冬の男女群島遠征④@サンライズ新海
初めて行った冬の男女群島遠征二日目、暗いうちに目が覚めたら昨夜のワインが効いて軽い頭痛がする。
起きるのがだるくて毛布にくるまりウトウトしていたら突然船のエンジンがかかりアンカーを揚げる音がしたので飛び起きた。
サンライズの船中泊では朝エンジンがかかったらそれは釣り開始を意味するからなのだ。
釣りの身支度をして外に出たら空が明るくなってきた。
走り出した船は最初のポイントに向かう。
他の面々もゾロゾロと出て来てスタンバイしていた。
この日最初の流し、僕はキャスティングロッドを手にしていた。
狙っていたのはヒラマサ、ではなくクエ。
朝方まだ薄暗い時間、表層付近の魚を捕食しにウロウロしているクエを狙ってみたのだ。
なぜかというと、今年サンライズで行っているサンライズ・カップ的な年間を通じた釣り大会のクエ・トップ部門にまだノミネートがないと昨日船長から聞いたのでこれで一丁この部門の商品を狙ってやろうという、非常にあざとい考えからだ。
だいたいこういう邪悪な考えを持ったり妙に気合いが入りすぎて殺気立っているときは魚は釣れないものだとわかっちゃいるけどやめられないのが人のサガ。
水平線が赤く染まり始める中キャスティングを始める。
このときキャスティングをしていたのはアームス、ナベさんと僕、ジギング王の四人で後の四人ははジギングでジグを落として魚を狙っていた。
一流し目は魚の反応はなく船は流し変えて再び投げ始める。
二投目を投げようとした時、船の胴の間あたりから雄叫びが聞こえた。
おおお!きたあああ!誰かの声にそちらを振り向くと根魚王の竿が弓なりにしなっている。
船長が、早く早く早く!と声をかけている。
根魚王が狙っているのだからこれはクエに違いない、とそちらを見ていた。
最初に引き込んで寝に入ろうとしたクエを根魚王が上手くかわしたらクエも引かなくなりあとはリールを巻いてあげてくるだけ。
上がってきたのは5キロ以上はありそうな立派なクエだった。
それを見て僕はキャスティングロッドを投げ出してすかさずジギングロッドに持ち替えた。
まだ辺り朝まずめの気配を残していたので、この時間ならもう一匹のチャンスもあろうと考えた。
前日には僕のジグに一度クエらしい魚がアタって、その歯型がジグについていたので可能性は十分にあったのだ。
船は再び流し直して今度はしゃくりに入る。
クエがよく釣れるMGクラフトのスキルLというジグをつけて落とししゃくり続けた。
しかし、釣りはそう甘くはない。そんなに簡単に思い通りに釣れたら苦労しないのだ。
明るくなるまでしゃくり続けたがなかなかアタリはない。
船長が朝ごはんを作ってくれてみんな食べ始めたのに僕だけしつこくしゃくっていた。
まだ朝一の釣りだというのに竿をしゃくる腕が痛むくらいしゃくったけれど結果は虚しく、仕方なく朝食を食べて気分転換した。
明るくなってポイントを移動し、大型カンパチポイントを船は流した。
今度はカンパチ狙いでジグをしゃくる。
魚からの反応はなかなかなく渋い釣りが続いた。
しばらくして今超大好きさんにヒット。これもまたクエか?いやカンパチ?どちらでもないみたい。
船長が魚当てクイズをしている間に魚が上がってきた。大きなメダイだった。
体表がヌルヌルで触るとえらいことになるが食べると美味しい魚である。
船尾に持って行って写真を撮り始めたら何か歓声が上がった。
ギャハハ、アハハハ、ギョエエ!と声が聞こえる。
なあに?と聞いたら昆虫大好きさんがメダイの精子を服にかけられたらしい。
魚だって必死なんだよ。
爆笑が静まり返ると船上は静かになってしまった。
船長は悩んでいる様子だった。このままこの周辺で最後まで粘るか、それとも昨日よかった岩礁周りまで小一時間かけて移動するか。
翌日の予報ではこの海域は大時化で玄界灘も時化に土砂降り予報だったので今日中に港に帰って道具をしまい釣った魚も梱包してしまいたかったのだ。
そのためには夕方6時頃までには帰りたいのだが、ここから呼子までは全速で走って5時間かかる。
差し引くと今移動して岩礁帯で釣りができるのは1時間余となる。
Y店長を呼んで船長は相談していた。しばらくして移動を決意し船は全速で岩礁帯周辺まで移動した。
午前11時前にポイントに到着する。
一同気を入れ替えて釣り始める。
初めて間も無く答えは出た。Y店長の竿がしなり竿先を叩く。
カンパチじゃなさそう、と思っていたらフォールで食いました、と店長。
真鯛のような引きだがだとしたらかなりの大物、と見ているとその通り大きな真鯛が上がってきた。
久しぶりの魚の顔に船上の活気は上がる。
次の流しでキャスティングをしていたナベさんにヒット。今回ナベさんは絶好調だ。新しいポイントに移動するたびに釣っている感じがする。
上がってきたのはヒラマサだった。写真をとって素早くリリースする。
ここからまたアタリが遠のきポイントを小さく移動して攻める。
3回目くらいの小移動の後僕の竿にボトム(底)でドン!とアタリがあった。
お!ひょっとしてこのアタリはクエか?と期待したが、糸を巻いてきてもグズグズ竿を引き込む。
あああ、残念違う魚だぁ!上がってきたのはアオヤガラ。これも写真を撮ってすぐリリース。
それでもまだ時間は残ってる。すぐにジグを落としてしゃくったら、今度は明らかに青物らしきドンというアタリ!
