能登輪島弾丸ブリ釣りツアー2016 その三@天翔丸 能登輪島
ゼロ泊三日能登輪島のブリ釣りツアー、午前11時を回り魚の活性が上がり始めて地合い到来という雰囲気の中、何をやっても釣れなくお手上げ状態にあった私が手にしたのは、先日買った重いジグ用の硬い竿、リップル・フィッシャーの5610でした。
この竿を買う気になったのは、二週間前の与那国島遠征でのジギング王の入れ食いを見せつけられたのがその動機でした。
これまで私は本格的なジギングロッドはプロセレのN-マルチしか持っておらず、この竿一本で140グラムから280グラムまでジグを引いていました。
ところが前回の遠征で、500グラム以上の重いジグを水深200メートル以上沈めて釣ると言うのを体験して、この竿一本では無理ということが分かったばかりか、重いジグを楽にしゃくれる竿を駆使したジギング王が化け物カンパチを手にするのを目の当たりにして、もう一本は重いジグ専用の竿が必要だなと確信したのです。
そんなことを考えながら遠征直後、Ebb&Flowに行った折にY店長に相談してみたら、「いいのがあります」と勧められたのがこの竿。
「与那国島以外の場所では使い道ある?」と聞いてみたところ、来年遠征を予定している小笠原やニュージーランド、男女群島あたりでも使えるし、さらには玄界灘でこの手の竿で重いジグを使うことで、軽いジグとは違ったフォールの仕方を演出したらブリに絶大な効果を発揮した、という話に及んだ時いつかは買おうと心に決めたのでした。
それでも、高価な竿を今慌てて買うことはないな、と即決で購入するのはやめ、そのうちお金のある時と思っていたところに起こったのが熊本の大地震。
リップル・フィッシャーさんは確か熊本の会社だったので、被害を受けたのでは、と思い店長に聞いてみたら、従業員の方に被災された方が多く操業が止まっているという話だったのです。
それを聞いて心が動き、今買っておかなければ、という気持ちになりお買い上げということになったわけですが、今回の輪島にはどうせ買ったのだから試しに使って感触をみてみよう、という程度の気持ちで持ってきた竿なのでした。
そんな竿もとりあえず船のお飾りになっていたのですが、午前中の何をやっても魚探に反応があるものの一向に食いついてこないブリに、ひょっとして…、と考えたのが、店長の重いジグの素早いフォールで食わせる、という釣り方。
ひょっとしたらハマるかもしれない、とこの太くて短い竿を手にしてジグケースの中から二本しかない380グラムのジグからピンク・シルバーを選びんでみた。
この色は先ほど岐阜支部氏が釣ったジグの色だったので、これがよかろうという判断でした。
そして、ジグを結び直して落としてみる。
初めて使う道具というのは何とも心躍るもので、それだけでもう釣れた気分にさせられてしまうところが面白い。
はじめは短くて太くて硬い竿に戸惑うものの、しゃくってみるとジグのバラウンスはよく、重いジグなのにそれほど苦無くしゃくることができるし、早くなった潮に流されることも無く、着実に底が取れるのが気持ち良い。
なんだか心の中で、だんだん絶対釣れる!という言葉が増大してきて、釣れる感じがしてならなくなってきたその時、底から二~三度しゃくってトン、とジグを落としたところにドン!!!という明確なアタリ、そして手に伝わるこれまでとは明らかに違う魚の重さ。
きた~!と思わず叫んでいたようで、いつの間にか船長がタモを持ってすぐ横の立っていた。
竿が硬いのでそれほどしならないもののドラグは鳴りっぱなし、ちょっとドラグが緩いねと少し締め込んでも時折グングンと頭を振られて下に突っ込まれるとジジジ!!!と糸が出て行く。
船長もこれはブリだなと太鼓判を押してくれたので嬉しくてたまらない。
何事か興奮して意味不明のことを言いつつも糸を巻いてくると深い群青の海の中からキラリと光るものが見えてきた。デカイ!と思った。バレてくれるな、とも思った。
最後は慎重に取り込むと、船長がタモでしっかり受け止めてくれ見事なブリをキャッチ。
やったー!狙い通りの展開。
作戦成功!快感!
