隠岐島遠征2022 その2@浜吉丸
2022年11月10日、午後一時を回ったあたりから隠岐島遠征の1日目の釣りが始まりました。
天気は晴れで風はそよそよ、波は適度にあり潮の流れは速かった。
先月のここへの遠征時は寒かったらしく、引率のエブフロ店長から防寒対策は万全に!と言われていた釣り師一同はオーバーパンツにパーカと真冬の服装を着込んで船に乗ったのだが、沖に出てみればこんなお天気でポカポカ暖かいじゃあありませんか。
一同、上着から一枚、また一枚と脱いでゆき岐阜の帝王などは最後は半袖Tシャツになってしまうほど暖かった。
もちろん寒いよりは暖かい方が歓迎だ。
僕は釣り初めにまずはキャスティングタックルのチェックを兼ねて、持ち込んだキャスティングタックル2セットを順番に投げて不備がないかチェックをした。
ここの海では同時に全員でかいヒラマサがかかるような衝撃的な出来事がかつてあったので、一瞬の試合でモタつかないようにしたのだ。
20投くらい投げて軽く汗をかいたところで竿をライトジギング竿に持ち替え、とりあえず魚の感触を味わおうとした。
何しろ2ヶ月近く魚の感触を味わっていなかったのでそれに飢えていたのであります。
両隣では引率Y店長とアームレスリングで鍛えられた肉体のアームス梅ちゃんが僕を挟むような形でジグをシャクっていた。
Y店長はライトタックルでアコウ狙い、梅ちゃんは大マサ狙いのように見えた。
先に僕がアコウを釣っちゃうもんね、といつも根魚を狙う時の定番ジグ、ゴビアスブルスリムを底に落としては数シャクリしてまた落とす。
水深は20メートルから15メートルを流していく。
浅くなってくると海底が見えるほど海は澄んでいて美しい。
青空に青い海、日の光こそ晩秋の斜光で少し物寂しく岸壁の岩や島々を照らすのだが、美しい自然に囲まれて僕は幸せだった。
もう釣りに来られただけで幸せな気分に満たされて魚釣りはオマケでもいい、くらいに感じたのだがいざ魚がかかったらそうはいかない。
手元に魚の感触が感じられると即座に釣り師に戻ってアワセを入れて魚をかける。すかさずリールのハンドルを巻いたら、あれえ?糸が巻けないじゃあないの。???と空回りするハンドル。
なんと、ドラグがゆるゆるでリールのスプールに力が伝わっていないじゃあありませんか。
慌ててドラグを締めるも時すでに遅し、魚はテンションのかからない針から外れてた。
初心者でもやらないミスに照れ笑いするしかない。
さらに続けてヒット!今度こそは!とアワセを入れて竿を立てれば、おおお、いい引き!アコウに違いない!と意図を巻くと相手も引き込んできた。
さらに糸を巻き上げようと竿を立ててリールのハンドルに力を入れた瞬間、PEラインがタカ切れしてしまい海の中に吸い込まれていくのが悲しい。
ありゃあ、ダメだこりゃあ!釣りになっていない!とリールを交換していたら誰かに(釣りの)ブランクを感じますねえ、と声をかけられた。
今度は苦笑いするしかない。まあ久しぶりだから。とリールを変えて根魚釣りに戻る。
キャスティング組は今にもヒラマサが出そうな雰囲気が満ちているにも関わらずどうも魚の反応はイマイチらしく、出た!という声も聞かれない。
開始から1時間くらいがあっという間に過ぎてしまったがようやく一匹目の魚が釣れた。
引率Y店長がジグよりちょっと大きいくらいのカサゴを釣り上げたのでありました。
ジグはこの釣行に合わせて無理やり間に合わせて作らせたツキジグのウリ坊カラー。
前回の釣行の時にここ隠岐の島のベイトはイサキの稚魚、ウリ坊だと聞いたY店長がツキジグ製作者の築山氏に、通常なら一月はかかる制作時間を無理やり二週間以内に作れと言って作らせた限定品なのでありました。(この辺りの詳しい話はツキジグブログをご参照に)
さらに時間は経ち釣りのブランクから復活しつつあった僕がようやく一匹目の小さなアコウを釣る。
