種子島GT遠征2021③@Life fishing guide service ともみ丸
種子島、ライフフィッシングガイドサービスさんでのGT遠征も最終日となる。
この日は朝起きると昨日よりも少し風が落ちているように思えた。
少しは釣りやすくなるかもしれない、と思った。
そして衝撃の事件が朝から起こった。
それは僕らが宿泊するログハウスセルフィッシュから100メートルほど離れた「民宿島崎」に朝食を食べに行った帰りの出来事だった。
セルフィッシュの手前に数人のサーファーと釣り竿を持った人がいて何か話しているので見てみたら、竿を持っているお兄さんが何か大きなものをぶら下げている。
なんじゃらほい?と近寄って覗きみると、なんとGTではないか!それも20キロは軽く有りそうなまあまあサイズ。
「GTじゃない!」と思わず話しかけると、お兄ちゃんが得意そうに言った。
「岸壁からさっき釣ったんですよ、えへへ」
「すご〜い!陸っぱりで釣ったの?!」と僕
GTを陸っぱりで釣ったのを実際に見るのは初めて、釣ったGTをキープして持ち帰るのも初めて見たので衝撃的だった。
と同時に即座に頭をよぎったのは「今日はGTの活性が良い!→GTが釣れる」ということだった。
コーフン冷めやらぬまま部屋に帰って釣りの支度をしたら即船に向かう。僕以外のみんなもなんだかコーフンしている様子で、移動中の車内は静かなコーフンに包まれていた。
船に乗ると即出船。沖を目指す。
風は確かに昨日ほどではないようだが南の海に停滞している台風15号からのうねりが入っていて、船は大きなうねりに揺れた。
さほどは知らないうちに最初のポイントに着く。まだ島の岸壁がはっきり見えるくらいの距離だった。
朝一の潮の流れている時間だ、ためらうことなくミヨシに向かいキャスティングを開始する。
キャスティングを始めて見ると、釣り三日目にしてようやく体がキャスティングを思い出してうまく投げられるようになっていたのに気づいた。
今日は釣るぞう!と気合が入る。おそらく他の四人も同じ想いに違いない。
一流し目はGTは出なかった。船はゆっくりと移動しコースを変えて流し返す。
そして、船長から「どうぞ」の声がかかって間もなくであった。
「ヒット!ヒット!」とトモから聞こえたのでそちらを見るとジギング王がファイトしていた。
「GT!GT!」と誰かの声が聞こえる。
見に行きたいけれど、こちらもチャンスなのでキャスティングを続ける。
船はジギング王のフォローに入りゆっくりと動いた。
そんな中も必死で投げ続ける。いまがチャンス!と。
ジギング王のGTは無事に上がった。後ろで写真を撮っている。その間も僕、ネコさん、ヤマさんは投げ続けた。
今日、この朝一の短い時間がチャンスなのだということを誰もが知っていたのだ。
しかし、我ら三人にGTは出ず、再び同じポイントを流し変えたがGTは出なかった。
ポイントを移動して次に行く。ジギング王は朝から余裕のヨロコビのビールを飲んでいる。
実に羨ましい光景だった。
次のポイントでも投げ続けたが魚の反応はなかった。
さらにポイントを移動したところで、船長から「ここだけ潮の色が違うから沈むルアーもいいかも」と言われたので、僕は投げるルアーをポッパーからゼウスに変えた。
あまり使うことがないルアーなので動かし方もよく分からない。船長とY店長の二人から指導を受けてその通りに動かして誘う。
後ろでビールを飲んでいるジギング王が、「そのルアーは底までしっかり落とさないとダメだよ」と半分ニヤニヤしながら言う。
「こんなでっかい針のついているルアーを海底まで落とす勇気はないですよ〜」とチキンな自分をさらけ出す。
そう、このルアーを根掛かりで失いたくないのだ。絶対釣れると言われたら底まで落とすかも知れないけれど。
水深に合わせてルアーをカウントダウンして沈めてはトゥイッチを入れながら軽くジャークさせる。
ここで、ドン!とルアーをひったくられたらどんなに快感だろうと想像して気持ちを盛り立たせた。
