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2016年12月30日 (金)

個性と発展+5 vs 個性と発展オリジナル@ギル・エヴァンス 

このところ幾つかのジャズ本を読んで、手持ちのレコードやCDを聴き直している。

一つは小川隆夫氏の「マイルス・デイヴィスの真実」という本の内容で気になったセッションやスタジオものなどの聴き直し、もう一つは中山康樹氏の「硬派ジャズの名盤50」という本で紹介されているレコード・CDの中から手持ちのものを聞くというもので、前者はマイルス・デイヴィスのレコーディングとそこに関わったミュージシャンの当時の録音を聴いて時代的検証を自分なりにしている。

後者の方は「ジャズに入門した人が一通りの入門者的ジャズを聴き終えた次に聴くべきジャズへの案内」的なレコード・CDの案内書なのであるが、ここに書かれているレコード・CDは新譜ではないにもかかわらずでぼくが持っているのはわずか9枚程度しかなく、所有していないもののほとんどが聞いたことのないものなので、文章による解説を読むと、所有しているアルバムの聴き方も随分自分とは違う角度から捉えていることなどから改めて棚から引っ張り出して聴き直しているという次第なのであります。


一番最初に気になって聴き直してみたのがギル・エヴァンス・オーケストラの「個性と発展」というアルバム。

1963年から1964年にかけて録音されたアルバムなのだけれど、中山氏の本によると現在手に入るこのアルバムは個性と発展+5というタイトルでLP時代のオリジナルには入っていなかった曲が5曲も入っている、しかもボーナス・トラックとして、オリジナルには入っていなかった「タイム・オブ・ザ・バラクーダ」という曲をなぜか一曲目に挿入されたことでオリジナル・アルバムと聴く印象が全く異なると言うのだ。

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さっそく、どれどれと2曲目から5曲目にいたる4曲だけをオリジナル・バージョンとして聴いてみることにした。

まずはオリジナルでは一曲目になる「バルバラ・ソング」から聴く。

ベースの刻むペダル音に絡むようにエリックドルフィーのものと思われるフルートが絡みつくようにリフを吹いたところにフリューゲル・ホーン、チューバ、トローンボーンなどの金管楽器をメインにした独特のアンサンブルにオーボエやフルートの柔らかな音色が絡み合いギル独特の世界が繰り広げられたかと思うと、そこにギルのピアノがメインのメロディ(リフ)を提示し、それを追うようにしてホーンアンサンブルが重なり・・・というように、中山氏の言うように確かにギル・エバンスのピアノがオーケストラの推進役としていくような流れになっている。

ここでいう二曲目ラスヴェガス・タンゴものギル・エヴァンスのピアノから始まり、ギル・エヴァンス特有のオーケストレーションの空間の中にギルがピアノの音をちりばめるように弾いていく、というのも頷ける。

オリジナルの4曲だけ聴いてみるとこのアルバムがモードのアルバムであることにも気づかされた。

簡単に言うとマイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」のようなモード構成の曲をオーケストラで全く別の世界を作り出していることに気づいたのだ。遅いか?😅


個性と発展+5での一曲目「タイム・オブ・ザ・バラクーダ」もウエイン・ショーターのソロをフューチャーしたモード曲なのでありますが、残りの4曲、プロクラメイション、ナッシング・ライク・ユー、コンコルド、スプーンフルは音楽のスタイル的にアルバムの統一感を損ねてしまっていることは間違いなく、コンセプト・アルバムとして捉える時にはオリジナルの4曲だけの方が素晴らしい。

とくに4曲目のエル・トレアドルはモードではなくトランペットが奏でるメロディにオーケストラが彩りをつけているだけの構成のバラードなのだけれど、アルバムの構成的に「カインド・オブ・ブルー」のフラメンコスケッチ的なモードのチェンジをしていないけれどもモーダルな感覚をよぶ構成になているのが印象深かった。

おそらくスイング・ジャーナル元編集長である中山氏は当然のごとくオリジナルの個性と発展を聴き込んで耳にこびりついていたところにCD化された個性と発展+5を聴いたものだから、「これは全く違うアルバムじゃないか!」と驚かれたに違いない。

ぼくのようにオリジナルの時代はお金がなくて買えなかったものが廉価のCDをてにして何も知らずに聴いていたものにとっては、「ギルエバンスがショーターとオーケストラでモードやってるやつね」くらいの印象で終わってしまうのだろうけれど、今回オリジナル盤の構成を知って聴き直すと全く違うアルバムに聞こえるのでありました。


他にもこのアルバムについて感じたことを書くと、エリック・ドルフィーのモノと思われるフルートやBob Tricarico(読みがわからん)のリード、とりわけオーボエが素晴らしい。フルートの中域の音がアンサンブルに実に効いている。

さらにこのアルバムではケニーバレルのギターが素晴らしい。
ケニー・バレルについては始めパーソネルを見ずに聴いた時はジョージ・ベンソンかと思ってしまったほど新鮮なサウンドを奏でている。
彼についてはヴィレッジ・ヴァンガードのライブくらいにしか知識のない僕にとって、バップのギタリストという位置ずけであったのだけれど、モーダルな中でのケニー・バレルのソロは新しく今風のサウンドに響いた。

ケニー・バレルのモード曲の演奏というのはあまり聴いたことがないので、もしYou-Tubeなどにあるようならばどなたかご存知の方は教えてください。

ウエイン・ショーターについては申し分のないソロを取るのであるけれど、「タイム・オブ・ザ・バラクーダ」「ナッシン・ライク・ユー」などは彼のソロが過ごすぎてウエイン・ショーター・ワールドになってしまっているあたりがオリジナルのアルバムから外された理由なのではないかなどど勘ぐってしまいたくなる。

ついでに、「ナッシン・ライク・ユー」という曲について思うのは、このアルバムでも、有名なマイルス・デイヴィスの「ソーサラー」でもなんだかとても唐突に始まり一気に終わったしまうところがなんとなく場違いな感じがしてならない。言い方は悪いけれど「オマケ」的な曲に聴こえてならないのはぼくだけだろうか?

さらにギル・エヴァンスのピアノ・プレイについて言うと、1957年発表のギルエヴァンス・アンド・テンというアルバムでモード以前のモダンジャズのギルのピアノがふんだんに聴けることも付け加えておこう。

さあて、次は何を聴いてみようか。

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JAZZ」カテゴリの記事

コメント

開高健の悠々として急げ。
なんか心に響きました。ありがたい言葉教えていただきありがとうございました!
かくいう私はジャズを真剣に聞いた事も聞く機会もあまりないので、わかりませんが音楽もいいですよね。まだまだ知らないことがたくさんあるので、色々知りたいものです!
そば打ちブログも待ってます(笑)

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