井手ちゃんぽんとのタタカイ@井手ちゃんぽん唐津店
前回は福岡空港の近くでのうどんとのタタカイに負ける話でありましたが、今回は佐賀県の唐津に移動してちゃんぽんとタタカウお話であります。
ちゃんぽんの前になぜ佐賀の唐津かといえば、今や日本一有名な遊漁船となってしまったサンライズ新海さんでの釣りに出かけたところ釣行初日はシケで海に出られなかったため、やむなく道具のセッティングだけ午前中にすませて午後は唐津の街を散策ということになったので、以前から車中から看板を見るだけで入ることのできなかった井手ちゃんぽんというお店に行きた〜い!とゴネたワタクシに釣り師一同にお付き合いいただいて出かけたという経緯なのであります。
今から10年前、初めて訪れた唐津の街並みの中に井手ちゃんぽんの名前を見た時には素早く反応してしまった。なぜなら四十年来の仕事仲間でスキー仲間の仲良し友達に「井手ちゃん」という男が居るからなのであります。
初めて井手チャンポンの大きな看板を見た時には「井手ちゃん、こんなところでお店出してたの?」とおもわず思ってしまったくらいそれはとても不意で驚きを伴ったものなのでありました。
以来、井手ちゃんぽんにはその横を通り過ぎてしまう度に「井手ちゃんごめんね、今日も行けなかったよ」などと心の中で叫んで居たのでありますが今回の出船中止でようやくいけることになり心は弾む。
街道沿いの井手チャンポンの巨大看板が遠くに見えてくるとすでにコーフンに打ち震え、何を注文しよか?など作戦を練るのでありました。
午後一時過ぎというのに比較的車で埋まっている印象の駐車場に車は止まり店の入り口を入る。
広い店内は思っていたよりがらんと空いており我等釣り師7名はお座敷席に案内された。
早速メニューを見て見るとちゃんぽんの他にも色々あったのだが、ワタクシはすでに心に決めていた。ここはノーマルなちゃんぽんで行こうと。
ところが、メニューの中にトッピングを見つけた途端に心が揺れる。
そこにはキクラゲ、と書かれているではないか。
ワタクシはキクラゲが大好物であのプリプリした食感がたまらない。
メニューの文字を見た途端頭の中は耳たぶのようなプリプリしたキクラゲ(中国語ではキクラゲを木耳と書いてムアールという)が麺の中からのぞ見るように混ぜられている様子を思い描いておりました。
もうここはキクラゲトッピングしか無いな、とろくにメニュの写真もろくに見ずに決めてしまった。
ほぼ同時に同じ席にいたジギング王とSさんもキクラゲトッピング、しかもダブルで!というのを頼むと申しておる。
もう一人の同席者、N氏は海苔トッピングを選んだ。
お店のお姉さんを呼んで四人分の注文をするのだがトッピングをどの麺につけるのかがややこしくて可愛いお姉さんを混乱させてしまいオヂサンたちは小さな反省と運んできたときに再びお姉さんに会えるという期待をしつつちゃんぽんが出てくるのを待つ。
しばらく待たされてようやく出てきたちゃんぽんを見たときに、あれ?これは誰が頼んだちゃんぽんかしら?と思うほど自分の勝手なイメージとは大きくかけ離れた佇まいのちゃんぽんが目の前に置かれる。
テーブルに置かれたちゃんぽんは全て黒い山盛りのどんぶりという状況で一瞬何が起こったのかわからずワタクシの軽い脳みそが混乱した。
そしてその黒い山には二種類あり、一つは海苔で麺が見えなくなっているもの、もう一つは千切りのキクラゲで覆われているものということが理解できた。
想像していた麺の隙間から恥ずかしそうに顔を見せているはずのキクラゲは千切りに切り刻まれて麺の上に山盛りにされてうず高い黒い山の様を呈している。
ありゃあ、こうくるかあ!と腹の中で叫んだのでありますが郷にいれば郷に従え、これが井手ちゃんぽん流のキクラゲならばそれをいただくしかない。
早速キクラゲをその奥にあろう野菜を麺に混ぜて食べようと箸を向けたのだが、もやしやキャベツなどの野菜は出てくるもの麺が端に引っかかってこない。
山盛りなので安易に崩そうとすると雪崩が起こってどんぶりの周りを汚してしまう危険もあった。
仕方ないのでキクラゲと野菜を口に運び食べ始めたのでありますが、千切りになったキクラゲはプリプリちゃんのイメージとは程遠くコリコリと口の中で音を立てて砕かれて行く。
頑張ってもやし、キャベツと共にコリコリもそもそと食べ進んで行くのであるが、肝心の麺がいつになっても現れない。
やがてうず高かった野菜と木耳の山が姿を消す頃になってようやく端に麺が引っかかってきたのを見てホッとした。
ようやく麺が一緒に食べられるという安堵のため息をついたのでありますね。
ところがここまでのキクラゲと野菜たちとのタタカイでワタクシの腹は概ね満たされてしまっており、せっかく麺が出てきたというのに箸が進まなくなってしまってた。
お隣のキクラゲダブルトッピングのジギング王も苦戦の様子。海苔トッピングのN氏も複雑な表情だった。
このまま食べ残す様なことがあっては井手ちゃんに、いや井手ちゃんぽんさんの方だ!に申し訳ない。
などと何とか気持ちを奮い立たせ最後まで食べきったときにはもう動きたくない程の満腹状態になっていたのでありました。
重くなったお腹を持ち上げる様に何とか立ち上がって店を出たのでありますが、車に乗るや否や反省会が始まる。
第一の反省点はキクラゲおよび海苔などのトッピングの量の多さとその盛り方にもはや精神的敗北をしていたということ、そしてその下に隠れる様に忍んでいた山盛り野菜にも不意を打たれた。
反省会に地元福岡出身のY店長は自分だけ小を頼んだので美味しくいただけたと自慢げに口を挟み一同からスルドイ批判的な視線を向けられる。
あの盛りの多さとトッピングの脅威について知っていて口を閉ざしていたのであるならば裏切り行為であるからなのであります。
この様に我ら釣り師はその多くが井手ちゃんぽんに完全なる敗退を喫し言葉少なにうずくまる様にして唐津の街に向かってY店長の運転するハイエースで運ばれて行ったのでありました。
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