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カテゴリー「JAZZ」の記事

JAZZ

2018年11月11日 (日)

岩見淳三16thリサイタル@かなっくホール 後半

前半が終わり後半への間の休憩時間は大学ジャズ研の仲間たちがたくさん来ていて近況話で大盛り上がり、あっという間に後半の始まりです。

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後半最初の曲はこの日のコンサートでは珍しくクァルテットでの演奏。以前のリサイタルは器楽演奏がメインでそこに歌が入るというパターンだったのが、ヴォーカル陣の成長で構成が逆転していました。今回のリサイタルのタイトルが「岩見Family with Special Unit」と銘打っていたその通りの内容なのでありました。

ということで始まったのはグルーブ・マーチャントという曲。
軽快なミディアムテンポの曲でギターのテーマに続いて本田さんのピアノソロ。
このソロがいい。スィング仕切っていると言ってしまえば簡単なんだけど、難しいこともさりげなく楽しいミュージックとして楽しく聞かせてくれた。
続くは岩見さんのソロ、こちらも負けじと色々やってくださる。ギターが鳴り切っていて心地よく響いてきた。

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ジャンボさんのベースソロもノリノリで早弾きあり、重くどっしり聞かせるところ有りで思わず会場からは拍手は飛ぶ。八木さんのドラムソロでフォーバースをこぎみよく決めてエンディングテーマへ。歌もいいけれど、こういうじっくり楽器の音を聴かせてくれる演奏もいいなと改めて思う。

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次の曲はファミリー全員が舞台に登場、と思ったらYAYOIちゃんがいない。プログラムには「上を向いて歩こう」と書いてあったが、HANAHちゃんのウクレレで始まったのは「Don't Worry Be Happy」のコーラス。あれ?と思ったらこのメロディーに乗せて「上を向いて歩こう」の歌がどこからか聞こえてきた。後ろを振り返ったら、舞台後ろからYAYOIちゃんが歌いながら降りてくる。

間奏で再びDon't Worry に戻って二番へ、ゆっくりと歌いながら会場のお客さんとやりとりしながら降りてきたYAYOIちゃん、歌が終わるのにピッタリ合わせて舞台に上がる。会場からはサプライズに拍手喝采。アレンジも洒落ていてよかったな。もともとこの曲、アメリカで流行ったのもただの物珍しさだけでなくアメリカ人をくすぐるメロディが潜んでいたのではないかと思う。特にサビのコード進行など当時としてはかなり耳に新しく聴こえたのではないだろうか。

ということで三曲目は前半飛ばして歌わなかった「スウィングしなけりゃ意味ないね」。この曲はこのファミリーの十八番的な歌。YAYOIのリードヴォーカルに子供達三人のコーラスが軽快に絡まる。「デュワ・デュワ・・・」のところは会場の観客に振って観客全体で大合唱。会場一つになって盛り上がる。

次の曲は長男のDAICHIくんのソロで「クワンド・クワンド・クワンド」
MCがまだ慣れない感じで初々しい。トークになっちゃってる。
曲は軽快なポップス。昔1970年代にエンゲルベルト・フンパーディンクの歌で流行った曲と言ったらご年配の方は、あ、あれか!とわかる方もいるかと。

DAICHIくんはここ一年で随分と成長したように思える。
初ライブに行った時にはまだ少しオドオドしながら歌っているようなところがあったけれど、今日の歌は堂々たるもので声も良く伸びていた。

ここでまた三人の身内ネタトークになりこれがまた楽しかった。

ここで、またまたサプライズ。

プログラムには載っていなかったハーモニカの「マツモニカ」さんの登場。
この人のハーモニカは僕は大好きで、音色、テクニック、表現力共に抜群なのだ。
ギターのイントロに乗って待つモニカの切ないハーモニカのメロディで始まったのはトゥー・セイ・グッドバイという曲。ベースがアルコでしっとりと入ってきて切なさを盛り上げる。ワンコーラス歌い終えたところでマツモニカの短い間奏、これがまたいい静まりかえった会場からも思わず拍手が起こる。後半はYAYOIちゃんの歌にハーモニカのメロディーが絡みつくように流れ切ないサウンドを盛り上げた。

