信州バイクツーリング2019春 その2 美ヶ原・安曇野
信州バイクツーリング二日目
友人宅を朝7時半に出る。友人宅の庭から路地に曲がろうとした時に後輪を縁石に取られて立ちゴケする。
バイクを起こし動揺を隠せぬままに別れの挨拶をして一路美ヶ原高原に向かった。
諏訪から美ヶ原に向かうのには上田・佐久方面に抜ける和田峠を経由しビーナスラインに入るルートをとった。
国道の登り道は初めは退屈な坂道がつづく、月曜日の朝7時過ぎなので交通量は少ないが緩いカーブの連続で面白みがない。
道は新和田トンネルの手前から旧道に入ると突然雰囲気は林道風の一車線道に変わりうねうねと曲がる道になり楽しいのだが、いかんせん対向車に気を使うので気疲れするし、万が一ここで事故ってしまったらいったい誰が発見してくれるのだろうか?という恐怖もある。しばらく走るとビーナスラインにぶつかりここからがバイクツーリングの本領を発揮できる道になる。
比較的舗装も良い二車線道路にカーブがつらなる、スピードを落とすのに気疲れするほど他の車はいなく、時折美ヶ原方面から降ってくるバイク乗りと手をあげて挨拶を交わす。
バイクのライダーがすれ違う時に手をあげて挨拶するのは好きだ。
車でドライブ中すれ違う時に挨拶など絶対しないがバイクにはそれがあるのは同じバイク乗りとしての仲間意識のようなものを共有できる。一瞬ですれ違ってしまい次に出会うことがあったとしても記憶からは消えてしまっててもお互い手をあげることで気持ちに妙な一体感を覚えるから不思議だ。
山歩きでもすれ違う見知らぬ山行者とは挨拶を交わすのが普通になっているが、山登りの場合はお互い挨拶を交わすことで様子を伺い合うことで、遭難を未然に防ぐ効果があったりするのであろうと思うのだけれど、バイクの挨拶はそれとはまたちょっと違う感じがする。山登りをするときにすれ違う相手に一体感を感じることはあまりないからだ。
最近はやりの自転車のロードレーサーたちはすれ違いざまに挨拶をするのだろうか?
話を戻そう。
ビーナスラインに入ると快適なワインディングロードが続く。次々と織りなすカーブを車体を傾けて走り抜けるのはバイクならではの快感。下手くそ初心者ライダーにもそれなりの面白さはある。体を傾けてジェット機の旋回のようにカーブするのはスキーにも共通する感覚だ。
初めは両側を森に囲まれていた道は標高1500メートルを超えるあたりから笹の草原となり視界が一気に広がる。
道路も山の北側から南側に回り込んだようで、朝日が当たり眼下に広がる風景が眩しく見えてくる。
一旦道は下りになり尾根を回り込んだように感じた、その先に標高1700mの看板があり、ここからはヘアピンカーブの連続だった。
次から次へと続く登りのヘアピンカーブに体も心も揺られて心地よく酔う。車だったらハンドルとアクセルワークに翻弄されるだろうが、バイクは体が倒せるところが違う。体とバイクが一体となって弾丸のように突き進んでいくのだ。
ヘアピンをいくつか超えたところに標高1800mの看板があり傾斜のきつさを教えてくれる。
さらにヘアピンをいくつか曲がった所で1900mの看板があり視界が一気に開けて周囲の山々が足元に見える。
さらにヘアピンを超えたところに美ヶ原高原美術館の看板がありそこに向かった。
すぐにひらけた広い駐車場が見えてきたが、車はほんの二、三台止まっているだけ。バイクも数台あるだけだった。
ガラガラなので北アルプスを背景に写真が撮れるポイントにバイクを停めて写真を撮った。
美ヶ原は30数年前に撮影の仕事で何度か訪れて以来だ。
脳裏に焼き付いていた記憶そのままの風景に感動する。
北アルプス連峰、後立山連峰を正面左に、やや間があって山並みの向こうから顔を出しているのは館山の剣岳だろうか。
時刻は朝8時半、空気はややガスり始めていたが30年ぶりの風景を見ながら己のこの30年間を心の中で振り返る。
