冬の男女群島遠征③@サンライズ新海
初めての冬の男女群島遠征での一日目は日も暮れ、船は波の少ない浅場を選び島に寄り添うように投錨した。
この日は船の中で一晩を過ごし翌日は早朝の暗いうちから釣りだ。
12月の船中泊ということで防寒対策が心配されたが、幸い暖かい一日で日が暮れてからもさほど冷たい風は吹かなかった。
昼間の釣りは男女群島としては物足りないサイズの魚ばかりだった。
多少欲求不満気味の釣りバカたちは船が闘病されてからも釣りを止めることはなかった。
誠一船長が夕食の鍋の支度をしている間も何人かが闇に包まれたトモのデッキで釣り糸を垂らしていた。
この時はルアー釣りではなく、ルアーの針に昼間釣って夕方さばいたスマガツオのアラを餌にして付ける。
僕はキャビンでワインを飲みながら船長のさばいて暮れた激ウマスマガツオのタタキに舌鼓を打ちながらジギング王などと世間話をしていたのだが、時折トモのデッキから聞こえる歓声が気になっていた。
どうやら何か魚が釣れているようなのだ。
それでもスマガツオのタタキが素晴らしくおいしくこれまでに食べたスマガツオの中でもトップクラスだったので美味しいほうを選んでまったりしていた。
やがてキャビンのテーブル上に大鍋がドカンとおかれて目の前でグツグツ音を立てて、はやくぅ!食べて食べて!と囁いてきたので釣りバカの歓声は耳に入らなくなり早くぅの方しか聞こえなくなってしまった。
ワインも激ウマスマガツオと早くぅ鍋の二重攻撃に対抗してガンガン進んでしまう。
鍋の中は肉にイカにと濃厚贅沢三昧。まさに酒池肉林であった。
ところが満腹になってみると再びデッキの歓声が気になり始める。
飯も食わずに釣りしている釣りバカどもが何をそんなに釣っているのか気になり始めたのだ。
酔っ払った足取りでデッキに降りてみると昆虫大好きさんが身悶え直前の表情で、キタキタキタキタ!と声をあげる。
竿先を見ると、コツコツコツと魚がアタっているのが分かる。
次の瞬間、オラーっと竿をしゃくりあげて合わせるのだが魚が針にかからない。
ああああ・・・と高校つの表情を一瞬浮かべては再び仕掛けを落としまたアタリを待つ。
キターッ!と右舷側で誰かが叫ぶ!
竿先がピクピクして魚が掛かっているのが分かる。ひょいと挙げられたのは赤いマツカサウオの仲間だった。
またこれかあ!というところから先ほどから盛り上がっていたのはこの魚らしい。
すると今度は、おおお!と根魚王の方から歓声が上がり竿が大きくしなる。
ムムム、これはデカイぞ。と見ているといいサイズのアカハタが上がった。
このアカハタで僕の気持ちがちょっと動いた。
さらに、おおおおお!という歓声が上がり何かと思えばキジハタが上がってきたではないか。
さすが磯釣り師たち憧れの男女群島だけのことはある。
さらにおおおおおお!と静かな男女群島の海に雄叫びが上がり小さなカンパチがつれたではないか。
これで僕の釣りバカスイッチが完全に入った。
竿を持ち出して仕掛けを作り、スマガツオのハギレのような身をハリにつけて落とす。
するとちょっと待っただけで竿先にココココ・・・というアタリがくる。すかさず竿をしゅ!っと素早くしゃくるのだが魚は針にかからない。
すかさず餌を落とすと、すぐにまたコココ・・ときて今度は魚の様子をきくようにゆったり竿をしゃくって合わせて見るのだがこれまたかからない。
くそお!今度こそ・・・ともうすっかりバカになりきっている。アルコールも十分に回っているのでなおさら普段よりもバカ度が高くなっていた。
気がつけばジギング王を除くほぼ全員が竿を握っているではないか。
そんな中で昆虫大好きさんの竿が大きくしなり一同が注目していると上がってきたのはウツボだった。
ぐるぐると意図まで見に巻きつけたウツボの目はコノヤロ!と怒っていた。
プライヤーで針を外そうとすると噛み付いてくる。ただでさえウツボは歯がギザギザで噛まれると大変なことになるのにコノヤロ化したウツボはさらにどう猛で凶悪な目つきをしていた。僕と昆虫大好きさんが二人がかりで針を外して巻きついた糸を切ってリリースしてなんとかことは収まった。
ホッとした空気が船上に流れたのも束の間、今度はアームス梅ちゃんがウツボを釣り上げたので一同大爆笑。
もう、勘弁してよお、といいながらコノヤロ化したウツボを外して逃すのだが、本当に勘弁していただきたいと思っているのはウツボの方だろう。
このようにして爆笑と歓声の中男女群島の夜はふけていった。
釣れた魚はマツカサウオを筆頭にアカハタ、キジハタ、イシダイ、シマアジ、カンパチ、オジサン、イソマグロ、ウツボなどなど、高級魚も次々と釣り上げられその水揚げ額は悠に一万円を超えている。このまま続けたら船代も元がとれるかもしれない。
このようにして男女群島の夜釣りは果てしなく楽しくふけてゆく。
この日は双子座流星群が見られるという日だったが、あいにくの曇り空で星は見えなかったけれど誰も空なんて見ていなかった。
僕は10時頃まで遊んで床についたが、翌日船長の話では夜中の三時に目が覚めて外を見たら昆虫大好きさんが釣りをしていたという。
朝三時に起きて次の朝三時まで釣りをしている人って一体!と思うのだが、初めて男女群島に来た昆虫大好きさんにとってはそのくらい楽しくコーフンの一日だったようなのでありました。
写真協力:Ebb&Flow、サンライズ新海
釣りに関するお問い合わせはルアーショップEbb&Flowへどうぞ
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