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続いてもまたまたプログラムにない曲で「リンゴ追分」
ミディアムテンポながら軽快というよりは哀愁たっぷりのYAYOIちゃんの歌いっぷり。彼女最近はこういう日本の曲も多く歌っている。長い間日本中を演奏で回って色々日本語の言葉に感ずるところでもあったのだろうか。間奏は圧倒のマツモニカのハーモニカソロのあと岩見さんのガットギターも心地よく切ない音色を響かせた。再び一番の歌詞でワンコーラスYAYOIちゃんが歌いきってエンディング。こういう曲がコンサートの中に自然に入ってしまうところもYAYOIちゃんならではというところだろう。


次の曲は「オーライト・オーケイ・ユーウィン」というブルース。
出だしの歌詞をYAYOIちゃんと観客の掛け合いで始まる。ワンコーラス歌ったところでソロの受け渡しに。
マツモニカのソロはブルースになったら先程までの哀愁たっぷり系から一気にハードスウィング系に豹変した。安定の岩見さんのギターソロを経てピアノ、ベースとソロが引きづガレ、後半はYAYOIちゃんと観客の掛け合いで「イェイ・イェイ」だの「シャッポン・シャパシャパ・デュビデュビ」と盛り上がる。会場全体で手拍子が打ち鳴らされて一つになる。楽しい瞬間だ。

後半最後の曲は全員集合で「シング・シング・シング」。
ドラムのドンドンで始まるあの曲である。ドラムが始まると同時に会場からは手拍子が打たれて早くもノリノリ。
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ヴォーカルもコーラスもバッチリ聞かせてくれてドラム対ギターのソロに、岩見さんはこのソロで色々な曲のメロを弾くまくり引き出しの多さを見せてくれた。僕が分かっただけで五曲くらいかな、最後はフォー・オン・シックスで締めてドラムソロに。

この日の八木さんの一番の勝負所。
大技小技たくさん見せて聴かせてくださいましたよう。会場もソロの熱が上がっていくのに引きづられるように熱気を帯びていって最後には歓声や指笛が飛んでくる。

エンディングテーマもバッチリ決まって会場からは大歓声と拍手の渦。メンバー紹介の間も拍手は途切れることなく、一人一人の名前をコールするたびに客席から「イェ〜イ!」と声が飛ぶ。そのままアンコールの拍手は止まずメンバー全員が登場して岩見さんのご挨拶。観客と350クラブのスタッフの皆さんへの感謝の言葉を述べておられた。

メンバー全員でお礼を言うと拍手喝采。アンコールに期待が湧く。

アンコールは岩見さんのギターとYAYOIちゃんの二人で「花は咲く」
彼らは全国を演奏しながら回っている中で出会ったたくさんの人の中には、大震災や豪雨被害にあった人たちとの交流もあり、そんな人たちに支援の募金を行なっているのだが、この歌はそんな二人の想いを込めた一曲。歌に入る魂のようなものを感じる一曲は大変感動的でありました。目元に光るものを隠しながらお辞儀をして舞台袖に下がったYAYOIちゃんの姿が印象的でありました。

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以上でリサイタルは終了。

楽しませて、聴かせて、泣かせてと音楽の持つ素晴らしさ満載のリサイタルでしたよ。来年もまた第17回としてこの時期に開催されることを楽しみにしています。皆さんもご興味あったら是非足を運んでみてください。来年はまた今年とひと味違ったライブが見られると思いますよ。

あ、それから岩見ファミリーのライブが12月23日にあったんだ。このブログを読んで見たくなった人はまだ間に合います。

場所は横浜、関内の A.B.SMILEというライブハウスで昼、夜のツーステージ。詳細は岩見さんのホームページをご覧ください。
写真提供:350クラブ
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2018年11月10日 (土)

岩見淳三16thリサイタル@かなっくホール

ジャズギタリスト岩見淳三さんのリサイタルに行ってまいりました。
ここ数年毎年見ているのですが、昨年は僕の体調不良で行くことができなかったので僕にとっては二年ぶりのリサイタルであります。

開場時間の少し前に横浜の東神奈川にある会場のかなっくホールに到着。ロービーはすでに行列ができていたので並ぼうかな、と思ったら毎年夏に行われる大学時代のジャズ研OB会に会場を提供してくださっている安曇野レストラン・パンプローナのオーナー先輩ご夫妻がいらした。このリサイタルを見るために長野から出てきたのだという。世間話もそこそこに開場となったので行列に並んでホールに入ると、すでに中断まで人で埋まっていた。

