ジャズは人生なのだ!@音楽館 上野
人生60歳近くなると体のあちこちに不具合が出始めるもので、たまに昔の仲間が集まると病気自慢が始まってしまうなんていうのが良くある話なんですが、そういう話の後に一人になってからしみじみ思うのは、自分の人生は後どのくらい残されているのだろうかということなのであります。
そう思うと「やれるうちにやりたいことはやっておかないと」という思いが湧き上がってきて、自暴自棄にならない程度にやったもん勝ち的行動に出たりするのですが、僕が数年前にソプラノ・サックスを発作的に購入したのもそんな思いがあったのかもしれない。
高校生の時に聴いて以来のめり込んでいったジャズという音楽、その中でも取り分けジョン・コルトレーンの吹くソプラノ・サックスに憧れ、いつかは吹いてみたいと、以来ずうっと思い続けてきたものの経済的理由などで長年思いとどまっていたのが、人生も後半の後ろの方にさしかかり、もう買うなら今しかないなと思ったのが購入の動機なんですね。
そんなおっさん達が時々集まってはジャム・セッションしては、お互いまだまだ行けるぞ!と確認したのち、飲み会で病気の話と音楽の話を熱く語るというようなことをやっているのですが、今回のジャム・セッションの発起人はベースのSという男。
この男、実は本ブログでは過去のセッションの話の中ではジャーマネ(マネージャー)として紹介されていたヒトで、実は学生時代はアルトサックスを吹いていた。
その後社会人になってから楽器を吹くこともなく我がジャム・セッションでもジャーマネの身に甘んじていたのですが、昨年あたりからベースマンを志したようで、時々エレベを弾いていたりしていたのですが、思うことあってかウッド・ベース・タイプのエレキベース、というとなんだか変ですね。
大きさはウッドベースのネックの長さなのですがボディがなくて、エレキベースの様にピックアップ・マイクが付いていてそこで拾った音をアンプで鳴らすというシロモノ、をこの夏購入し秋にはベースマンとしてのデビューを目論んだらしいんですね。
ところがSの身に大変な危機が襲いかかる。
8月の末のある日の早朝、胸の苦しみを訴えて自らタクシーに乗り込み病院に行ったところ心筋梗塞で即入院、手術ということになてしまった。
心臓の血管が数カ所詰まってしまうという危機に拡張手術を受けること数回、なんとか生還したという話を9月に人づてに聞いた時はバンド一同ビックリしたものなのですが、10月に入り本人からのメールでセッションしよう!という内容のものが流れて一同一安心。それじゃあ、ということで今回のジャム・セッションが行われることになったのです。
詳しい経緯を知らなかった僕は、当日Sが持ってきた1.5メートルほどの長さのケースを見て思わずヘラブナ釣りの竿か?と思ってしまったのですが、ドラムのSはスキーの板?って思ったらしい。
そのくらいベースSがそういう楽器を買ってまでベースを本気でやっていることを知らなかった。
この日スタジオに集まったのはなんと、過去最高の人数ではないかと思われる10名のおっさん達(女性一名含む)で、S以外にも今年になって楽器を変えた、元ボントロからフルートにのH、アルトからテナー・サックスにもてを出したTなど、僕のソプラノも含めてフロント三人全員が学生時代の持ち楽器と違うものを手にしているのがおもしろかった。
みな、それぞれに思うところがあって新たな楽器に挑むというところでは一致しているのでなかなか前向きでいいじゃないですか。
それに体調を崩していたドラムのSも久しぶりに参加して顔が見られたのが嬉しかった。Sもなにやらシンバルのいいのを三枚購入したとのこと。この日これをセッティングして演奏開始。
曲はベースを始めて日の浅いSが出来る、あるいは、やる!と言い切った曲を順番にやっていくという形で進行しました。
最初は肩慣らしにブルースで、ということで「ブルー・モンク」を。
ベースの音、なかなかいいじゃないですか。マイクを通したウッドベースと変わらないしランニングだってちゃんとできてる。
練習したんだろうなあ、って思いながら自分のソロはなんだかワケわからなくなってちょっと混乱しちゃいましたよ。
一曲目を終わりフォー・ビートで音を刻むのはシンドイ、と早くも疲労してしまったベースSの選んだ次の曲はセント・トーマス。カリプソのリズムならベースは比較的手が抜けるらしい、しかし、一方でドラムのSの方は大変そう。
セント・トーマスならテーマはテナーだ!ということでアルトTからテナーTに変身したTにテーマを吹いてもらいスタート。
セント・トーマスの次はこれでしょ。と次の曲はマック・ザ・ナイフ(モリタート)。
そう、ソニー・ロリンズのサキソフォン・コロッサスのメドレーというワケです。
マック・ザ・ナイフは僕も初めてやるなあ、どのくらい吹けるんじゃろか?と不安になりながらも、ロリンズの演奏の音が体に染み付いているのでなんとかなったかな?
