外国人と共に走る春のツーリング④湯田中温泉〜志賀高原万座道路〜伊香保温泉
香港から来たカール君とのバイクツーリングもいよいよ四日目で、本日が最大のハイライト。
冬季閉鎖で閉まっていた志賀高原万座ルートが二日前に開通したのを狙っての山道のワインディングロードツーリングだ。
しかもこの道は国道の標高2200メートル近い国道の最高地点を通過する上に道路の左右は雪の壁というところも通るので盛り上がるに違いない。
当日朝は9時出発を目指した。この日からゴールデン・ウィークの前半が始まるので道路が混むと予想したので、なるべく早い時間の混雑前に快適なライディングをしたかったのだ。
僕は例によって朝早く5時には起きて朝湯に浸かってからストレッチなどをして体をほぐし7時の朝食の時間を待ったのだが、カール君は昨夜も仕事やら何やらで夜更かししていたのでなかなか起きない。ちょっと気をもんだが寝不足でバイクに乗るのも危ないので7時ギリギリに起こして朝食バイキングで満腹になりさあ出発。
と思ったら、カール君はお土産屋さんで買い物したりして割とのんびりな感じ。
短気な僕から見たら、おいおい何やってんだよ!早く出ようぜ、という気分なのだが、海外旅行に来ているカール君から見たら、お土産物くらいゆっくり買わせてくれ、それに何をそんなに急いでんだよ!という気分なのだろう。10分、20分出るのが遅くなったところで大した事ない、と自分に言い聞かせて彼の準備を待って9時に出発となった。
前日駐輪場に止まっていたたくさんの大型バイクはすでに出払っていて遅れをとった形になったのだがまあ良い。
この日は前日夕方から入り込んだ寒気のおかげですっかり冷え込んでいて、走り始めたところでの気温が7度とやや寒い。
それを予想して、ウェアはライダージャケットの上に冬山登山用のアウターをがっちり着込んだのでさほど寒くはなかったのだが、山道をどんどん登っていくと気温はどんどん下がり、志賀高原スキー場の下の方を通過する頃には3度まで下がってきた。
驚いたのは自転車でこの道を登っていく人たちが結構いて女性の割合も高い。
自分の足で登り切ったら達成感もひとしおだろうなあ、などと思いつつ追い抜いてゆく。
気温が下がるとグローブはしているとはいえこの気温では手が冷たくなる。僕のバイクはグリップヒーターなるものがついているのでスイッチを入れると握っているハンドルのグリップが温まるのだけれど、カール君の借りたバイクには付いていなかったので手が冷たくて辛かったろう。一番上のスキー場である横手山ゲレンデの下の駐車場に着いたときはなんと気温が1度まで下がった。
ここで一休みしてバイクを止めて冷えた手を温める。
ここからは景色も良いので駐車場は連休らしく車やバイクで一杯だった。カスタムしたスポーツカーがずらりと並んでいて壮観だった。
天気は快晴だったがややガスがかかって遠くの山は少し霞んでいたものの見事な風景だった。
カール君は香港の友達とテレビ電話でこの様子を実況していたようで、今時の旅はこうしてリアルタイムで行き先の風景を共有したり出来るんだなあと感心する。
30分ほど休んでいよいよ最高地点に向かって出発する。
すぐ先には長野県と群馬県の県境に大きなお店があって、そこには県境を示す大きな文字が壁に書かれていて、ここもインスタなどの写真スポットになっている。したがって駐車場は隙間もないくらいびっちり混んでいたのでスルーした。
そこから程なくして道路の左側に国道最高地点の碑がある場所に着くとここの駐車場も満杯だったのだが、運よく一番手前のバイクが出てくれたところにスッとバイクを停められた。
碑の前では記念写真を撮る人たちの順番待ちになっていて、自転車のグループが写真を撮っていたので、思わず「すごいですねえ、自転車でここまで来るなんて」と声をかけたら「実はすぐ下の駐車場まで車で来たんです。ズルしてるんです」と笑いながら返事が返ってきた。
