消えやらぬ興奮 沖縄離島遠征2016 その八@第5寄宮丸
暗闇の中船が投錨したのは午後8時半頃。
船の周囲には船を取り囲む海以外は何も見えない。
一同はすでに思い思いの飲みのを手に乾杯を繰り返し、私などはアルコールがすっかり回っていい気持ちになっていました。
この日の夕食で最初に出てきたのは昼間ジギング王の釣ったスマガツオ。
関東地方にはほとんど出回らない魚なので馴染みないかと思いますが、このお魚、脂ののったまるでマグロのような味のする美味しいカツオであります。
スマガツオの登場に一同湧き上がるとシャワーを浴びてさっぱりしたジギング王がビールを片手に演説をぶつ。
「GTを釣っていない俺が釣ったスマガツオ、GT釣ったみんな食べるか〜い?」と、悔しそうにかつまた皮肉たっぷりに言うものだから笑いが止まらない。
この日のジギング王はスマガツオを釣った深場100メートルのポイント以外は、ほとんどGT狙いでキャスティングをしていたのだから、いったい何百投投げたのかわからない。
一方で二匹釣り上げたハット君は朝一の二流し目の一投目、最期の流しの一投目で釣り上げているのだから数十投も投げてないのではないか?
なんという不公平!なんという理不尽!納得できるわけがない!
最年長のジギング王自ら「皆さん年寄りをもう少しいたわりましょうよ」的な発言が出るのも致し方ない。
そんな話をしながら美味しいスマガツオに舌鼓を打ち一同幸せな時間を過ごしたのでありました。
会話の内容は、いまだ興奮が冷めやらぬGT連発の話が終わることなく続き、それぞれに自分に起こった奇跡的な体験を反芻するかのごとく、何度もなんども繰り返し話している。
日中「サービスのイチジルシイ低下」を口にしていたポメリンは「サービス良くなっていますねえ」と180度変わって機嫌が良くなっている。
そんな中、ハット君が私に見せてくれたルアーは凄かった。
針とルアーを接続するリングは楕円形にひしゃげ、ルアーの尻尾の部分は割れて中の芯材がむき出しになり、さらに後ろの針は一本が伸びていた。
「もう使えないから捨てる」というハット君に「記念になるからとっておけば?」といったら「いらないからお店にでも飾ってもらおうか」、という話になった。
人生初GTをキャチしたオサムシ君のルアーも凄かった。
新品のルアーがまるで何十年も使い古したかのように塗装は剥げ落ち、反対側には
機械で秒でも打ったかのようなGTの歯型が一列にくっきり刻み込まれていた。

GTという魚の顎の強さは私の想像をはるかに超えていました。
まるでサメか何かにかじられたような跡でした。
あの時、海の中にはいったいどれくらいの数のGTが泳いでいたのだろうか?
数十匹ではあれほどの激しいバイトは想像できないので、おそらく百匹あるいはそれ以上のGTの巨大な群れが水面のルアーを我先に奪わんと襲いかかったのではないか?
などど想像を膨らませれば膨らませるほど、あの一瞬の奇跡的な凄さが再び蘇り、気分は高揚するのでありました。
夕食のメインディッシュはステーキにハンバーグ。
ボリュームたっぷりの食事をとりながらワインをあおるように飲んだ私はすっかり酔っ払ってしまいました。
オサムシ君がコーヒーを飲みたいと言った時も、もう自分で入れるのが面倒くさいので「道具はあるから勝手にいれて!」と言ってしまった。
夕食の宴が終わったのは午後10時近く、一同順番にシャワーを浴びて体の潮を流し疲れた体をベッドに横たわって休めようという時、ふと外を見たら腰にバスタオルを巻いただけの格好で釣りをしている方がいる。
恐らくは興奮のやり場に困って勢いで釣りをしているか暗闇の中で一人嬉々として釣りをする姿には感動させられるものがありおもわず写真を・・・と思ったらヒット!の声。
いいサイズのギンガメアジを釣り上げている。
これを見て一瞬私もやろうかな、と身を乗り出したのですが体が言うことを聞かなくなっていた。
短時間にあのような筋肉の使い方をしたことはここ十年位上なかったので、珍しく筋肉が痛み肩周りを動かすのが辛くなっていました。
今日はお先に寝ます。
と一言挨拶してベッドに入リ目を閉じると、また、あの瞬間がまぶたに蘇ってくる。
何度もなんども同じことを繰り返し反芻するのだけれど、その度に心地よさと幸福感に包まれる。
釣りをしていてこんなに幸せに感じたことはあっただろうか?
この幸福感が麻薬のように次の幸福を求めてエスカレートしていくのではないか、そうやって世の大物釣り師と言われる人たちのように自分も変わっていってしまうのだろうか、などととめどなく考えるうちに意識は遠のいていたのでした。
翌朝四時半、目が覚めて起きると珍しく肩の周りが重い感じで疲れている。
まだ暗い中、早速釣竿を手に釣り始めたらすぐにヒット。
鋭い歯のヤマトカマスでした。
何人か起きてきて釣りを始めます。
私にはすぐに二匹目がかかりいい引きを見せてくれる。大きいぞ!と思いながら上げてきたら60センチはありそうな大きなヤマトカマスでした。
こんなのの歯に糸が当たったらひとたまりもないな、と思いながら三投目を投げるとルアーが落ちて行く途中で一瞬アタリがあったのでアワセルと、なんの抵抗もなくスッと軽くなり、上げてみたらリーダーが鋭利な刃物に触れたように実に綺麗に切れていました。
ああ、またお金が海に消えていった。と落胆するものの、こうなると分かっていながらあそこで止められなかった自分が悪いと気持ちを切り替えます。
とはいえルアーを失ったので、これ以上この釣りを続ける気分にはなれないので、早朝の釣りはやめにし朝食をいただくことに。
今朝はホットドックというのでエノカフェを開店しコーヒーを全員分入れてふるまい、気分をすきりと切り替えて遠征最終日の釣りに臨んだのでありました。
写真提供 : プロショップ Ebb&Flow 他
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