島なのです。
島の形も切り立った崖から一気に山になっているものが多く、山の斜面も急峻で、映画のインディ・ジョーンズあたりに出てきそうな雰囲気の島です。
この地帯は、熱帯性でも一年間は長い乾季に三ヶ月ほどの短い雨季という気候で、今は雨期の終わりに当たるので、一年で一番緑が濃い季節なのだとか。
島を覆うのは淡い緑の木々や草たちで、小島では熱帯ジャングルのような様相はあまり見られませんでした。乾季になるとこの緑もなくなり赤茶けた島に生まれ変わるようなので、おそらくは巨大なディズニー・ランドのビッグ・サンダー・マウンテンのように変貌するのではないかと思われます。
このように無数に点在する小島の隙間を埋める海は、潮の満ち引きで激しく流れ、あたかも川のような急流が起こり、さらにそれが複数の方向からぶつかり合い複雑な流れを生み出します。そこには鳴門海峡の渦潮のように渦が巻くのですが、そういった潮のぶつかるところを我々の求めるGTは好むらしいのです。
島の威容と潮の流れに圧倒されながら走る事30分ほど。
エンジン音が下がりいよいよポイントに到着したようです。
釣りは朝一番が最大のチャンスということが多いので、一同それまで少し眠そうにしていた顔もきりりと締まり気合十分で竿を握ります。
8時20分、はじめに入ったのは小島の周りを川のように流れる潮がぶつかるところでした。
この船では船首のデッキで3人、後部で2人が同時にキャストできる広さがあります。
ワタクシは船首の3人の真ん中に入れていただきキャストを開始。
船長の「左で〜す」という日本語での指示に船の左に向けてルアーをキャストすると、水面に落ちたルアーはあっとう間に流されて船の後方に回り込み、後方でキャストする人の妨げになってしまいました。
ここでは常に潮の流れる速さを読んで、船の斜め前にキャストせなばならないようです。
ミヨシ(船首)の人がキャストしたのに続き、斜め前にキャストしてはルアーを動かし魚を誘い出します。
うねるようにヨレて流れる海面を踊るルアーにいつGTが飛び出すのか。一瞬たりとも気の抜けない緊張した空気が戦場に漂います。
何投かしていると突然誰かの「出たっ!」という声。
GTのバイト(ルアーに食いつくこと)です。
しかし魚は針がかりせず姿を消してしまいました。
こんなに簡単に出るものなのか?昨年沖縄のGT釣行では一匹が出るのに時間がかかったので、あまりにあっけなく魚が出るのに驚かされます。
「ポイント移動しま〜す」という船長の声に竿を上げ小移動。
次もまた小島に挟まれた海峡の流れの中を釣ります。
数投した所で後ろで投げていたNさんにヒット!
釣り開始後たったの10分程でもうヒットしてしまうなんて!釣れるときはこんなものなのか?と驚きを隠せないまま素早く自分のルアーを回収しファイトの邪魔にならないようにして見守ります。
「小さい」と余裕で話しながらファイトするNさん。
経験者は余裕だなあと思いながらファイトを見守ります。
短い魚とのやりとりにをしたのち、現地スタッフの手で網に入れられたGTは船尾のデッキに上げられ一同「やったー!、おめでとうございます!」と今回の初GTキャッチを祝います。
みんながペンシル・ベイトを投げていたので、そこに出たやつをポッパーでいただいちゃおうという作戦がハマりました、とNさん。
さすが、これまですでに100本以上のGTを手にしている GTマスターです、釣りの次元がワタクシなどとは全く違うところにある。
でも、関してばかりではいられない、他人が釣れたということは魚はいる。次は自分だ!という思いに期待はますます湧き上がり、心は釣り全開モードになっていきます。
何度目かの移動後、潮の流れにキャストしていたワタクシに初バイト!
手元に一瞬ズン!という重さが伝わり全身が硬直してしまいました。
魚は針がかりすることなく海中に消えてしまいましたが、人生GT初バイトに次こそは!とますます心は燃えていきます。
次の移動後、順番に釣り座を交代して釣っていく中で、ワタクシはミヨシに立つことができました。後ろにいたNさんから投げる方向を教えてもらいながら、船前方にフルキャストし流れのヨレの中をペンシルベイトを泳がせながら引いてきたその時、ズン!という手応えが伝わり次にグングンという魚の引き。
ヒットです!
しかし、さほどの引きではなく魚は小さいようです。
「なんか小さいですよ」と言いながらもコモド初ヒットに喜びを隠しきれずにニヤニヤしながら糸を巻いてくると、苦労することもなく上がってきたのはカスミアジという魚。これもGTの仲間の種なのですがGTほどは大きくならないもので、GT釣りの外道としてはよくかかる魚です。
コモド島初ヒットに喜び、写真を撮ります。
ヒレの付け根が美しくコバルト色に光る魚体に見入りながら手早く何枚か写真を撮りリリース(放流)します。
ここ、コモド周辺は国立公園内なので全ての魚は保護対象になっており、遊漁で釣れた魚は全てリリースが基本です。自ずと使用する釣針も全てバーブレス・フック(かえしのない針)。これを監視するためのレンジャーも同船しており規則に違反すると罰金、最悪は釣りの中止、禁止ということになりかねないという厳しい自然保護観察下での釣りなのです。
とりあえずの一匹に一同からおめでとうの言葉をかけられ気持ちも軽やか、コモドに来て良かった、という気分がやっと実感できた気がしました。
しかし、本命GTはまだ釣ったわけではありません。時間はまだ午前9時半、始まったばかりです。
GTを求めて船は次のポイントへとスピードを上げていくのでありました。
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