しかしながら、数カ所ポイントを変え、流し変えてもドン!はなくやがて潮は止まってしまった。
釣れないのは辛いが、ここの潮止まりで粘ってもあまり釣果は期待できないのでコーヒーを淹れてエノカフェを開店することにした。
船長に頼んで移動中にお湯を沸かしていただき、その間にコーヒー豆を挽く。
そして移動後の揺れる船の船尾でコーヒーを淹れた。
この日の豆はコスタリカ、リーベンす農場のブラックハニーという特別のコーヒー豆だ。
ここ、ともみ丸は我が絵のカフェ史上最初のアイスコーヒーを淹れた船なので特別なのである。
そこいらへんの出所のわからない豆を淹れるわけにはいかないのだ。
この日は豆も贅沢に使い濃いめに淹れて見たところ、飲んだ釣り師および船長からは好評をいただいた。
Y店長だけがいつものようにキャビンの奥で寝ていたが、この方はミルクがないとコーヒーが飲めない。
ブラック一本のエノカフェには不適合なのでそのまま無視してみんなで味わう。
海の上のコーヒーはうまい!これでここにきた目的の半分は達成できた。あとはGTを釣るだけだ。
この一杯で少し気分転換ができたようで再び一同釣り座に戻る。
僕はここからしばらくの間、潮の止まっている時間帯はね魚クラブに入ることにした。
今回はGTのみならず根魚も渋い状況で、すでに書いた通り種子島で一番釣れるはずのバラハタが一匹も上がらない。これは何かがおかしい。
実際に水温は低いし潮の色もおかしかった。いつもは青く澄んだ潮なのに今回は透明ではあるけれど黒く沈んだ色をしている。
先ほどま僕が投げている間に根魚クラブ会長のシオさんがやっとバラハタを一本釣り上げたようだ。
僕も今日ならバラハタが釣れるだろう、といつもの得意技ゴビアスブルスリムで根魚を狙うのだが、全くアタリがない。
何ヶ所か移動してポイントを変えて流し変えても全くアタらないのだった。
シオさん会長はインチクで時々魚をあげていたがジグには魚の反応が悪かった。しかし、昨日の釣りで何者かに三個のタイラバをひったくるように奪われてしまった僕は、もう落とすタイラバもなくジグで勝負するしかなかった。
昼近くなって潮が動き出したように感じたので再びミヨシに立って投げることにした。
しかし海のうねりは朝よりも激しくなっており、大きく左右に揺れるミヨシでキャスティングをするのは怖かった。
そして次のポイント移動を機に少し休むことにした。ビールを飲んで上半身ハダカになって日向ぼっこをした。
この日の種子島はまだ真夏の日差しでジリジリと体を焼いた。
バカンスタ〜イム!とビールを片手にしばらく飲んではウトウトして過ごした。
夕まずめには必ずチャンスが来ると信じて、そこに照準を合わせたのだった。
ウネリはますます激しくなり移動中の船もあまりスピードを出せなくなるほどだった。玄界灘の某船長と違ってかつや船長は丁寧に優しい操船をするのだがそれでも数回体が宙に浮くほど船は揺れた。
潮を被った後の甲板は滑るので、揺れて滑る甲板でキャストをするのは余計に怖くなったのだが、ヤマさんは黙々と投げ続けていた。
ネコさんはミヨシに危険を感じたのか、一匹GTを釣ったジギング王にトモの釣り座を借りてキャスティングしていた。
午後3時を回ると秋の日は傾き始めた。そろそろいい時間だぞ、と滑るミヨシに立ち気合いを入れてキャスティングを再開する。
ふと、後ろを見たらネコさんが根魚を釣ってる。
「あれええ?GTは?」と声をかけたら、疲れたので一休みだそうだ。
そんな一休みの間にアカハタを釣り上げたネコさんは気分転換できたのか再びトモでキャスティングを始めた。
この頃から海の魚の様子が変わっているのが分かった。
キャストをするたびにルアーの音に驚いたトビウオが飛び上がるのだ。
ベイト(餌の魚)はいる。GTよ出て来い!と心の中で独り言を言いながら投げ続けた。
ところがあるキャストで糸が激しく絡んでしまったので糸を切って PEライン(ヨリ糸)の道糸とモノフィラメントのリーダーを結ぶシステムを結び直した。
