レスター・ヤングはサックスの神様なのだ
タイトルから見ると古臭いジャズのおっさんが書いてる記事と勘違いされそうなので先に言っちゃいますけど、私自身はコルトレーン命の人(やっぱり古いか)なのであります。
今時レスター・ヤングといっても知らないジャズファンの方や名前は知ってるけど聞いたことはない、というジャズファンの方も多いのではないかと思います。
お蕎麦屋さんや焼き鳥屋さんでもモダンジャズが流れている昨今ですから、その辺からジャズの世界に入った方々にとっては遠いスウィング時代の古臭いサックス吹き、というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
最近、このレスター・ヤングの晩年のアルバム7枚をコンピレーションにした廉価CDを見つけて購入し、私自身も久しぶりにレスター・ヤングを聴いたのですが、その音楽の素晴らしさを再発見し、ブログに書いてみようと思ったわけであります。
1909年生まれで1959年没、というのでわずか50歳でこの世を去ってしまったレスター・ヤングは当時のジャズマンらしくクスリに溺れて早死にしてしまったわけですが、アルトではありますが同じサックス吹きでやはりクスリで早死にしてしまったチャーリー・パーカーの36歳に比べたらまだ長生きをしていますね。
演奏の方もチャーリー・パーカーほどは晩年は演奏がボロボロになっておらず、本コンピレーションアルバムにおいても最後の二枚を除いては素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
音の使い方はいわゆるスウィング・ジャズのヒトに比べてとても斬新なので、今聞いても古臭さを全く感じませんね。
分かりやすく言うと現在ではスコット・ハミルトンあたりのプレイスタイルがレスター・ヤングの真似と言ったら分かりやすいかな。
スウィング時代のアドリブのノリは4ビートにそのまま乗っかって吹きまくるスタイルが多かったなかで、ビート感を乗り越えてもう少し斬新な解釈をしたのもこの人のアドリブで、これはのちのチャーリー・パーカーにもかなりの影響を与えていると思われます。
レスター・ヤングを見いてみてください。気がついたらあなたは一緒になってメロディを口ずさんでいる、あるいは鼻歌を歌いだしたくなる。そのくらい良いメロディが次々と飛び出しこ気味良い音楽なのですよ。
ここからはちょっと理屈っぽい話になりますが、
ジャズにおけるアドリブというのは、フリー・ジャズを除いてはコード進行に合わせて使える音の中から本来のテーマメロディとは別のそれぞれの曲に対するメロディーを組み立てていくとうことと定義するならば、モダンジャズ以降のアドリブは全体のメロディ重視からメロディを組み立てるパーツであるフレーズ重視に変わっていったように思えます。
この閉塞感を打ち破り新しいサウンドを作り上げて行ったのが一つはコード進行を使わないモードという手法、もう一つはコード進行を無視してメロディを作るフリー・ジャズにそしてモンクやコルトレーンの様に一つのメロディを違うコード進行に分析するなどという手法などがあるわけですが、これらを総合的に理論化したのが現代ジャズのアドリブ理論やサウンドの構築方法になっているのだと思います。
話はさらに逸れますが、フリージャスはメロディを無視している十考えの方、それは間違いです。無視したのはあくまでもコード進行やリズムという決まりごとなので、最後に残ったのはメロディなんですね。
したがって自分の中に自分自身のメロディが無いと、フリー・ジャズで音を出すことはでき無いのです。
もちろん、フリー・ジャズの中にもフレーズ単位でサウンドを作る人はいますけれど、そういうのは大体つまら無いのですぐに消えていっていますね。
キース・ジャレットなどは美しくやさしいメロディと凶暴なフリー・ジャズ的メロディを兼ね備えたミュージシャンですが、現在活躍しているトップクラスの方々はみなさんこのようなところが共通しているようにも思えます。
話をアドリブの話に戻しましょう。
なぜこんな理屈っぽいことを書く中というと、アドリブの核にあるのはどの時代もメロディだということを見直しておきたかっったからで、新しいメロディー=新しいスタイルのアドリブを目指してミュージシャンは日々身を削る努力をしていると思うわけなのでありますね。
話をレスター・ヤングに戻しますが、むか〜し、1970年代の半ばにはラジオのジャズ番組がたくさんあって、その中でもTBSラジオで夜の10時頃に大橋巨泉さんのやっていた15分番組「巨泉アフター・アワーズ」という番組をジャズファンになりたての私は毎日聴いていて、ずいぶん勉強させられました。
この巨泉さんの言葉で「コルトレーン以降のジャズは、ジャズがメロディーを捨てて練習のようなフレーズの組み合わせになってしまったのに自分はついていけないのでジャズ評論家としての資格はないと自ら判断してジャズ評論をやめた」とおっしゃっていたのを覚えています。
当時の僕はコルトレーン信望者だったので、「コルトレーンだって自分のメロディを持ってるじゃん!それが理解できないなら確かに評論家としては失格だ」などと生意気なことを思ったのですが、確かに後半部分のところは納得させられるところであり、下手くそながら自分でもサックスを身としては常に肝に銘じながら演奏しようと心がけるのであります。
モダン・ジャズ以降のジャズしか聞いたことのないジャズファンの皆様、特にサックスを吹くアマチュアジャズミュージシャンの皆さんには是非レスター・ヤングを御一聴をお勧めしますよ。
アドリブをどうやって吹いていいのかわから無い人、フレーズの積み重ねでしかアドリブを組み立てられ無い人などには特にお勧めします。
アドリブを構築する際の大きなヒントがたくさんあるので必聴だと思います。
とりあえず、このコンピレーションアルバムなんかコスパが高いのでお勧めです。
一枚だけというなら、Keynoteレーベルへの吹き込みの一連の頃がレスター・ヤングの黄金期なのではないかと思われます。どちらも値段はあまり変わりませんが。ご参考になれ間幸いであります。
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音楽でジャズなど聞きませんが、なんか映画の世界のような異次元空間でありカッコイイ音楽ですね。粋な感じです!
レスターヤングなどまったく知りませんでしたのでYouTueで何曲か聞いてみましたー。正直他のサックス演奏を聞いたことないのでよくわかりませんが、素敵な音楽でした。えのさんブログタメになります!
コーヒー、そば、ジャズ、釣り。
人生楽しみたいですねー!そんな人生を送られているえのさん羨ましい限りです
投稿: 未来 | 2016年4月 8日 (金) 17時17分
未来さん
いつもコメントありがとうございます。
昨晩遅く、与那国島の遠征から帰ってきました。まだ眠い!笑
ジャズネタも読んでいただけたんですね。
しかも、レスター・ヤングを聞いてみていただけるなんて嬉しいです。
自分の知らなかった世界が広がるというのは楽しいですよね。
自分のまだ知らない、楽しいことや素敵なことってたくさんあると思うんです。
僕は好奇心こそが自分の世界を広げ、人生を豊かにしてくれる
と常日頃から思っているので、他人が面白そうにしているものには
とりあえず一度手を出してみる。ということをしてきました。
気がついてみたら趣味がどんどん増えて毎日が楽しい生活になっていましたよ。
お金も体力もなくても好奇心を満たす方法は色々あるので、この気持ちだけは
歳を取っても失わないようにと心がけています。
未来さんも是非人生をエンジョイしてくださいね。
与那国遠征シリーズも今日から随時更新していきますのでお楽しみに。
投稿: enos | 2016年4月11日 (月) 09時02分