昨年釣ったブリ二匹は人真似をして釣れちゃった、という感じだったけれど、今回は釣ったという実感が湧いてきて嬉しいことこの上なし。
とはいえ、釣り方自体は自分で考えたものでは無く事前にY店長からレクチャーを受けていたわけなので、まあ、半分くらいは自力で釣りました、という感じか。
この一本をきっかけに魚の活性が上がったのか店長にもヒット、ついで昆虫大好き氏にもヒット。
昆虫大好き氏のブリは見事だった、丸々と太い胴体、船長が「体の太い人が釣ると魚も太い」と冗談を言い笑い飛ばしていたが、本当にそういう気分にさせられた一匹でした。
店長いわく、地合いが来ているのでまだまだいけます、とのことなので傷付いたリーダーを50センチほど切り素早く結び直して再投入。
サッカー選手が点を取ると体が軽くなり疲労を忘れるという話を聞きますが釣りも同じ、一匹釣れると体が一気に軽くなり重いジグをしゃくるのも苦ではなくなる。
先ほどまでは重いなあと思いながらしゃくっていたのが余裕で軽くしゃくれるようになっているから不思議なものです。
二~三度しゃくっては止めてジグを落としまたしゃくる、というのを底から15メートルくらいまで引いてはまた底まで落とす、というのを繰り返します。
何度目か、しゃくり切ってジグを底に落とそうとベールを返したのに糸が出ずに止まったままなのですかさずラインスラックを取りアワセルと手元に重い手応え。
ブリです。
しゃくるジグを追いかけてきたのが突然のフォールに反射的に食いついたようです。
またまた来てしまった、と思わずニヤリとしながらファイト。
今回もドラグを時々鳴らしてくれるいいサイズ。
嬉しさのあまり何か言ったら船長がその言葉に反応して大受けしている。
なんでも私が「Y店長に買わされたこの竿はすごい!」というようなことを言ったらしい。こういうとっさの時には人というのはどうも正直にものを言ってしまうようで「買わされた」と言ってしまったらしいのです。
船長が喜んで「買ったんじゃなくて買わされたのかい」と聞き返しては笑うのに私まで反応して、「そうです。買わされたんです~!」と大はしゃぎ。
硬い、とか、どんどん大きくなるとかなんとなく話がお下品な方向に行くのにもあがらえず快感に身をまかせるのでありました。
この魚を釣り、このパターンはいけるということを確信し、再度リーダーを切って結び直し釣り再開。
次にヒットしたのは昆虫大好き氏、私のしゃくり方を真似したらヒットしたとおっしゃってくださりとても嬉しかったのですが、この方は私などと比べたら私が足元にも及ばないほどのベテラン釣り師なのですよ。
後でY店長に聞いたのですが、この輪島の釣りは独特な癖のようなものがあり、一般的に上手とされる規則正しいしゃくり方では釣れず、不規則な方が良いと言うことらしいのです。関東の釣り方ではダメと言っていたのもそういう意味らしい。
その話を聞いて、なんだあ、やっぱ俺ヘタなんじゃん!て思いましたが、まあ釣れちゃったからいいんです。
その後二時の沖上がりまでに同じようなフォールでのヒットで一匹。
しゃくって落とした時に一匹と、合計で四匹のブリをキャッチ。
一昨年の初めてのジギング時は二匹なのでその二倍を釣ったことになります。
しかも最後の一匹は最後の流しで昆虫大好き氏とのダブルヒット。
これはなんだか嬉しさを倍増してくれました。
二人で魚を手にし、港に向かって走り始めた揺れる船上で顔はにやけるばかり。
こういう時の為に冷やしておいた缶ビールを飲みながら港への船上、今日一日を振り返りながら余韻を楽しみました。
一時間ほどで船は輪島港に着き、帰り支度をしてからみんなでお風呂に入り汗を流してから岐阜経由の横浜へと向かいます。
車が走り始めたとほぼ同時に意識が遠のき眠りについてしまいました。
次に気がつくと車は金沢近くの高速の上を走っていました。
途中夕食をとり岐阜を経由し横浜へ向かう車の中で、今日の釣りについてY店長と振り返り、重いジグで釣るという事前の作戦とたまたまヒット・カラーを持っていたという運が偶然結びついたことを身にしみて感じました。
そして、このような釣り方を予言していた預言者Y店長の引き出しの広さにも改めて感心させられました。
ジャズの世界でも、一流ミュージシャンほど演奏する時のメロディやフレーズの引き出しが実に幅広い。一つだけの手法で勝負するのでは一流の音楽はできないのと全く同じ、釣りにおいても自然という何が起こるか予測不能なものを相手に、その時起こるあらゆる状況に合わせてその状況にあった引き出しを持つか持たないか、これが勝負の決め手になるのだということを実感したのでありました。
船長の話ではブリのエサになるベイトはイカかイワシだというので、イカがベイトの時に威力を発揮するスキルガンマ280グラムというジグもありかな?と思いましたが、Y店長はこれを試したもののさっぱりでした。とのこと。
やはり今日の釣りは難しい釣りだったようです。
さて、Y店長の予言はもう一つありました。
今回の釣りを始めた時、Y店長が私に言った「一昨年とは全然違っていますよ」という言葉です。
自分自身では客観的に自分の釣りの腕前がどうなのかなどということは判断できないもので、相変わらずのヘボ釣り師だと思っていましたが、この二年間で得た経験はそれなりに自分の引き出しになって蓄積されているようです。
この釣りを始めてちょうど丸二年の節目で同じ能登輪島でブリ釣りを釣ることができたことは、私の釣りの一つの節目になったような気がした今回の弾丸ブリ釣りツアーでした。
二週間後にも再びこの弾丸ブリ釣りツアーが予定されているのでまた楽しみです。
次回は時期的にキャスティングでも狙えるという船長の話なのでまた、お楽しみに。
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コメント
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素晴らしい釣果おめでとうございます!