しばらく山を見たのち他の車やバイクが停まっている場所に移動した。
大型ワンボックスの後ろにキャンプ用の椅子を置いてコーヒーを飲んでいるカップルがいたので挨拶する。「夕べは泊まりですか?」と話しかけたら「そうです」と帰ってきた。日の出の北アルプスはさぞや美しかったでしょうねと想像しながら話しかけたら、ニコニコしながら頷いていた。
その先で自分よりやや年配の男性に挨拶されて話かけられた。男性は大型バイクが次々とやってくるのに感心しているようで、自分はもう歳なのでバイクは無理だから車で来たけれど、バイクはさぞかし気持ちよいでしょうね、と話す。
見かけは僕とそう変わらないおじさんだった。川崎からきたというので、僕は横浜から来ましたというと同じ神奈川県民ということで妙な一体感を感じた。
おじさんは定年退職して暇なのだが一人旅が好きらしく一人で車に乗ってはあちこちに出かけるのだが、どこもハイシーズンは避けて空いている時を狙って行くのだという。梅の開花前の水戸の偕楽園に行って、寒いだけの思いをしたことなど話していた。
9時になると高原美術館が開館する。この時に教会の鐘を打ち鳴らすのだが、北アルプスの連なる山々を遠く見ながら高原に響き渡る鐘の音を聞くというのもこれがなかなか風情があって良い。できれば一人で聞くよりも先ほどのコーヒーカップルのようにしてみたいものだ、などと思った。
いい山を眺めていると飽きない、南の風がやがて強くなってきたが標高があるのでぬるい風も心地よかった。
9時半までここで山の風景を堪能しいろいろな思い出や人生の反省などしてから山を下ることにした。
下りはじめは来た道を戻るのだが、下りのヘアピンに疲れた頃に松本方面への分かれ道がありそちらに曲がる。
そこからは林の中をひたすら下るカーブが続きこれもまた心地よい。時折先行の自動車に道を阻まれたが皆快く先を譲ってくれた。
林の中をしばらく走ると突然視界がひらけて湖が現れた。美鈴湖という湖だ。
ヘラブナ釣りの桟橋に何人かの釣り師がいるのを釣り師の僕が見逃すはずがない。即座にバイクを止めて一服しがてら写真を撮った。5分ほど見ていた廊下、何人かが竿を絞り込んでいたので魚は釣れるようだ。この標高ならまだこの時期が乗っ込みなのかもしれない。竿は15尺はありそうな長竿をみんな使っていた。
さて、いつまでも釣りを見ていてもしょうがないので再び下り始める。浅間温泉という温泉を超えてさらに下る。
この辺りは標高が下がってもヘアピンカーブが続くのだが、この辺りはローリング族が多いらしく、禁止の看板が立ちカーブの道路中央には縁石が打ち込まれてセンターラインを越えられないようにしてあった。
しばらく行くと突然民家が見えて山里の風景となり山道は終わった。
ここからは真新しい広い国道を抜けて一気に安曇野方面に向かう。
少し走って長野道をくぐれば見覚えのある安曇野の風景が広がった。
あまりにも安曇野が近いので面食らってしまうほど。
安曇野の松川村にある大学時代の先輩が経営するスペインレストランに向かったのだが、このままでは開店時間前に着いてしまいそうなので、安曇野のコンビニにバイクを停めて一休み。下界は暑いのでアイスを食べる。
一息ついでから混んでいる県道を避けて山沿いの道を回り込んで松川村に向かう。この辺りはスキー大好き時代に毎年のように春スキーに訪れていた八方尾根や五竜遠見などに通ったおかげで土地勘があった。
安曇野はちょうど田植えシーズンを終えていた。田植えが終わっている田んぼに水に遠く鹿島槍ヶ岳の残雪を移して緑と白とのコントラストが美しい。安曇野はこの時期の風景が一番好きだ。
少々暑かったけれど好きな風景の中を走るのは楽しい。やがて見覚えのある風景が現れ、国道から右折し線路を渡ってさらに右折したところにスペインレストラン・パンプローナがあった。
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