オーディオ博物館というところに行った話@裏磐梯桧原湖
もう2ヶ月以上前の話になりますが、以前ツーリングの話で書いた裏磐梯の桧原湖を訪れた際にオーディオ博物館というところに行った。
というより、このオーディオ博物館に行くために桧原湖を訪れたというのが本当のところかな。
このオーディオ博物館というのを知った経緯から話すと、その時のツーリングでは福島の郡山の友人を訪ねて一泊し翌日は帰りついでに日光に寄り道して行く予定だった。
ところが、郡山の友人と行ったバーでそこのマスターと友人家族などとオーディオの話で盛り上がった時に、桧原湖にオーディオ博物館というのがあるのでオーディオ好きなら絶対行ったほうがいい、と断言されて行くのを決めた。
なぜその気になったのかというと、そこのオーディオ博物館にはウエスタン・オーディオという戦前のアメリカの劇場用スピーカーを始めオディオ機器全般を発明した元祖メーカーの巨大スピーカーがものすごい良い音で鳴っていると聞かされたからだ。
オーディオ大好きの僕といえどもウエスタンの名前は知っていたけれどもそのスピーカーの音は聴いたことはない。というのもこの世にほとんど存在していないからだ。
なぜ桧原湖にそのような博物館があるのかという謎はともかく、とにかくその音を聞いてみたく鳴ったのだ。いや、聴かずに死ねるか!的精神状態になったのである。
そして翌朝早く、前日初雪が降った磐梯山をぐるりと回り込んで桧原湖に向かった。
ところが朝早く着いてしまいまだ博物館は空いていないだろうと湖を一周して間をつぶし11時過ぎに博物館の近くに到着した。
しかし、地図上ではすぐそばにあるはずの博物館のそれらしい建物が見当たらない。
予め調べておいた博物館の電話番号を探して電話するとおばちゃんの声が出た。
あれ?と思いながらオーディオ博物館ですか?と聞いたら、あ、ちょっとお待ちください。と言われて待つこと30秒。今度はオヂサンの声で、はい、今から開けますよ。とおっしゃる。
今から開ける、ということは普段は相手いないんだな。と思いつつ場所もよくわからないので聞いたらすぐそばの古いホテル跡のような建物が博物館だった。
入り口につながる急坂を登ると広い駐車場があり車が一台ぽつんと一台停まってる。
本当にここなの?とバイクを降りたところに先ほどの電話のおばちゃんらしき方が出てきて、さっきの電話の人ね、こっちへどうぞ、と案内してくれた。
建物の裏側にある裏口風のドアには床まで下がるビニールの暖簾がありそれをくぐると何か骨董屋さんのような空気が漂っていた。
さらにもう一つドアを開けて入るとなかはホテルの一階をぶち抜いたような広さのフロアーに所狭しと機械や部品が置いてあり、奥を覗いたら巨大なスピーカーが2セット、それぞれ壁の別な面を使って置かれている、というより聳え立っているという方が正しいくらいの大きさ。
僕と同じくらいの年齢のオヂサンが来て挨拶する。この方が館長さんだった。
というよりも、ここは博物館と言いながら現実には工場で、その一部が巨大なオーディオセットになっていてウェスタンのスピーカーの音を聴かせてくれる場所だということがわかった。
スピーカーのある方に案内されると古いソファーがあり座るように促される。
入場券などというものはなくいきなり座らされてお茶が出て来て、どうしてここを知ったのですか?と聞かれた。
壁際にセットされているスピーカーの1セットは片チャンネル(一本)が横5メートルくらいはあるのか?6畳間のには入らない感じの大きさ。高さも3メートルくらいあり、低音部も高音部もすべてホーン型のスピーカーだった。(写真参照)
もう一つは縦長の巨大ホーン型スピーカーがなぜか3台あり異様な雰囲気を醸し出していた。(こちらも写真参照)
館長さんによるとこちらの縦長は現在調整中で聴けないので横長の方をどうぞというので早速聞かせていただく。
好きな音楽のジャンルはなあに?と聞かれたのでジャズです。と答えたらCDを取り出してかけてくれた。
レコードプレーヤーが置いてあったのでレコードのアナログの音を期待していた僕は、なんだCDか、とちょっとガッカリしたのだが音が出て来て一発で吹っ飛んだ。
かかったCDはデイブ・ブルーベックのテイクファイブ。ピアノのイントロからあ、と思ってたところにポール・デスモンドのサックスが飛び出す。
それはまるでそこでライブをしているように聞こえた。
なんと生々しい音、今まで多くのスピーカーを聴いてきたがこんなに生々しい音を聞くのは初めての経験だった。
このレコードの録音は確か1960年頃で、音質的には80年頃のハイ・ファイオーディオに比べたら大した事ないはずなのに。。。
館長曰く、ウェスターンのスピーカーというのはアメリカでムービーができた時に女優さんの声を以下に生々しく再現するかを目的に作られたスピーカーでその後のアルテックやJBLといったスピーカーのお手本になってるスピーカーであること。
日本でこのスピーカーが残っているのはここと埼玉の所沢にあるラボの二箇所しか知らないという事などだった。
かけたCDがジャズオタクの僕にはいまいち物足らなかったのが表情に出たのを館長は察したのか、その辺にあるのから好きなのを選んでかけていいですよとおっしゃる。
ただしアナログプレーヤーは調整中なので今日はCDで勘弁してください、と。
無造作に山積みになっているCDを見たら最初に飛び込んできたのがジャズではなくクラッシックのCDだった。
僕の大好きなアルバンベルク四重奏団の演奏するベートーベンの四重奏曲のCDで、最近ベートーベンがやっと理解できるようになった僕はそれに手を伸ばし、今年はちょうどベートーベンの没後100年だから、と言いながらワディアの高級CDプレーヤーに入れて再生する。
音が出るとこれまたビックリ。先ほどのデスモンドより録音が良い分だけに生々しさはさらに増して、本当にアルバンベルクのライブを聴いているようで、僕はソファーに座り込んで目を閉じてじっくり聴き始めた。
各楽器の粒立ち、表情など申し分なく体全体がベートーベンの音楽に包まれる。幸せだ。
館長から話しかけてきて、このCDを選んだのはあなたが初めてです。僕もこのCDが大好きでいつも作業をしながら聴いているんです。とおっしゃる。
何か急に意気投合して話が弾み、音楽のことやウェスタンオーディオのことなどたくさん話を聞いたのだが、専門的な難しい話も多く半分くらいしか僕には理解できなかった。
CD一枚分、約一時間近くゆったりと時を過ごさせていただき、会話も弾みいい時間が過ごせた。
帰り際に館長に今度いらっしゃる時はあらかじめ電話をした上でお好きなレコードでもCDでもお持ちください、と言われすっかり気持ちよくなって館、いや、工場かな、をでていい気分で帰ってきたのでありました。
また行こうっと。
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