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2016年8月 9日 (火)

ジャズ的人生は楽しいのだ@パンプローナ 安曇野

以前から本ブログで書いているように、私、下手ながらもジャズのサックスを吹いているものであります。

今から40年前に大学のジャズ研究会というところに入り、本格的に練習を始めたのがきっかけなのでありますが、卒業後は仕事やら育児やらで楽器はたまに出して眺めるくらいの扱いだったのが、この数年、育児も大方片付き身も軽くなったので再開したのであります。

さらに、念願のソプラノサックスを買ってからは自分でもかなり一生懸命練習しているなと思うくらい、練習したので少しは音も出るようになってきた。

そんなタイミングで声がかかったのが一昨年のこと。

この10年くらい、大学ジャズ研究会の先輩ギター、通称イカさんという方が長野は安曇野でスペイン料理やさんをやっていらっしゃるところに、ジャズ研OB及びその周辺のジャズ好きが集まり、年に一度酒を飲みながら美味しいスペイン料理を食べつつジャムセッションをして騒ぐ、という大変贅沢な企画があり、これに誘われたのでありました。

一昨年、初めて参加した時のことは本ブログにも書いたのでありますが、昨年のことは書かなかった。


年が明けて2016年3月。
このOB会の常連だった先輩サックス氏が急逝された。
実は昨年このOB会で一緒した時、別れぎわに缶ビール片手に車の助手席でニコニコしていた先輩の顔を見た時に「ああ、もうこの方とは会えないかもしれない」と思ったのだ。

不謹慎ではあるけれども瞬間的にそう感じてしまった。
その背景には、彼が心臓やら血管やらのかなり重い病気を患い、学生時代の堂々たる体格は見る影もないほど痩せてしまっていたのを見たりしていたこともあったのだが、一番そう思わせたのは、この年先輩氏の吹いたサックスの音だったような気がする。

それはすごく抜けて綺麗なサウンドで、先輩氏がいかに日常的にサックスを練習しているのかを裏付けているもので、その楽器に向かう必死さが自分の人生の残りがそう長くないことを知っているかのように聴こえてしまったのだ。

先輩の死は私にとって自分でも意外なほど重く悲しく、すでに5ヶ月が過ぎようとしているのにその悲しみが消えることはなく、先輩氏の好きだった曲を自分で演奏していると涙が出てきてしまうこともあったりするのだったのであります。

そんなことがあり、今年のOB会はその先輩氏の追悼を兼ねて、彼が生前よく演奏していた曲をやろう、というギタリストの岩見淳三さんの呼びかけで集まることになった。

毎年8月の第一日曜の午後に集合して夜までセッションということになっているので、今年は8月7日の午後、長野県安曇野は松川村の国道からちょこっと入ったところにある、スペイン料理パンプローナに集合。

今年は6〜7年前に会って以来の先輩アルトサックス氏が三年ぶりに、さらには後輩テナーサックスが九州大分から遥々飛行機に乗ってやって来るというので、とても楽しみな会になる予感、という一方で、この二人はセミプロ的に日常あちこちでライブ活動をしているほどの腕前なので、この数年やっつけで練習した私などは足元にも及ばない腕前なので、そのへんの腕の差を見せつけられることに恐怖も感じてはいたのでありました。

午後4時過ぎに全員集合すると早速ビールで乾杯。
追悼の挨拶など儀礼的に一通り執り行った後は即ジャズ研モードに突入しジャズの話などに花が咲く。

今回もジャズ研以外の関係者で350クラブの三浦さんや同じく岩見さん繋がりの中田さん、井田さんというお二人のギタリストが参加してくださりジャズ談義に花が咲く。

一時間を少し回ったあたりでアルト氏が我慢できなくなったらしく「そろそろ演奏しよう」と切り出したのをきっかけにセッション開始。

 

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ハンク・モブレーで有名な「レカド・ボサ・ノバ」、スタンリー・タレンタインの「シュガー」や「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ」「ブルー・モンク」など亡くなったテナー氏のお好み曲を次々と演奏。

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前出のセミプロ的アルトとテナーの二人はうまいしいい演奏する。
アルトはバップスタイル、テナーはグロスマン・スタイル(分かりますね)とスタイルこそ違うものの、いい音を出してる。

特に驚いたのがアルト氏の演奏スタイルが以前に比べてぐっと大人びたいい演奏になっていたこと。音を大切に選んで吹いているのがわかるし無駄な音を出さない。
ああ、人は何歳になっても進歩できるんだなあと感心しつつ、自分の励みにもしつつ。

励みになるといえば、一昨年この会に初参加した時後、即ベースを購入して練習に励み、一年後の昨年、今年と、ぐんぐん往年の腕前を取り戻していきつつある大先輩のベーシスト氏もおり、こういう方のの上達度を見ていると自分もウカウカしていられない、もっとちゃんとやらなくちゃと思わされるのでありました。

追悼演奏が一通り終わり、一息ついた後は、ギターのゲスト中田さんの渋いギター演奏。パンプローナ店主のイカさんのギターソロ、ボーカルの三浦さんや朋子さんの歌などなどがあり、いい音楽を生で聴きながら美味しいお酒とお料理に満たされて幸せな時間が過ぎていったのでありました。

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言い忘れたてしまったがこのほかにもサックス陣は普段から私とセンションしているテナーのTと大先輩で最近やっと真面目に楽器の練習を始めたアルトの同じくT先輩がおり、最後はサックス全員前に出て、聴く方としてはかなりやかましい演奏だったのではないかと思うものの、吹く方としてはお祭り的楽しさ満開の演奏をして演奏終了。

演奏終了後も亡くなった先輩サックス氏の思い出やら、近況やら、ジャズの深〜い話だどに花が咲き信州の夜はふけていったのでありました。

そうそう、いつもこの会に縁の下の力持ちで支えてくれているジャズ研後輩で穂高在住のベースNという男がおりまして、この日も出ずっぱりで堅実なベースプレーで演奏を支えてくれたのでありますが、以前から彼の演奏する姿をみて、サングラスをかけたら絶対かっこいい、と確信していた私は、この日自分の釣り用サングラスをわざわざ持って行き、演奏する時に無理やり彼にかけさせて演奏してもらったのですが、狙いどおり実にかっこいい。

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見た目と言うのは実は結構ステージでは大切な要素で、見た印象で聞こえる音もなんとなく違った印象になってくる気がするから不思議。
私は大真面目に彼に演奏活動時のサングラス使用を勧めたのですが、本人は半分からかわれていると思っている節もあったので、この場を借りて大真面目な話だということを記しておきます。

なんだか、とても内輪的なお話なので関係者の皆さん以外にはピンとこない内容だったかもしれませんが、人生六十路を周りそろそろ最後の勝負に出なくては、という人たちの集まりというのは、なかなかそれぞれの人生の機微など感じられていいものなのであります。

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また来年もみんな揃って一歩前進した姿を見ようね!と励まし合うように言葉を掛け合いながら翌日のお昼前、安曇野を後にしたのでありました。


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コメント

報告ありがとう。みなさんの元気な姿を見られて何よりです。家がちょっと遠いのでなかなか参加できませんが、雰囲気共有させていただきました。

ボンちゃんの話題も出ましたよ。
中国人になったって。笑

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