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2017年1月30日 (月)

Longing@DAVID AZARIAN

先の投稿が「がっかりジャケットなのに中身は良かった」という話だったので、今回は「ジャケットかっこいい」アルバムの御紹介です。

LongingというアルバムでリーダーはDAVID AZARIAN(デヴィッド・アゼアリアン)というピアニストです。

Dsc00007

アルバムジャケットを見れば、昨日のタコボウズ(失礼)とは違って端正な顔立ちのモノクロ写真にシンプルな筆記体でのアルバム・タイトルと黄色で書かれたリーダー名のコントラストがオシャレじゃあないですか。

みるからに中の音楽もカッコ良さそう!期待してしまいます。

今回も名前をなんと読んでいいのかわからないのでどこの国の人だろうとジャケットを見回したら1983年アルメニア録音とある。

アルメニアってどこだ!?と地図を見ればカスピ海と黒海に挟まれた南北に柱のような地形の中にひしめく小国の一つで、東はアゼルバイジャン、南にイラン、西にトルコなどと複雑に国境を接するところに位置している。
独断的にいってしまうけれど、見るからに政情が不安てそうな地域でありました。

歴史をひもとけば1983年と言ったらアンドロポフが前年にソ連(まだあったんですね)の 書記長になり東欧から湧き上がる民主化の波を粛清によって引き締め、ソ連復活を目論んだ時期でありますから、そういう時代の中でこのような音楽がアルメニアで演奏されていて、しかも録音が残っているというのは驚きでもあります。

アルバムのノーツだけではあまりに情報が乏しいので早速、またまたググってみたところやはりこのヒト、デヴィッド・アエザリアンというアルメニア出身のピアニストらしい。
まあ、なに人でもいいや。中身の音楽の方を聴いてみよう!

アルバムを聴いたらまず気になったのが録音があまりよろしくないところ。
ピアノの音色は妙に軽く、ダイナミックレンジも狭い感じ。
楽器の音量バランス的にはピアノは引っ込んでしまいベースの音が前に出すぎてうるさい。さらにピアノもベースも調律がずれているように聴こえる。

こう書いたところでこのアルバムはダメアルバムなのかと思われるようですが、なんというか不思議な魅力があるんですよ。

この録音のバランスの悪さと演奏の中で時にピアノとベース、ドラムスがバラバラなことをしているように聴こえるのですが、そこからから生まれる浮遊感がなんとも心地よいという効果を生み出しているのです。

収録曲は四曲。うち二曲がスタンダードで二曲がアエザリアンのオリジナル曲。

Dsc00010_2

一曲目はオリジナル曲。
曲のテーマがピアノのシングルトーンにベースが絡んで進行していくのですが、メロは美しいのに不安定なコード進行のAメロからちょっぴり安心できるサビに入ってまた不安定なAメロに戻るちょっと変わった曲。この辺りが政情の不安定さに由来するのかどうかは別にして、妙に不安定な中でクラシカルなピアノのタッチが妙に物悲しく響き渡り、そこに少々うるさ目のベースが少し調子外れに入って混ざると妙な浮遊感が生まれて心地よく感じる。

要所にジャズ的リズムのキメを入れたり、ドラムはフォー・ビートになったり16ビートになったり変化して一体どこに行っちゃうんだろうと不安にもなるんですが、ちゃんとキメを入れるむことでを演奏全体が不安定なままにならない。
それでも何ともとりとめのない演奏であることには違いなく、ソロのメロディは決して粋でもカッコよくもなく情緒に流されるままに歌い上げているだけのような気すらするのでありますが、妙な魅力があり引きずりこまれてしまう。ヒトによってはいぶし銀のようなピアノと表現しているようでありますが・・・

このピアニストは右手の高音をキラキラさせるのが好きなようで、ソロの随所に見られるのですがこれをリチャード・クレーダーマン的と捉えるのか否かは聞き手の好みの問題かな?そういえば1982年と言ったらクレーダーマン全盛の頃じゃなかったっけ?

とにかくどの曲も素直に同じテンポで演奏し続けるということをせずに、どんどんリズムやテンポが変わっていくのだけれども、調性は整っているのでけしてフリージャズ的な響きはしていないんですよ。

二曲目のChild is Bornのテーマなどは情感たっぷりに歌いあげて美しいのだけれど、時に臭いフレーズと僕には感じてしまうものもあり、聴いている自分がこのピアノが好きなのか嫌いなのかなかなか判断できない不思議な気分に成ってくる。

曲の最後はHappy Birthdayのメロディで洒落たつもりで終わっているのだけれど、そこまでの演奏とのギャップにちょっと唐突な感じがする。

三曲目のオリジナルも一曲目に似てメロディが悲しい。
でもベースがうるさいのでその悲しさを思う存分味あわせてもらえないところにリズムの変化で次なる世界に変わっていってしまうので、つかみどころがないのであります。

四曲目のジャイアントステップスはミディアムテンポで始まり例によって叙情的ねっとりフレーズで組み上げられていき、途中から倍テンポになりコルトレーン・テンポになっていくのでありますが、ねっとりしたピアノのフレーズは変わらずジャイアントステップスという曲を演奏する時に良く行われる「渇いた疾走感」的解釈とは全く違っているところが面白い。


なんだか、サウンド全体は一聴するとクリアで渇いたヨーロピアン・ジャズのようであるのだけれど、聴きこむほどにウェットな感じを受けるという不思議なアルバムなのでありました。
何れにしても、ぼくには捉えどころのない印象が否めなく、何度も繰り返して聴けばその良さもわかるのかもしれないけれど、そういう気分にならないんですよねえ。
ジャケットはカッコイイけど中身的にはカッコ悪いジャケットのナイポンクのストレートな演奏の方がぼくは好きだなあ。

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