今年のサクラマスは渋かった@尻屋丸
今年の3月は極めて温度変化の激しい三月でありました。
昨日は4月、5月の気温で半袖Tシャツで過ごしたかと思うと、いきなり翌日はダウンジャケットが欲しくなるような寒さの到来ともう三寒四温なんて余裕こいて行ってう場合じゃないくらい温度変化が激しい。
おかげで桜の開花なんてつい先日の東京地方ですら夏日!みたいな陽気につられて一気に開花したものの翌日には一気に真冬に逆戻りに「オイオイ!聞いてないよ」という声がき超えてきそうなくらいの激変天候。
ちょうどそんな激変の中、本州最北東端の尻屋崎漁港にある尻屋丸さんに毎年恒例となっているサクラマス釣りに行ってまいりました。
今回も初日は移動してむつ市に宿泊し二日間釣りをして最終日は半日釣りで夕方の便で東京に帰るという二泊三日下北の旅だったのであります。
今回は直前になって体調を壊したり仕事でいけなくなったりで定員の8名から3人もリタイヤが出て5人にこの旅をいつもコーディネートしてくださるネイチャーボーイズさんの柳さんとテスターの方を加えて合計7人での釣りになりました。
初日の移動日は午前10時過ぎの便で三沢に飛び昼過ぎに到着すると、三沢市内の「バラ焼き発祥の店」と言われるお店で名物バラ焼きを美味しくいただいてからむつ市までおよそ二時間の移動してホテルにチェックインして一休みし、夕食はこれまた毎回行きつけになりつつあるむつ市内の「あじさい」という美味しいお店で美味しいお酒をいただき早めに就寝したのでありました。
さて、釣り当日は5時半港集合ということで、4時半にホテルロビーに集合して車を走らせ港に向かうと北の空はうっすらと白み始めていた。
気温は5度くらいでさほど寒くはない、風もなく凪予想ということで時間より少し早く港に着くと一年ぶりの船長に挨拶して素早く乗船し釣りの支度をします。
6時出船時にはすでに太陽が海から上がっており明るい海の上を走っていくのでありますが、季節柄のスギ花粉に加え黄砂とPM2.5がこの日は大量に日本列島を襲っていたので空はぼんやりと霞みなんとなく薄黄色い、太陽もぼんやりとおぼろ月ならぬおぼろ太陽になってしまっている。
一時間ほど走るというので凪の海をいいことに早速絵のカフェを開店しようとコーヒー豆をゴリゴリと挽いて準備をしてみたら、湯沸かしポットが船の走行中は電気が入らずお湯がないことが判明したので、とりあえず到着したら即コーヒーを淹れようとスタンバイしていたのでありました。
先シーズンのサクラマス釣りは我々が来る数日前から爆釣モードに入り、船中50匹、60匹、70匹と日を追うごとに釣果は炸裂して我々の乗った日も船長の好きな69匹を軽く超えてしまうほどの釣果だったのでありますが、今年ときたら、われらの乗船する前の日は船中0匹で先乗りして一人いい思いも先取りしてしまおうと目論んでいたS氏を粉砕し、マスが釣れない人にだけもらえる尻屋丸名物のBOSEステッカーを見事ゲットしておりその前も船中数匹で今シーズン最高の日で船中4匹という有様なのでありました。
そんな渋いシーズンなのでBOSEステッカーは出まくり、マスはまあ釣れない、という中での出船となったのでありますが、この釣りは釣れる釣れないに関わらず非常にテクニカルなので釣りをするだけで楽しいのでワタクシ的には気分はルンルンなのでありました。
小一時間走って最初のポイントに着き釣り開始。
お湯の沸くまでの間、最初のひと流し目でみんなに釣られちゃうと悔しいのでとりあえずジグを落としてしゃくります。
マスジギングの特徴はしゃくる時の初速を素早く!しゃくり幅をそれなりに!そしてフォールで食う!というものなので、竿は少し長めでティップの柔らかい竿が向いているのでありますね。
我ら横浜のルアーショップ、エブフロ軍団はネイチャー・ボーイズさんがこの釣り専用に開発したアイアン・フリックという竿を使ったのであります。この竿専用ロッドだけにルアーコントロールもし易いし、繊細なティップのおかげで食い込みが良くバレにくい。
あとはできる限り素早く、ビシッ!と竿をしゃくってはサッとフォールさせるだけなのでありますが、このビシッ!が続けているとなかなか体に厳しい。
ひと流ししたところで早くもしゃくるのが嫌になりコーヒーを淹れて皆さんに振る舞い、みんなが釣りの手を休めている時を狙って自分だけ釣ってしまおうという作戦に出たのでありますが、ネイチャー・ボーイズさんのテスターの方がコーヒーは苦手、といいワタクシが無理やり進めたコーヒーを一口だけ飲んで釣りを始めたらすぐにマスを釣られてしまった。
作戦失敗なのでありました。
コーヒーを淹れて、その後の片付けなどしてモタモタしているうちに今度はネイチャー・ボーイズの柳さんもマスを釣り上げガッツポーズをしているではありませんか。
完全に出遅れたワタクシは必死にタナをしゃくり続けるのでありますが、ジグの色や重さを変えて色々やってみるものの全くアタラず、ジグを底まで落としてしまうとサメが釣れてくるばかり、というBOSE街道を一直線に突き進んでいったのでありますね。
ポイントを津軽海峡を西に移動してマス釣りの大船団に混じって船は流されたのでありますが、10時頃一度だけ魚が食い上げてくるアタリがあっただけで釣れない。
一度だけフォール中にアタリがあり何か重い魚がかかったのだけれど、ドラグを出すほど重くて糸は巻けない上にマスの引きでは無い。なんだろう?とやりとりしている内に針が外れてバレてしまった。外道のアタリがあるだけでもすごく幸せ!というくらいの渋い釣りだったのでこんな事でも希望を見出せたのでありました。