そういうのもありなんだなあ、それでも駐車場からでも結構な斜面を登るのでやっぱり自転車の人はすごいと思う。
順番待ちして二人で代わりばんこに写真を撮ったら後から次々と来る車やバイクに場所を空けんとさっさとこの場を去って下り始めた。
少し下りたところに先ほどの自転車のヒトが言っていたと思しき駐車場があったのでバイクを停めて残雪の山々の風景を堪能する。
道路を走る車は思っていたほど多くなく、駐車場の周り以外では渋滞するようなことも全くなかった。
天気も良く空気もよく景色も良く、良いことずくめの三点セットで言う事なし。
ここからまた少し下ったところに道路の左右に雪の壁が高く残っている場所があり、やはりバイクや自転車の人が写真を撮っていたので僕らもバイクを路肩に停めて写真を撮った。
雪の壁は5メートルくらいか、立山黒部ルートの雪の壁には及ばないもののなかなかの見応えがあった。
ここではなぜか車で来た人は写真を撮る人がいなくバイクのヒトか自転車のヒトだけだったのが面白い。
香港育ちのカール君は雪を見る機会もそうない上に道路の左右が雪の壁になっているのに大興奮して写真を撮りまくっていた。
埼玉育ちの僕もそれなりにコーフンして写真を撮りまくった。
この辺りに来るともう手が冷たいのも忘れて残雪の風景に魅了され切っていた。
ここからさらに少し降りたところに広い駐車場があったのでそこにもバイクを停めて写真を撮る。
駐車場のすぐ横には適当な斜面があって、自分でハイクアップしてスキーをしているテレマーカーがいたり、スノーボードを準備している若者もいた。
カール君と二人で僕らも雪の上まで登って写真を撮った。
ここを離れると、山をどんどん下り見晴らしも悪くなって行く。
草津と万座の分岐点で万座方面に曲がる。
草津方面は雪崩の危険があると言うことで封鎖されていた。
ぐんぐん標高が下がっていく道を降ると、先ほどまでは雪山の景色だったのが次第に木々が芽吹き、さらに降りていくと桜が咲き誇ろ場所があり、
料金所を抜けた先の長野原町まで降りると風景はすっかり春の新緑の風景に変わっていった。
たったの数時間でこれだけ季節の変化を楽しめると言うのも僕には初めての経験だったので嬉しかった。
八ッ場ダムまで走ってお昼を食べる。
ここの駐車場では何かのイベントをやっていてスピーカーからがなり立てるカン高い声が耳に突き刺さりこれまでの自然満喫モードを一蹴してくれたのですぐに建物の中に逃げ込んでお昼を食べて退散した。
八ッ場ダムの水はコバルト色に美しく、カール君もビュいーティフル!を連発していたが、このダムができる前はもっと美しい渓谷があったことや政府が無理やり作ったダムだと言うことなどを彼に話したら昔の渓谷が見たかったと言っていた。
ここからは一気に榛名湖に向かって走る。
時間にしておよそ40分。僕も初めていくルートだったのでナビを見ながら慎重に走る。
国道から榛名湖方面に曲がって山道に入るとバイク乗りにとってはなかなかの楽しめるワインディング・ロードが続き気持ちが良い。
どんどん登っていくと春爛漫から再び初春の風景に戻っていく。
登り切ってから少し降りたところに忽然と榛名山と榛名湖が現れた。
道を左折してその先の駐車スペースにバイクを停めて一休みする。
足元の湖畔ではブラックバス釣りの釣り師がいたので声をかけたら、まだ釣れないけどデカいのが見えた、と言っていた。
100メートルほど先には腰まで湖に立ち込んで竿を振る釣り師もいた。どうやらバスの産卵シーズンに入っているらしく一年で一番デカいバスが釣れる時期なのでたくさんの釣り師が来ていた。