Y店長の話では、二週間前の釣行ではアコウは入れ食いだったようで、アコウ狙い専門の根魚王は四日間で四十匹以上のアコウを釣り自己記録を打ち立てたらしい。小型のものは全てリリースしたというが、なんだか今回は釣り切られちゃった後を釣りしているみたいな感じで、魚のあたりは少ないし、ようやく釣れてもリリースサイズばかりという雰囲気。
さらに時間は経ち午後3時半を回ったあたりでようやくキャスティング部隊にヒットの声が上がった。
ミヨシで投げていたアラーキーさんに何かヒットした模様。
魚はすぐに上がってきた。ヒラマサではなくワラサだったのでちょっとがっかり。
ヒラマサが来たら僕も投げようと企んでいたのだ。
さらに三十分ほど経ったとき、梅ちゃんがなにやらコソコソしているのを見て不審に思い見てみたら何か小さい魚をかけている。
すかさずY店長に言いふらしたらY店長がその魚をリリースしようとしている梅ちゃんに待ったをかけて無理やり写真を撮った。
僕も覗き込んで見たらジグと同じくらいのサイズのカサゴだ。
なんだかこの日の海はおかしかった。潮は流れ並みもそこそこ風もバッチリなのに魚の反応がすこぶる悪い。
船長もこの状況に頭を痛めていたようだ。なにが悪いのか分からないからだ。
次に上がったのはそれから数分後、梅ちゃんの写真を撮ってルンルンだったY店長にワラサがヒット。
少しは活性が上がって来たかに見えたが後が続かない。
太陽は西の空に傾き始め日に日に早くなる日の入りの時間がどんどん迫って来ていた。
僕も四時を回ったあたりからキャスティングロッドに持ち替えて夕まずめの大物一発を狙った。
投げていてもいかにも出そうな雰囲気で、ルアーを引いてくるといつ大物がバイトしてくるかハラハラしそうな状況なのだが全く魚からの反応はなかった。
いつもならヒットこそ無くても魚が追ってきたりするものなのだがそれすら無かった。
太陽がいよいよ山の稜線に近付き始めた頃、船長が最後の一髪をあそこに賭けよう!とボソッと独り言を言ってポイントを変えた。
つい先日にもいいヒラマサが釣れたポイントらしい。
そこは、本当にいかにも出そうな磯際に近いポイントだった。
何投目か僕が投げてルアーを引いていたら視界の右端に大きな波紋ができた、と同時に出た!との声。
波紋はもう一度大きくでてさらにもう一度出たところで水しぶきが上がった。
ヒット!ヒット!でかいでかい!
船長が叫ぶ、みんなも叫ぶ。
かけたのは元ジギング王と呼ばれた男(詳しくは別の場所でお話ししましょう)だった。
魚は重そうで引く力も強く竿は弓形に曲がり竿先は海面まで引き込まれた。
船べりまで引きずられるように移動した元ジギング王だったがなんとかそこで堪えた。
一瞬弱音を吐いたように聞こえたが、他の一同からいけるいける!水深もあるから大丈夫!と声が飛ぶ。
そんな声援に押されてか主導権は魚から元ジギング王に移り糸が巻き上げ始められた。
そんな様子をチラ見しながら僕も魚をかけようと必死に投げ続けた。
やがてトモの方から歓喜の声が上がり魚が無事に上がったのが分かった。
一方でこっちにも来い!と僕と隣のアラーキーは投げ続けたがとうとう最後まで二匹目は出なかった。
元ジギング王のあげたヒラマサは18キロもあった。
その姿は堂々の迫力あるものだった。
写真を撮り無事にリリース出来た。
こんな釣れない日になんと素晴らしいことか。
さすが投げ続ける男である。
その後、もうひと流しやってみましょう、と船長が流しかえてくれたが二匹目は出ずにこの日の釣りは終わった。
半日足らずの釣りだったが全体に渋かった、しかし最後の一匹が全てを帳消しにしてくれた。
明日からの釣りにも希望が持てた。おそらく何よりもホッとして喜んでいたのは船長だろう。
船は宿のすぐ目の前の岸壁につけられ、僕たちは陸に上がりこの日の釣りは終わったのでありました。
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