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2015年3月25日 (水)

マグロが食べられなくなる話

みなさん、うなぎが絶滅危惧種指定されたことはご存知かと思いますが、もう一つの皆さん大好きなクロマグロも絶滅危惧種に指定されたということはご存知でしょうか?
そんなことニュースで見て知ってらい!という方々にも是非読んでいただきたいのが今回のお話なんです。

新聞などでは、クロマグロの漁獲量を2015年から半分に減らし資源の復元に期待するなどと書かれていますが、事態はそんな甘いものではないんですよ。

先日、ある釣り業界のお祭りの中でマグロの資源保護に関するトーク・ショーが行われ、私も日本のクロマグロの現状を知らされて愕然とさせられました。
報告では、築地の仲買人をしている生田氏、三重大学の勝川先生、プロ釣り師の茂木氏に壱岐のマグロ漁師の方2名が壇上で窮状を訴えました。

それによると、かつて築地の市場に入りきれないくらい入荷された三陸沖産のクロマグロが今では皆無であること(生田氏)、壱岐沖でのマグロ漁獲量が10年前の10分の1以下にまで落ち込みもはや壊滅的であること(壱岐の漁師さん)などが報告されました。
(下のグラフ参照)
Imgp3394

マグロがここまで急激に減ってしまった原因は大きく三つあると勝川先生は上げます。

その1は
小さなマグロを獲ってしまうこと。下の写真は手のひらに乗ったマグロの赤ちゃんです。こういうものまで網で文字通り一網打尽にしてしまっているらしい。

Imgp3387


その2は
産卵で集まったマグロを産卵前にこれもまた巻き網で一網打尽にしてしまうこと。これもしたのグラフを見ると、マグロの産卵期である5~7月に漁獲量が集中していることを見るとわかります。

Photo

                                           月別マグロ漁獲量推移

卵を産みに集まったマグロを根こそぎ採ってしまうわけですから、魚が減るのは当然です。なぜこの様な漁をするのかというと、マグロの個体数が減ってしまったため通常回遊しているマグロを捕まえることが困難になってしまったためです。年を追うごとにその傾向が顕著になっているのも分かりますね。2014年に注目してみてください。
その3は
こういった漁業に対してなんの規制もなく獲り放題になっているということです。
こう書くと、ご存知の方は2015年からクロマグロの漁獲量を半分に減らす決まりができたではないか?!とおっしゃるでしょう。

Imgp3394

再登場した上のグラフは長崎県壱岐市におけるクロマグロの漁獲量推移ですが、10年前に比べ10分の1以下に減っているのが分かりますね。
今回の漁獲量規制の基準になる基準となる数値が2014年の数値ならば、まだいくらか望みがあるのですが、実際には10年前の漁穫量に対して半分というのが今回の規制の実態なのです。もうすでにそんなにたくさんマグロは獲れていないわけですから、それだけの漁の魚を産卵期に集中してとってしまっtらどうなるのか?
イマジネーション豊かな皆さんでしたら容易にご想像がつくはず。


以上3点が原因となって、日本のクロマグロはかなり危機的状況に置かれています。
勝川先生によれば今年の漁を規制なしに行ってしまえば、取り返しがつかなくなるかもしれないというほど切迫しています。

どのような規制が行われたら良いのかは、アメリカがいいお手本になっています。
前出茂木氏によると、アメリカでは地域差はあるものの、漁師は一定の大きさ以上の物を1日2本、釣り師は一隻で1日1本というふうに決められています。これは獲る魚の数を減らすだけでなく、獲る側はより大きいものを選んで獲ることになるので幼魚の保護にもつながります。

10年以上前のことでしょうか?大西洋クロマグロの危機的減少が話題になりましたが、このような規制が効果を出し、「今ではいつ行っても大きなマグロが釣れる」(茂木氏)とか。

こうした規制を日本にも早急に取り入れることが必要なのですが、農水省はあまり積極的ではなく前記した程度の規制にとどまり大きな期待ができないのが現状です。

前出壱岐の漁師さんたちは、すでに巻き網漁法を捨ててマグロの一本釣り漁法のみに転じたそうです。こうすることで小さな、大量のマグロを獲らずに大きいものを必要数だけ獲ることができるからです。