少し休んだ後、ここからはすぐ近くの伊香保温泉まで走るのがこの日の行程で、まだまだ時間が早かったので湖畔沿いの道をカール君に先行させて好きなところでバイクを停めて写真を撮って、と言うことにした。
ここまで四日間、ずっと僕の後ろをついてくるばかりだった彼は自分の好きに走れるのに若干の緊張を持ちながらも嬉しそうだった。
湖畔はちょうど桜が満開だったので何ヶ所かで停まって写真を撮ってゆったりとした時間を過ごす。
ボート乗り場の近くではボート釣りのヒトが沢山いてみんな浅場に産卵に来るバスを狙っているのがよく分かった。
昔僕もバス釣りに夢中だった頃にはこの季節は富士五湖に毎週のように通ったことを思い出し懐かしかった。
のんびり過ごして榛名湖を堪能したので再び僕が先行して伊香保温泉まで下りる道を下る。
かなり急なカーブが続くので安全にスピードを殺して走った。
途中で路面をわざと起伏を作ってスピードを出さないような舗装をしている場所が何ヶ所かあり、カール君の僕も何事が起こったのかと焦ったり、その走り心地の悪さを笑ったりして走った。こう言う道はローリング族などの多い山道の随所にみられるのだけれど、バイクにとってはとても怖い道で、一つ間違えるとそれほどスピードが出ていなくても事故につながると僕は思うのだが、ケーサツの皆さんはそうは思わないらしいのだね。
30分ほど山を下ったら伊香保温泉に到着。
宿もすぐに見つかり、駐輪場もバイク専用に屋根の下にあったのでそこに入ると既に十台ほどのデカいバイクが置かれていた。
チェックインを済ませてビールを一杯飲んで早速温泉に入り疲れをとる。
この日のルートは短時間ながら充実していた。一日のルートを頭の中で振り返りながら湯に浸かった。
このホテルは洗い場のある温泉と屋上の露天風呂に分かれて湯があり、カール君は温泉を梯子して屋上の露天風呂も行くと言うのだが、僕は少し疲れていたので部屋に戻り眠くなったので少し昼寝をした。
ウトウトしていたらカール君が戻って来て、温泉街を散策してくるというのだが、僕はすっかり疲れていて昼寝するね、と寝てしまった。
夕食の時間まですっかり寝込んで疲れも取れたところでこのツーリングの最後の晩餐となる。
と言ってもホテルのバイキングなのでそれほどすごいものも無いのだけれど、僕は日本酒のつまみ用に焼き鳥やモツ煮、寿司などの日本食中心に食べ物を選んで大量にテーブルに並べて、とりあえずビールから日本酒へと二人で飲み進んでいった。
旅の山場を超えた安堵感と充実感に満たされて二人ともいい気分で酒が飲めた。
僕にとっても初めての経験に沢山出会えた旅になったので、この機会を作ってくれたカール君に礼を言った。
これまで一人だけのソロツーリングしかしたことのない僕にとって初めての二人でのツーリングだったが、お互い気遣い合いながら楽しみを共有できるツーリングは楽しみも二倍になりこれはこれでいいなあと感じていたのだ。
翌日は伊香保温泉から横浜まで帰るだけなのでほとんどが高速道路走行になる。
高速道を走るのは単調なライディングが続くのでバイクでも居眠り運転をすることがある。
これは事故を起こせば即、命に関わるような大事故につながるのでこの日の晩は早めに寝るようにカール君に話しておいたのだが、先に眠った僕が夜中に目を覚ますとカール君はまだ起きていたので早く寝るように諭した。
彼の日常生活のリズムが夜更かしなのでなかなか寝付けなかったり、持って来た仕事もあるらしく彼なりに大変だと言うことは承知していたのだが、この日だけは翌日の高速走行が危険だから早く寝るように、と話したら彼も理解してくれてすぐにとこに入って、気づけば僕より先にイビキをかいていた。
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