ビール片手にジギング王がやってきて、「船の上でよくシステムが組めるなあ。オレ、これが嫌なんだよねえ。」とおっしゃる。
ジギング王は船の上でシステムを組まなくてもいいように、交換用のリールのスプール(糸巻き)をたくさん持ってきているのを知ってた。
スプール一つ数万円するのにすごい気合の入れようなのだ。まだまだ中途半端な釣り師の僕にはそこまではできない。
それに船の上でシステムを組むこともさほど嫌いではなかった。二人で世間話しながらシステムを組み直しミヨシに戻る。
キャストを再開して少ししたらトモから大きな声が聞こえた。
「ヒット!ヒット!」
すぐさま振り返ってそちらを見た瞬間、ファイトをしていたネコさんが足を滑らせて尻餅をついているのが見えた。
そして次の瞬間!パチッ!と大きな音を立ててPEラインが切れてしまった。
魚はかなりデカかったようだ。竿の曲がり方が半端ではなかった。船長の見立てでは40キロはあったろうという。
残念なのはネコさんである。
ここまでほぼ丸三日、投げてきてようやく魚を掛けたのに糸が切れてしまったのだ。
どんなに魚が大きくても道糸8号のPEラインはそう簡単に切れるものではない。ひょっとすると足を滑らせた瞬間に糸が船縁をこすったのかもしれなかったが真相は誰にもわからなかった。
一瞬船の上は活気立ったがすぐに静けさに包まれてしまった。
魚はいる。やはり夕マズメに出る!確信を持って僕とヤマさんはキャスティングを続けた。
夕方になって少しうねりも収まり、揺れの少ないポイントでは足の悪いシオさんもキャストできたので良かった。
5時を回った頃だろうか。
僕の投げたルアーを何度か動かしたところに魚が出た。
でた!と手元に伝わる重さを感じて糸のたるみを取る。
ところが、ズズズ・・という嫌な感触があり手元に伝わっていた魚の感触がなくなる。そして見ている方角で大きなシイラがジャンプを繰り返している。
船長に、切れたの?と聞かれ頷いたが糸が切れたのではなく、先ほど結んだシステムが抜けていたのだった。
シイラは口にかかったルアーを外そうと必死にジャンプを繰り返していた。
ああ、なんという悲しいシイラのジャンプ。。。糸さえ繋がっていればシイラをあげて針を外してリリースできたのに、ルアーは失うはシイラはひどい目にあうは。。なんだか情けなくなって釣りをする気分じゃなくなった。
実際に残り二本あるキャシティングロッドも糸のトラブルで投げられない状態になっていたので、ここで僕は釣りをやめた。
ヤマさんが一人黙々と最後までミヨシに立ち投げる姿が印象的だった。
彼は今回ね魚も狙わず、一途にGTキャスティングを三日間通して投げ続けたのだ。
素晴らしいファイトじゃないか!と思った。
一度は心が折れかかったネコさんも船長からの終了の声がかかるまで投げ続けた。
波と悪い潮に翻弄される中でみんな力を出し切った三日間だった。
お疲れ様!と挨拶をした男たちの顔はみんなやりきったという感じで充実感を漂わせているように見えた。
ただ一人、僕はシイラに引っ張られただけで抜けてしまうようないい加減なシステムを組んだことに悔やみつつこの遠征を終えた。
種子島の海はいつも青く澄んで美しい夏の海というように感じていたのだが、今回は黒く沈んだ冬の日本海のように感じられた。
三日間の釣りは全て終了し、宿に帰ると水道水でタックルの潮を落として綺麗にし、後片付けをする。
シャワーを浴びて自分の体についた潮も落としさっぱりした。
夕食はカツカレーだった。一番食べたいと思っていたものが夕食に出た。カツカレー好きのY店長も声をあげて喜んでいた。
みんなで乾杯し、船長も加わり三日間の反省会をする、なあんてことはせずにお疲れ様と互いの健闘をたたえあい三日間の釣りは終わった。
大自然が相手なのでこういう時もある。
特に今回の種子島は今までとは違っていた。
こういう経験ができたのも今後に役立つのだろうなと思ったのでありました。
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