海の自然というのは大変豊かであるという事は、皮肉にも福島第一の事故が教えてくれています。
漁業を中止せざるを得なくなった福島沖の海の魚は、この3年間で3倍にも増えているとか。
マグロは成長の早い魚なので、生まれて6年もすると100kgを超える大きさに成長するそうです。
今なら、数年間国産マグロを我慢し、その後は厳格な規制を導入することで未来の日本のマグロはなんとか確保できる状況にあるのです。

この話はマグロに関したことではありません、日本の漁業全体の衰退は魚が獲れなくなったことが一番の原因です。かつての北海道のニシン漁や秋田のハタハタ漁など私たち日本人は学んできたはずなのに、三たび同じ過ちを犯そうとしている、というよりも何お教訓も得ていないといってもよいのではないでしょうか?

学校の社会の時間で習ったと思いますが日本は世界三大漁場の一つです。世界でも有数の魚の豊かな場所です。それは私自身全国を釣りして歩いて実感しました。魚種の多さが他国に比べ頭抜けて多いんです。その豊かさに甘んじて現状の漁業の衰退が起こってしまっているところが悲しいんですね。

とにかく今必要とされるのは、科学的な根拠に基づく規制です。これまでの「早い者勝ち」「先に取った者勝ち」というオリンピック方式をやめて、大きさと漁獲数を規制する必要があるのです。豊かな日本の海ならば必ず魚は戻ってくるはずです。魚を取って豊かな生活ができるようになれば地方の漁業も栄え地方創生にもつながります。

前出、三重大学勝川先生によれば、政府、農水省にこれまでこれらのデータを示し、規制の実行を求めてきたにも過かわらず、政府側の対応は実に遅いとのこと、今政府を動かすのは私たちみんなの声、世論が盛り上がることが大事だとおっしゃられていた。

マグロ好きのみなさんにお願いです。
まずはクロマグロの現状を知っていただき、機会があれば政府に規制を求める動きに賛同していただきたいのです。

これは、マグロだけにかかったことではないと私は考えます。
日本の水産資源がすべて先に取ったもん勝ちのような現状ですので、漁師、釣り人ともにすべての資源を守るなんらかの規制(ルール)を作る必要があると思うのです。
そうでないと、未来の日本に漁師はいなくなり、食卓の上がる魚はすべて外国産になってしまい、魚釣りは外国に出かけということが現実になってしまうからです。

外国の魚を食べればいいじゃないか?!という方々もいらっしゃるでしょうが、クロマグロを絶滅させてしまうということは、海外からの日本に対する信頼度を大きく下げることを意味します。そのような失態を犯した国が科学的根拠に基づき調査捕鯨を行うといったときに誰が信じてくれるでしょうか?

もう一つ残念な話があります。
絶滅危惧種に認定されると西欧諸国ではその魚の売り上げが下がるのが常なのですが、日本では上がってしまうのです。うなぎの時もマグロの時も、食べられるうちに食べておこうと、食べた方、いらっしゃるはず。皆さん自身のどこかに「早いのも勝ち」という精神が染み付いているようなのです。

今問われているのは私たち一人ひとりの問題なのかもしれません。
事はマグロだけの問題ではないと考えるのであります。

海の資源は国際法上では人類みんなの資源であると定められているそうです。それは政府だけのものでも、漁師だけのものでも、釣り師だけのものでも、食べる人だけのものではない、すべての人のものなのねすね。ということは、このような問題はすべての人が参加して真面目に考えないと、正しく解決しないということになるんじゃないでしょうか?

釣り師もたまには真面目に自然のことを考えるんです。そうしないと釣りができなうくなってしまうからです。
資料引用:壱岐市マグロ資源を考える会パンフレット 、 SFPC他


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コメント

enosさんのおっしゃるとおりだと思います。国民みんなで資源を真剣に考えなければならない時代ですね。

船上カメラマンさん
コメントありがとうございます。以前から釈然としなかったこの問題をスッキリ整理させてくださったのは、船上カメラマンさんの様々な活動でした。この場を借りてお礼申し上げます。
今、歯がゆいのは実効性のある行動を取りたくても、どこにどうしたらいいのかが分からないことです。私のような考えの人々はたくさんいると思います。そういう人たちの声をまとめ上げ、力にしていくような場所があったらと願うばかりです。

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