船長が、急いで急いで!巻いて巻いて!というので必死に巻く。
そんなに大きくはなさそうだけれど竿はいい感じで曲がって時折ドラグも出た。
船長が早く!と急かすのでどうしたのかと思っていたらクエがかかったと勘違いしたらしい。
僕がクエを狙っていたのを見透かされていた。
青物グイグイと竿を引き込む手応えを満喫しながらファイトした。
数分後に上がってきたのはまん丸に太ったブリだった。
これは嬉しい、寒ブリのこの太さだったらさぞや美味かろう。
実は、僕は今回の釣行で大物が釣れたら我が家の子供が30年近く前に世話になった保育園の子どもたちの前で魚の解体ショーをやる約束をしていた。
つい先ほどまでは、その約束は叶わず、と思っていたのだがこの一匹で嘘つにならずに住んだ。
そんな嬉しさもありこの一匹は僕にとって大きな一匹になった。
まだ時間は残っている。もう一本行きたいな、と欲を出してしゃくるがなかなかアタリが来ない。
そんな中ミヨシでしゃくっていたアームスにヒットし竿が弓なりに曲がった。
おおお!でかい?と声をあげたら、ライトタックルですから、とアームス。
でもドラグ出てるし大きそう!と思った次の瞬間糸がプッツン!と音を立てるかのように勢い良く切れた。
ありゃあ、ダメじゃん!なんで切れた?デカすぎたの?
と質問責めにあうアームスがポソリと呟いた。昨夜ウツボを釣ったタックルなんですよう。と
ウツボに散々巻きつかれたリーダーを交換せずに使ってしまったらしい。
悲しそうな表情のアームスをそれ以上責める気持ちにはなれなかった。本人が一番悔やんでいるのだ。
今回、船酔いなどで体調が不十分なこともあり出番の少なかったバイク大好きさんにここにきてようやくいい型の魚がヒットした。
前回バイク大好きさんと男女群島にきた時には30キロ近いバカデカカンパチを釣っている人だ、最後にやってくれたか?!と期待してみていたらねずれらしく糸が切れて魚はさようならしてしまった。
この後、もうひと流しだけ、と船長が粘ってくれたが残念なことに魚のアタリはなくここでタイムアップとなり唐津の呼子港に向かって船は走り出した。
キャビンでビールを飲んでいい気持ちになりウトウトする。
しばらくして目が覚めたら五島列島を走っていた。
船長が少しだけやります。準備してください、とアナウンスし一同即座に釣り体制になる。この辺りはみんな素早い。
キャスティングとジギングに分かれて二流しだけやってみたが、キャスティンング、ジギング共にあたりなく終わる。
戻りましょう、と再び船は全速力で呼子に向かう。
走る船の上で道具を片付けた。普段なら港に戻ってからゆっくりやるのだが、今回はついたらもう真っ暗になっていること確実だったので明るいうちに片付けておこうということになったのだ。
片付けが終わりまたまたビールを飲んでいると太陽が五島列島に沈んで行った。
今年何回海に沈む夕日を見ただろう。大物にはあまり恵まれなかった一年だったが前回6月の男女群島で自己記録のクエ14.5キロを釣っている。
大きな事故もなくいい一年だったじゃないか。と今年一年を振り返りながら夕日を眺めた。
日が落ちきると船は平戸大橋にさしかかった。橋を見上げたら月が見えたので慌てて写真を撮る。
橋をくぐり船は玄界灘に進むとアタリは真っ暗になりやみ夜の中を進む。
ここから小一時間走り6時過ぎに無事呼子港に帰着。
荷物を片付け持ち帰る魚を分けて荷造りしたら急いで唐津第一ホテルへ向かう。
ホテルでシャワーを浴びてからすぐ近くのお店に移動しお疲れの乾杯をしてうまい料理に舌鼓を打ち反省会をする。
冬の男女群島は結果的には渋い釣りに終わった。大きなカンパチらしきアタリはほとんどなかったものの魚の魚探への反応はすごかった。
何が悪かったのかは一度だけの釣行では分からないが色々仮説を合ってて見ることは大切だ。
珍しくしばし釣りの話に集中したものの酔いが回ってくると次第に普段のおばか宴会に突入して行ったのだった。
写真協力:Ebb&Flow、サンライズ新海
釣りに関するお問い合わせはルアーショップEbb&Flowへどうぞ
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