ドラムスとキーボードは二名いたので適当に交代しながら曲は進んでいきます。
なんか、軽いボサ・ノバを。というので今度はウェイブを。
この曲も簡単じゃないんだけれど、まあやてみるか、という感じやることに。
ここはテーマはフルートでしょ!と初心者フルートHに吹いてもらったら頑張って吹ききっていましたよ。すばらしい。
その後は、定番の「枯葉」、バラードをと言うので「ボディ・アンド・ソウル」テンポのイイのというので「ロード・ソング」そして「オール・ブルース」「ソウル・トレーン」などと比較的と普段やらない曲をベースSのオーダーにより選んで進んでいき、最後のとどめで「オール・ザ・シングス・ユー・アー」これ難曲なんですよね。でもやっちゃった。
さらにサプライズがあり、大学時代ジャズ研に出入りしていたM子ちゃんという女性が突然登場。彼女はスイス人の旦那さんと結婚しスイス暮らしをなさっているセレブなのですが、たまたま帰国していたというのでピアノのK子ちゃんが声かけてくれたりしてくることになった。
最後にあったのは24歳くらいの時だとおもうので34年ぶりの再会だあ!
久しぶりに会ったので思わず同窓会モードになり近況報告などの話に花が咲いてしまう中演奏は続けられ、三時間の楽しい時間は終わったのでありました。
なにがイイって、みんな本気で音楽に向かっているところがイイなあ。プロのピアノS及びK子ちゃんはもとより、楽器持ち替えのフロント陣だって、まだまだこれから一花咲かせるぜい!という意気込みが感じられた。
みんな、自分の人生を背負って、自分なりに気持ちを入れて演奏しているのが伝わってきて励まされましたよ。
最年長で動脈解離という爆弾を抱えながら毎回参加してくださるギターHさんもそういうことをギターの音で語ってくださっていたような。
ドラムスのSと久しぶりにセッションできたのも嬉しかったなあ。
彼のドラムはこちらがチョロいことやていると叱りつけるように煽ってくれるところがイイ。本気でやろうぜ!ていう音がいつも鳴ってる。
いつもクールなギターのAも何曲か気合いの入ったソロを聴かせてくれたし、みんなにそういう気持ちが伝わっていたのかもしれない。
ということで、演奏終了後は近くの居酒屋に流れて飲み会です。
以前はこちらの方が主だった感もあったけれど、今日は三時間もセッションしたのでみんな多少疲れたのか飲み会も三時間で終わって、比較的早い時間にお開きとなりました。
次回は忘年会も兼ねて年内にやろうね、ということが決まったので、また明日から練習しなくちゃ。こうしたセッションの度に自分の課題が浮き彫りになるので、次の目標が具体的にできるんです。
まだまだ練習すれば腕が上がることを信じてジャズに取り組んでいこう。
いずれは、どこかでライブやってみんなに見てもらいたいなあ、なんて夢もあったりするので頑張りますよ。人生は短いのでそう悠長なことも言っていられませんから。
作家の故開高健先生のおっしゃっていた「悠々として急げ!」という言葉をいつも胸に携えていこうと思っております。
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