この日は前売りチケットで全席完売だとかで激しい席取が予想されるも、舞台正面中断のいい場所を確保。先輩はこのリサイタルに来るのは初めてなので始まる前からワクワクしているご様子。あれこれ話していたらあっという間に開演のお時間となり客電が消える。

舞台も薄暗い中、ピアノ、ベース、ドラムスのお三方が出てきて配置についたところで、このコンサートを主催する岩見淳三ファンクラブ的な350(サンゴーマル)クラブの会長から演奏開始の前の簡単なMCがあり演奏開始。


ピアノトリオでのブルースが軽快なテンポで始まる。数コーラス軽快に飛ばしたところに岩見淳三が登場しソロに入る、さらに舞台上手からYAYOI、 SHIZUKA 、HANAH SPリンG、 DAICHIのボーカル四名が登場しDuke's Placeを歌う。ハーモニーもバッチリ決まってフォー・バースに入りメンバー紹介。

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ピアノは本田富士旺。ベース、ジャンボ小野。ドラムスは八木ちゃんこと八木秀樹と順番にYAYOIからの紹介で軽快に一曲目は終わる。

YAYOIのMCで岩見ファミリーの紹介があり続いてはCheek To Cheek。
SHIZUKA、HANAH、DAICHIのコーラス隊のコーラスがイントロでYAYOIが歌い出す。コーラス隊の三人がなかなか効いていて YAYOIのボーカルを盛り上げる。

このコーラス隊三人が岩見とYAYOIの子供三人なのだからすごい家族だ。
父はギター、母はヴォーカル、子供三人もヴォーカルということになる。

軽快な歌とコーラス、岩見のソロで二曲目が終わるとまたまたYAYOIのMCで三曲目は予定変更でサウンド・オブ・ミュージックになる。

ギターのイントロにYAYOIのヴォーカルで入りサビからインテンポになりリズムはボサ・ノバのリズムで軽快に乗りだす。YAYOIの歌を優しく包み込むようなコーラスが入り心地よく流れていく。映画のイメージとはちょっと違うけれどこれもまた良い。緑の美しいオーストリア・アルプスの光景がまぶたの裏に浮かんできたあたりで、メドレーでDAICHIのエーデルワイスに移っていく。

DAICHIのヴォーカルも以前に比べ堂々としたものでデビューした頃の初々しさから堂々としたヴォーカリストに成長していているのを感じた。

さらにSHIZUKAにバトンタッチしてマイ・フェイバリット・シングスに。SHIZUKAちゃんはもうヴォーカリストとしては中堅の域に達している。いつ聞いてもジャジーな雰囲気の声が素敵。スキャットも決まってバンドをリードしメドレーは終わる。

四局目はモナ・リサ
この曲はナット・キング・コールの歌が大有名だが僕も大好きな歌。歌唱力が問われる曲である。これをSHIZUKAちゃんと岩見さんのデュオで聞かせてくれた。
SHIZUKAちゃんの伸びのある声と細やかな表現でワンコーラス歌ったところでピアノとベースが入りインテンポに。2コーラス目はメロディをフェイクさせながらも見事に歌い上げてくれた。しっとりとまた堂々たるものでありました。会場からは大拍手。

次は HANAHちゃんの登場で彼女のオリジナルナンバー、Song For Darlingという曲。びっくりしたのはベースのジャンボさんがエレベに持ち替えた事。ジャンボさんのエレベは初めて見た。

曲はミディアムハイテンポの軽快なソウル・ナンバー(いまはソウルって言わないか?)HANAHちゃんはR&Bの人なのでこの手の歌生き生きとして歌う。
歌唱力、声の良さともに抜群でさすがメジャーデビューしているだけのことはある。
特に高域の声の美しさは素晴らしくウットリと、ドキドキとさせられてしまう。
観客も一緒にコーラスに加わりノリノリの曲でした。

ここでMCで家族漫才的な一コマがあった後今度は岩見さんのギターソロでFoggy Forestというオリジナルナンバー。
この曲は岩見さんの今年出たアルバムJAZZ&BOSSA IIというwアルバムに入っている曲なのだが、そこではテーマのメロディーはベースがとっていたのでギター・ソロで聞くのは初めて。