臨場感を感じながら読まさせて頂きました!
引き出しというのはやはり色々ないといけませんね!正直まだ自分はその引き出しの多さはまったくないです。船釣を始めて2年。ルアー釣りを始めてまだ一年足らずですがやはり釣りをはじめる前に作戦を立てとかないといけませんね。
自分の理念は美しいものは素晴らしい!というのがあります。それはゴルフのスイングであったり野球のバッターのスイングや投手のフォーム。料理でいえば名店と言われる店が出す料理。
釣りでいえばノットやジギングのジャークのフォーム。
そんな美しい釣りを目指してます!
まだ僕の場合釣りの基本と言われる部分が
できてないと思ってるので基本をしっかりマスターしていろいろな引き出しを増やせていけばと思ってます!
あと新しいロッド良さげですね!自分はリップルからインチクのロッドがそろそろでるみたいなのを近所の釣具屋で聞いたんですがなかなか出ず待ち遠しい限りです!
話は違いますがコーヒーの生の豆なんてネットかなんかで買われてるんでしょうか??
コストが安いと聞くとさらに興味が湧いてきました(笑)
投稿: 未来 | 2016年5月 8日 (日) 10時05分
未来さん
コメントいつもありがとうございます。
釣りの引き出しといっても、私も人に聞いたり、人の真似をしたりということで
自分でモノにしている引き出しはほとんどないのですが、
幸運にもそれを教えてくれる人がいるのでなんとか釣りになっています。
この歳になって思うのは、何事も初心者が上達するには良い先生につく事だと思っています。
私の場合はEbb&FlowのY店長な訳ですが、彼の釣りを100パーセント信じて教えを乞うています。
そもそもこの釣りを始めたのも彼との出会いがあり、釣りを教えてくれるという事を前提に始めたのです。
さらに、遠征では他にも上手な方がたくさんいるので、いつも真似をしたり、わからない事を聞いたりして教えてもらっているんです。
そういう訳で、言われる通りにまずはやって試しているのが今の私の釣りなのです。
ですから、私自身には自分の理想のスタイルとかいうものは特になく、
とにかく吸収できるものは片っ端から吸収して、結果として自分なりの
スタイルができていけばいいなあと思っています。
新しいロッドは、まさかの大当たりですね。
こんないい買い物したのは初めて!(笑)と言いたいくらい。
実はおととい急遽、月末の男女群島遠征に参加が決まったので、
そちらでも試してみようと思います。
新しい道具で自分の釣りの幅が広がるのは楽しいですね。
お金はかかりますけれど。(^-^;
コーヒー豆に興味湧いてきましたか?(笑)
ネットで買ってるんですよ。ここです。↓
http://www.matsuyacoffee.net/namamame.html#スタンダード・グレード
はじめは煎るためのザルが必要ですが2000円ちょいなので、すぐに元が取れますよ。
ただ、焙煎すると家の中が強力にコーヒーの匂いになるので、
同居人の方に確認してから始めた方がいいかもしれませんね。
好奇心の強い方ならきっと面白くなってハマると思います。(笑)
それではまた。
投稿: enos | 2016年5月 8日 (日) 11時31分