そのうち引率のエブフロY店長が1匹釣り上げて「よーし!仕事は終わった」などと呟き余裕をブッこいてカップラーメンのカレー味を食い始め、船上をカレー臭で覆い包み釣れない軍団(我々残されたゲスト釣り師のことね)をイラダタせるではありませんか。
カレーの香りに意識が朦朧としつつも、こんな挑発に乗るものか!と気持ちを引き締め直してしゃくり続けます。
ベイトロッドをしゃくる左腕はすでに引き攣りそうに疲労し限界を超えているのではないかと思うのでありますが、しゃくらなければ釣れない!とい心の中で呪文のように反芻しながら黙々としゃくったのでありました。
昼を過ぎたあたりで少し移動したら潮が濁っていたので、これはひょっとして何かいい変化があるかも、と思った矢先にY店長が2匹目をかけた。
う〜む、釣るなあ、とみていたら取り込みの時に船長のタモが一瞬早くマスにアタックしてタモドリどころかマスを突き飛ばしてバラしたので思わず笑ってしまった。ヒトゴトだから笑える典型例なのでありました。
それでもその直後、フォールスピードの違うジグに変えたら二度アタリがあったので、これは続けていればそのうち釣れる、という確信めいたものを感じたのでありますね。
とはいえそのジグはその先はアタリはなくなりました。
そんな努力も虚しく時は早くも午後一時を周り船長の次のポイントで最後です、というアナウンスで移動をした後最後の勝負!としゃくり始めた途端にまたまたY店長がマスをかけて3匹目のヒットをした。
なんで一人だけポンポン釣るのかはなんとなく分かっていたのだけれど、釣り方を真似してもうまくいかないので、とにかく基本の素早くしゃくり落とす、というのをやっていたらズン!と重いアタリがあり魚の手応え、「お!やったか!」と思ったのも一瞬、引きが方がもったりしていてマスのシャープな走る引きではない。タラでもかかったかな?と一応最後まで慎重に上げてきたらサメで、こいつが体をネジネジくねらせて仕掛けを台無しにしてくださり外道をつってがっかりした上にメインタックルも失うという事態になってしまったのでありますね。
残り時間は後わずか、諦めてやめるか、残されたタックルで釣り続けるか、答えは一つ!
釣り続ける!なのでありました。
サブの竿はタイラバ用ロッドでティップはしなやかなものの長さが短いのでジグをしゃくった時の動く幅が短くなった。
それが良かったのか、何度か落とし直してしゃくったところで待望のアタリがありマスらしくグイグイ走ってくれるではありませんか!
やったあ!最後まで慎重に巻き巻きして上げてきたらマスの姿が見えてきた。あとは船長にすくってもらうだけ、でもさっきタモパンチで一匹吹っ飛ばしてるのを見たから船長!お願いします!と祈る気持ちであげてくると、さすがの船長、同じアヤマチは繰り返さなかった。きっちりとタモどりをして下さり待望のマスキャッチ!あああ、長い道のりでしたあ!でも釣れてラッキー!
アドレナリンが出まくりさっきまで重くのしかかっていた左肩はウソのように軽くなり身体もココロも軽く弾むよう。
さらにもう一匹を狙ってすかさずしゃくり続けます。
終了間際の一本、いやY店長のと合わせてポイント移動後比較的短い時間に二本釣れたものだから、船長もここでタイムアップ、といえない釣りしの「念」を感じたらしくアドバンスタイムを宣告してくださった。
他の釣り師一同も、ワタクシごときに釣れるんだったら自分だって、と思ったのか気合いを入れ直してアドバンスタイムを心を一つにして闘ったのでありましたが津軽海峡のマスはそんなに甘くはなかった。
その後はノーフィッシュで納竿となり港に向かいます。
ワタクシは本当にラッキーな一匹のおかげで気持ちも軽かったのですがBOSE組はさぞや悔しかった事でありましょう。
港に着くと言葉少なに道具を上げます。
翌日は大しけの予報が出ており船長から朝から出船中止宣言が出ていたので落胆は大きかった。
むつ市ないの宿に戻り一休みして夕食は船長も交えて船長の馴染みの店で酒宴となったのでありますが、渋いなりに色々考えながらあの手この手を尽くす釣りなので釣れなくてもそれなりに面白く、盛り下がる宴会にはならなかった、どころか船長からBOSEステッカーをもらった皆さんは誇らしげな顔をしていた。
釣れなくてこんなに嬉しそうな釣り師を見るのもなかなかない、船長の粋な演出に感心しつつ夜は更けていったのでありました。
翌日はシケなのでゆっくりとホテルをチェックアウトして30分ほど走ったところにあるワイナリーを訪問しみんなでぶどうソフトクリームを食べて、ワタクシはワインを二本購入。
ホテルのルームキーを返し忘れたワタクシのヘマのおかげで再びむつ市内に戻り地元の酒蔵で日本酒も購入し、地元の喫茶店でハンバーグライスをいただいたら大間岬まで小一時間一走り。津軽海峡からの爆風の吹き荒ぶ大間岬で写真を撮ってお土産買ったら一気に三沢空港に向かい、時間丁度に空港に入ったところで飛行機の遅延を知らされ膝カックンするも立ち直ってよりより一時間遅れで羽田空港に戻って参りました。
「今までで一番渋かったけれど、一番面白かった」と言っていたネイチャー・ボーイズの柳さんの言葉通り、しゃくるスピード、フォールスピード、などジギングの色々な要素を見つめ直すことができてとても良い釣行だったと感じたのでありました。
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