曲は岩見さんの故郷、熊野の山中の情景を描いたものなのだが美しく情緒的なメロディにの曲だ。
ギターという楽器はソロでの素晴らしい演奏を聴くとなんて懐の大きな楽器なんだろうと思うほど様々な音色表現力のある楽器だと痛感させられる。美しいハーモニー、メロディ、音色が絡み合う様に聴き入り会場は水を打ったように静まり返った。


一部の最後は I Got Rhythm
軽快なバックに乗ってヴォーカルも警戒にバトンタッチして順番に交代していく。
ワンコーラス終わると各楽器のソロに、ピアノの本田さんのソロが効いている。
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このかた経歴を見てもわかるが海千山千という感じの方で、曲の解釈、一つ一つの音使いが実に巧みだ。ジャンボさんのベースソロも歯切れよく八木さんのドラムソロも軽快でキレがいい、ソロの軽快なスピードに乗ってコーラスも軽快にノリノリ、エンディングもバッチリ決まって第一部の終了。
いやあ、楽しい。あっという間に終わってしまった。
後半に続く・・・


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2018年8月 9日 (木)

大学時代のジャズ研OB合宿

諏訪の旧友の元から安曇野へ向かう。

毎年夏に大学時代のジャズ研究会のOB合宿と称して、先輩の経営するスペイン料理店「パンプローナ」というお店にOBたちが集まりセッションをしながら酒を飲んでどんちゃん騒ぎをするというのが恒例となっているのだ。

一昨年までの三年ほど続けて参加したのだが、昨年は家庭の事情等で不参加となり今年は二年ぶりの参加となる。

日曜の午後3時ころから集まりきたものから飲み始めるといういい加減な始まり方をするのだが、僕が着いた3時飯過ぎにはドラマーのMとピアニストのSの二人しか来ていなかった。楽器をセッティングする二人を横目に見ながらオーナーのO先輩に挨拶すると、すでに数に来ていて買い物に出ているらしい。
僕らのジャズ研は当時体育会系ジャズ研と他の文化系サークルから呼ばれるほど体育会的で飲酒の強要と先輩後輩関係には特にうるさく、年齢に関係なく先にジャズ研に入ったものが先輩となるので、浪人の僕には年下の先輩もたくさんいたが、先輩のいうことは絶対だった。そんな関係は卒業後四十年近く経っても変わらず後輩は呼び捨て、先輩には「さん」付けの関係が残っているのが可笑しい。

みんなが集まったところでお料理が出され、再会を祝って乾杯する。
ジャズ研OB合宿とは言ってもメンバーは必ずしもジャズ研に属していたものだけでなく、その後のジャズという音楽絡みで仲の良くなった知り合いなども参加するので、今年の初顔の方にご挨拶などいただく。地元のミュージシャンも楽器持参で駆けつけてくださりサポートして下さる。

宴会が始まりしばらくは飲んで食べてがひと段落したら演奏が始まる。
僕がアルトサックスのT先輩を誘って演奏開始。

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先陣を切って出て行くのは多少の度胸もいるが音を一発出してしまえばもう引っ込みが付かないので後は勢いで突っ走る。先輩氏のいきなりの難曲指名にはビビったがヘロヘロになってなんとか着地、次の演奏者にバトンタッチする。

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次々とメンバーが入れ替わっての楽しい演奏が続きあっという間に時間はすぎて音の出せない時間が来てしまった。このレストランは住宅街にあるので大きな楽器の音だしには時間制限があるのだ。

演奏が終わればそれをネタに飲み会は進む。
時計の針はどんどん進んであっという間に11時を回りお開きとなった。
近くにとってあったログハウスに移動しさらに残った酒を飲みながらバカ話で盛り上がる。この辺になるともう酔っ払っていて何を話題にしたのかもロクに覚えていない。
午前1時頃まで騒いだろうか、誰が言い出すともなく寝ることになりベッドに倒れこんだ。
朝は食事を作る音で目が覚め、サラダにパン、ジュースなどいただいた後はEnoCafe安曇野店を勝手に開く。
みんなに無理やり自家焙煎コーヒーを飲ませて自己満足。

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一休みしたら宿を出て再びレストラン・パンプローナへ移動し後片づけをする。

