トカラ列島遠征釣行 その4@マリンチャレンジャー号
トカラ列島遠征釣行二日目。朝5時に目がさめると船はすでにポイント近くまで移動してきていた。今日は一日ジギングでカンパチを狙う。もちろん大物を。20キロ、30キロ、40キロいや50キロオーバーと夢も欲も尽きない。
船長の作ってくれた朝食を手早に食べると早速釣りを開始する。
最初に釣れたのは7時過ぎ、根魚を狙っていた根魚王にカンパチがきた。カンパチは大きさの割にはよく引く魚なのでファイトは油断ならないし引きを楽しむことができる。

続いてきたのはトモでシャクっていた昆虫大好きさんに来た。よく走り引きがカンパチと違う。しばし緊張したファイトが続き上がって来たのは10キロ近いイソマグロだった。トカラ周辺には比較的多くいる魚だったが今回の釣行ではイソマグロはこの一匹だけだった。

このあとはもう入れ食い状態。ジグを落とせばカンパチが掛かる。船上はダブルヒット、トリプルヒット、挙げ句の果てには全員ヒットなどとカンパチだらけ。こんな釣れ方をしたのは初めてかもしれない。ただし大きさはなかなか大きいものが来ない。群れの中には必ず大きいのもいるはずなので小さいものから先にルアーに食いついて来てしまうようだ。




それでも入れ食いは釣り師にとって楽しくないわけはない。みんながカンパチの引きを満喫している。
中でも絶好調だったのは昨日船酔いでほとんど登場しなかったバイク大好きさん。僕のすぐ右隣で釣りをしていたのでよく見ていたのだが、ジグを落とすたびにカンパチが釣れていた。連続して7回くらいは魚がかかったろうか。使っていたジグを失い別なジグに変えても同じように入れ食いだった。しかもまだ船酔いから完璧に復活はしておらず時折うずくまり背中を震わせながら釣りをしている。
船酔いをしながらよく釣りができるなあ、とこの時は僕は傍観者で見ていた。僕は船酔いをしたことがないので船酔いを実感できなかったのだ。
ところがこの釣行から帰ってきた後、ある飲み会で日本酒を飲みすぎて久しぶりに二日酔いをしてトイレのお世話になった。その時思ったのはこんなに辛い思いをするのがわかっていても高いお金を払って釣りに行く人たちの執念というか狂気というか、たとえ今はアネロンという強力な酔い止め薬があるとは言っても、このリスクを承知で釣りに出かける人たちの釣りにかける情熱を尊敬せざるを得ない。


今回の釣行でもアネロンを飲んでいなかったのはおそらく僕とジギング王だけだった。他の釣り師の皆さんは薬を飲みつつ、船の揺れとタタカイつつ魚ともタタカウのだ。Fさんはアネロンが効かないと感じて二錠飲んだら効きすぎて眠くなり一時釣りを中断したとか。船酔いとのタタカイは本当に厄介なものらしい。僕がどうして酔わないのかは不明だけれど、おそらくはかつてスキーで頭から何度も転んで強打しているので三半規管がいかれてしまっているんだろう。ともあれタタカイが一つ少なくて済む僕としてはとても快適な船旅なのだ。

カンパチは昼頃まで釣れ続いた。もちろん一箇所ではなく、ポイントは移動しながら、さらには同じポイントを流し変えながらではあるがとめどなく釣れた。ジグの色もシルバー、ピンク、ムロアジカラーと、形も様々な形になんでも来た。こう書くと誰が言って何を落としても簡単に釣れてしまうと思われてしまうかもしれないがそれは誤りだ。

この船に乗っているのはみんなそれなれの経験豊かな手練れの釣り師ばかりだ。各自自分の持つテクニックを駆使しての上での入れ食いである。
初心者でもそれなりに釣れるだろうが、ファイト慣れしていない人がこれだけのカンパチをやり取りしきれようか。

昼近くなると潮が止まりあたりも遠のいて来た。それと同時にやってきたのがサメだ。釣れなくなった上に釣った魚を横取りするヤツが来たのではたまらない。船長は巧みにポイントを移動してサメの攻撃をかわしてくれた。
昼近くになり当たりが遠のいたので昼食をとり大きく移動することになった。移動はおよそ四時間。また今日もシエスタを味わえる。
思う存分釣りをして、おなかいっぱい食べてビールを飲み昼寝をしてまた釣りをする。釣り師にとってこんな天国のような経験はなかなかできない。


ゆっくり昼寝して起きた時、まだ船は走っていた。午後5時頃になってようやくポイントにつき再び釣りを始めた。
ここでもまた入れ食いか?と思ったが状況は大きく変わっていた。潮が緩み動かない。魚というのはハッキリしたものでどんなに沢山いても潮が動かない時は活性が落ちてエサやジグに食いついてこなくなる。そしてこんな時に逆に活発になる魚もいる。ヤガラという1メートル近くある細長い魚だ。
この魚は潮が緩んだ時に釣れるので釣り人には嫌がられるが食べると大層美味しく高級魚として取引されている。もちろん市場に流れる量は少ないので魚屋の店頭に並ぶこともないので見たことのある方は少ないと思うのだが。
このヤガラには黒っぽいアオヤガラと赤いアカヤガラがいて後者の方が上手いと言われている、このアカヤガラが入れ食いになってしまった。
午前中のカンパチ全員ヒットよろしくアカヤガラが全員ヒット。みんな長くて太い。美味しい魚と知っているので「うまい棒」などと僕らは言うのだけれど釣ったみんなの表情は微妙だ。
この魚引き味も楽しくなく重いだけ、海中に細長いものが見えてくるとガッカリする。
そんなアカヤガラの猛攻にあいながらもカンパチを求めて釣り続けた中僕に変なアタリがあった。
ジグがそこに落ちた瞬間、ブルン!という生き物のアタル反応があったにも関わらず巻き上げてくるとあまり引かない。またまたアカヤガラか?とも思ったが妙に重い。何だろう?と言いながら上げてきたら姿が浮かび上がってきた途端見ていた一同が声をあげた。
なんと釣れたのは超高級魚のクエだったのだ。

僕はやったー!と叫び隣の根魚王が悔しがる。船長がタモに入れた後初めて「おめでとうございます」と握手を求めてきた。そのくらい貴重な魚なのだ。思わぬゲストに僕の顔はほころびっぱなし、さぞやだらしない顔になっていたのだろう。
その後、暗闇迫るまで釣ったがあまり大した釣果は得られずに夜になり夕食となる。
この日の夕食は鍋。ビールを飲みながら島も見えない沖の海上で夜を迎えるのは初めての経験だったが海は凪いでいたので不安はなかった。
今日一日の興奮をみんなで反芻しながら鍋をむさぼり食べ腹一杯になる。
二日目のこの日はこのままこの海上で深夜まで過ごし、午前0時頃から移動して明日のポイントまで行くことになった。予報では明日は少々波が出るようなので沖の海上ではなく島周りを攻めることになりそうだ。
この晩は食後釣りをする元気もないほど遊び疲れていた。ビールとワインにもよっていい気持ちになってしまっていたので釣りはせずにシャワーを浴びて早々に床に入った。
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