サックスに夢中
昨年末からサックスの練習に夢中になっている。
これまではたまに取り出しては吹く程度の練習で、当然腕の方も一向に上がらなかったのでありますが、昨年末、ちょっとしたお手本になる演奏を耳にしたのと、その演奏をお手本に練習することで、効果的な練習の仕方がやっとこの歳になって分かってきたというのがその理由。
サックスを初めて買ったのは高校三年、いや浪人中だったかな?
はっきりしないのだがそのくらいの歳の時に高校の同級生からヤマハの一番安いテナーサックスを譲り受けたのだった。
そして、大学ではジャズ研に入り、というより、ジャズ研のある大学を選んで進学したのだが、ともかく無事に我が青春の夢のジャズ研に入りジャズ三昧の生活が送れると思ったのだが、これが大きな誤算で、当時のH大ジャズ研は僕の目から見れば堕落しており、ジャズの研究よりも酒飲みに熱心で、ジャズに詳しい先輩もあまりいなかったし、一部の演奏が上手な先輩たちはプロを目指して、サークルから少し距離を取っていたようにも見えた。
そんな中でも何人かの先輩に色々教えてもらいながらロング・トーンから始まりスケール練習など日々やっていたのだが、一方で当時僕の大好きだったフリージャズをやりたい衝動もあったところに、ニュージャズ・シンジケートというフリージャズ集団がH大を本拠に活動しており、その運営を担っていたのが我がジャズ研でもあったことから、先輩にフリージャズ演奏に誘われて、初心者なのに無理やりライブハウスに出されてしまい大恥をかいたり、フリージャズの本当の難しさを理解したり、ニュージャズ・シンジケートの演奏にも物足りなさを感じたりと、己の腕前を棚に上げながら、なんとなく煮え切らない大学ジャズ研の日々を過ごしてしまったのでありました。
サックスの方は、一年生の夏休みに大塚のクラブでバイトをした金でセルマーの中古を買ったものの、四年生の時にちょっと罰当たりなことをした報いを受けて盗難に遭ってしまい吹く楽器がなくなってしまった。
楽器を盗まれるまでの間の練習も師となる人がいなかったのと、自分の勉強不熱心さがたたってコード進行に合わせてアドリブを取ることがうまくできなかったし、どうやって練習したらいいのかもわからなかったのが正直なところだ。
うまくなる人は、ちゃんとした先生についたり、いい演奏をバリバリにコピーして演奏法を身につけて行ったのだろうがそういう努力も怠っていた。
ちょうど四年生の頃には大学の学内も学生運動の意見の対立が全共闘と自治会(中核派)との間で起こり、のんきに楽器を吹いている状況ではなくなってしまったこともあり、サックスの練習どころかジャズからも心が離れてしまっていたように思う。
今振り返るとなんだか不遇のジャズ研時代のようにも思えるのだが、基礎になるスケール練習はそれなりにしたし、楽器もなるようになっていた(自分ではそう思う)のでそれなりの成果はあった。でも四年かけての成果としてはあまりに乏しいということだ。
社会人になって小遣いが使えるようになってすぐにまたセルマーのテナーサックス を中古で買った。
それが今も使ってるサックスなのだが、もう見た目はサビサビ、ボロボロのボロサックスなのだが世の中ではこれをビンテージサックスというようで、いま買おうとすると物によっては百万円くらいするらしい。
社会人時代は三十くらいまではよく練習していた気がする。ジャズ研時代の仲間とスタジオを借りてセッションをしたりもしていた。
三十代を過ぎた頃からは仕事が多忙を極めるようになったのと夏場のバス釣り、冬場のスキーと夢中になるものができてしまったのでほとんどサックスはケースにしまったままになっていた。
その哀れなサックスを吹くようになったのはここ数年前から、もう還暦近くなって人生の先が見え始めたジャズ研仲間が同時多発的に楽器の練習を始め集まってセッションをし始めたからだ。
月に一度集まり、あらかじめ決めておいた曲を演奏するのだが、腕前を無視した難曲を、やりたい!という一心で取り上げるという変なセッションだがいい勉強になった。
僕もこの頃からコード進行とスケールの関係がやっとこの歳になって理解できるようになり、少しずつではあるがスタンダード曲なども吹けるようになってきたのでサックスの練習も楽しくなり、昔からずーっと欲しかったソプラノサックスまで中古で買って、これの練習に励んだりもしていた。
そして、長々と話してきた結果として、最近サックスの練習に熱が入るようになった。
きっかけはコロナの感染拡大で外に出られなくなったこととなのだが、久しぶりに取り出して吹いたテナーサックスを吹いているうちに、ちょっとコピーでもしてみるかと、いい題材を探しているうちに良いお手本が見つかったのだ。
それをコピーしていたら、練習の効果的な方法にもやっとこの歳になってたどり着けた!気がする。(^_^;)
ともあれ、今は吹いているのが楽しく、楽器もどんどん鳴るようになってきたし、自分の思うように指も動いてきたので楽しくて仕方ないのだ。
しかし、飽きっぽい僕はこれもまたそのうち飽きてしまうのではないかと思ったので、一つ目標を立てた。
それは初めてジャズを聴いた歳からちょうど半世紀、50年目にあたる二年後までに自分のスタイルである程度、いや思うままにサックスが吹けるくらいまでにうまくなって置こう、というもので、いわば、自分のジャズ人生の一つの締めくくりをしたいと思ったのだ。
六十才も過ぎると指はバネ指などで動かなくなってきたし、みるみる肉体的な衰えがあるのを真に感じるのでグズグズはしていられないのだ。
二年後にはコロナもそれなりに落ち着いてみんなで集まり一緒に演奏をすることもできるだろう。
それまでに、自分の納得いく演奏ができるように、ステップを計画してやって行こうと決意した。
これまでの、いつかは吹けるように、という漠然としたものから具体的な期限を設けたことで自分の中の意識が変わった。
時間はあるようで無い。一日一日やるべきことが見えてきた。さらに一月後の目標。半月後の目標も見えてきた。
ということで、コロナ禍が僕にはいい方向のベクトルに動いて人生を見つめ直し、新たな目標ができたというわけ。
まあ、そういいつつもプロの方のように吹けるようになれるとは思わないので、それなりの目標なんですけれどね。
コロナ禍のこういう状況でも気持ちの切り替えで前向きにいくことができるようになったというお話でした。
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