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2019年11月

2019年11月26日 (火)

岩見淳三&伊勢秀一郎DUO@ブラックサン 新宿

晩秋の土曜の昼、冷たい雨に打たれて新宿の歌舞伎町に向かった。歌舞伎町にある「ブラックサン」というライブハウスでギターの岩見淳三とトランペットの伊勢秀一郎のデュオを聞くために出かけたのだった。

この二人の演奏を初めて聴いたのは岩見のジャズ&ボッサⅡ というCDアルバムだったが、そのCDの発売記念ライブで生の二人を聴いた。

この時の様子は本ブログにも書き連ねたので詳しくはそちらを参考にされたい。

その時の演奏はドラムとベースの入ったクァルテットでの演奏だったが今回はギターとトランペットのデュオ、一対一の勝負である。

狭いエレベーターで4階に上がるとブラックサンの扉があり、中に入ると暖かい空気とすでに来ていた友人の顔が僕を迎えてくれた。

 

早速ビールを注文し乾杯する。

集まった客は14〜5人か、それでテーブルとカウンターがほぼ埋まるほどの小さな店だったが、ジャズクラブとしてはミュージシャンとの接近戦を楽しめるので贅沢な空間だ。

ステージを眼の前にしたテーブル席に座った僕は、一メートル少しの先に岩見と伊勢が立っている。

演奏が始まるまでの時間、仲間たちとこれから始まる演奏にワクワクしながら演奏への期待を語り合う。

やがて時間が来て演奏が始まった。岩見の挨拶に続いてスタンダードナンバーから始まる。

この日の岩見はアコースティックギターで演奏に臨んでいた。お店の広さからすると、その生の音を楽しむにはちょうどいい広さで、ギターの細かな息遣いまで楽しめるほど細やかな音まで聞き取ることが出来た。

 

Img_2241

 

岩見のギターから発せられる音は、ある時は繊細に、ある時は華やかにまろディーを奏で、そしてリズムを刻み、ベースを進行させる。

ある有名な指揮者の言葉だったか、うろ覚えだが、「ギターは小さなオーケストラだ」というような言葉がある。岩見のギターはまさに膝の上に乗ったオーケストラのように様々な音を奏で楽しませてくれた。

一方の伊勢トランペット。彼の吹くトランペットの音色はその人柄から来るのか、暖かく柔らかい、聴く者をふんわりと包み込むような音色だ。

二曲目は岩見のオリジナル。ここ数年、岩見はオリジナル曲を書くようになったがどれも素敵なメロディの曲が多い。この曲も柔らかなメロディに聴いていてアルファー波が脳を包むような曲といったらいいか。ここでの演奏が初演ということで貴重な演奏を聴くことが出来た。これから何百、何千回となく演奏するであろう初回を聴けるというのは嬉しいものだった。

三曲目はブルーベックの曲、さらにディズニーナンバーで「星に願いを」。この辺りですでにバーボンをロックで飲んでいた僕はいい気分に酔っ払って細かい記憶はなく、演奏の心地よさに身を委ね切っていた。

このあと古いスタンダードや岩見のオリジナルなど全6曲ほどで前半が終わり休憩。

休憩中に岩見が作曲を始めるいきさつなど話を聞いて話が弾んだ。

後半に入ると伊勢の選曲の曲が何曲か入ると演奏の雰囲気が少し変わった。

というのはモーダルな曲やショーターの「美女と野獣」(ディズニーの曲とは全く別の曲です)などいわゆるスタンダードと毛色の変わった曲を演ったのだ。

岩見の演奏はオーソドックスなスタンダードのチョイスが多いが、実は僕はこの手の新し目の曲を演奏する岩見もスリリングで好きだ。それは曲の作りの違いからスタンダードのコード進行べったりの曲でのアドリブとは違った岩見の顔が覗き出てみることができるからだ。

そして、またここでの伊勢の演奏が素晴らしかった。ある曲ではミュートをつけてトランペットを吹いたが、それはマイルスのミュートトランペットに通じるような、繊細で孤独で物悲しい音色に泣かされた。

そしてショーターの曲で見せた、伊勢の激しいトランペット。激しくも音色はどこまでも優しく聞く者の心を大きく揺さぶる素晴らしい演奏だった。

僕はすっかり感動してしまい体は熱くなり心は激しく震えた。アンコールの曲名も忘れてしまうほどだった。

全ての演奏が終わると緊張した空気は解き放たれて、店の中には和やかな暖かな空気が戻った。

ミュージシャンと写真を撮るもの、演奏の興奮を超えにするものなどいる中、僕は伊勢さんと握手していただき無理を言ってトランペットの写真を撮らせていただいた。

彼の素晴らしい音色を出すトランペットの写真をどうしても撮りたかったのだ。本来なら走者の顔を入れて撮るべきところを、無理を言ってトランペットを持つ手だけ撮らせていただいた。

 

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そのトランペットはあちこちに修理の後がある年季の入ったものだったが、それが繰り出す音と同じく暖かみのあるとても重厚で宝物のように見えた。宝物を見た僕の心は満たされた。

再開の挨拶をして店を出ると、僕は再び冷たい雨の街に包まれた。

 

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