片付けが終わったら恒例の記念撮影。
一名の大先輩が本日午後から急用とのことですでに始発電車で横浜へ帰ってしまっていた。残るメンバーで写真をとる。この会も今年で15回目だそうで過去の写真をオーナーのO先輩が取り出してきて懐かしい写真をみんなに見せた。

そこには今はなき先輩の元気な姿など写っており郷愁を誘うのだが、刻まれ重ねられたた時が確実に記録されていた。

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こうして一泊二日のOB合宿は無事に終わり解散となる。
来年もまた会いましょうと挨拶をするとそれぞれの次の行き先や家路につくのであった。僕は他のメンバーの車にくっついて穂高神社にお参りし交通安全のお守りを購入、さらに穂高インター近くの蕎麦屋で山盛りのもりそばを腹一杯食べ、そこでみんなとお別れし、一人横浜の自宅へと車を走らせた。


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2018年7月27日 (金)

THE LOST ALBUM@JOHN COLTRANE

コルトレーンの未発表レコーディングが先日発売されたので早速買って聴いてみた。
おそらくこのアルバムについての考証は多くの方がブログ等で描かれていると思うのでありますが、私のは一ファンの感想でしかないのでご了承を。

このレコーディング・テープが発掘されるまでの経緯は色々あったらしいが詳しくないのでここには書かない。

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一曲目はソプラノサックスでのマイナーブルースで始まる。演奏スタイルはフリー・スタイルになる前のコルトレーンの演奏スタイルといったらわかりやすいかな?その演奏は力強く、前年62年発売のアルバム「ライブ・アット・ヴィレッジヴァンガード」や「コルトレーン」の演奏と比較しても音も安定し堂々としたものに感じる。

テーマを2コーラス吹いてそのままコルトレーンのアドリブに。6コーラスのアドリブは当時のコルトレーンの和音の分解の仕方のお手本的な音の使い方で後年発売されたクレッセントなどにも通じる音の使い方。マッコイのソロに続いて珍しくジミー・ギャリソンがアルコとピッチカートの両方でソロを取りコルトレーンのアドリブ1コーラスを挟んであとテーマに。とてもまとまった演奏で聴いていて気持ち良い。

二曲目は「ネイチャー・ボーイ」
これは完成された演奏というよりもネイチャーボーイのコード進行上をどこまでコルトレーン的に崩して演奏できるのかを試しているような演奏で、テーマからコルトレーンのアドリブにそのまま入り2分半ほど吹きまくってベースのペダルに戻ってフェードアウト、というかなりお試し的な演奏。翌年発売のバードランドでのライブの I Talk About Youのカデンツァに通づる感じ。

三曲目はこれもタイトルのないオリジナルでソプラノサックスを吹く。テーマはモードっぽいけれどアドリブはコード一発もの。これは一曲目と似た演奏なのでコルトレーンのソプラノ・サックスのスタイルが確立していることがよくわかりますね。スケールのアウトの仕方なども素晴らしい、短い演奏ながらエッセンスが凝縮されている。マッコイのソロが安定していていいなあ。
この曲もベースソロがフューチャーされていて当時発表されたアルバムでのジミー・ギャリソンの影の薄さが嘘のよう。

四曲目はVILIAという曲
ここではテナーを吹いていますね。演奏的には一番オーソドックスに聞こえる演奏かな。歌ものだからそう聞こえるんでしょうね。

五曲目はあのインプレッションのスタジオ録音。
やっぱりあったんだ!と思いましたよ。それも演奏の中では翌年発表のライブのインプレッションでやっていることを4分半の演奏でほぼ凝縮してやっている。コピーしたりするにはこっちの演奏の方が内容が詰まっている文いいのかも、なんても思う。
短くても、あっさり、ということはなくなかなか熱い演奏です。

六曲目はスロー・ブルースというタイトルそのままのスローなブルース。
この演奏はすごい。当時のコルトレーンのブルースの解釈を思う存分発揮して吹きまくっている。テーマからいきなりアドリブみたいなメロディで始まりどんどん崩して行くのだけれど、このころの演奏で見られる様々なアドリブ展開の手法が存分に発揮されていて素晴らしい。
最後はアルバム「セルフレスネス」でも演奏されていた「ワン・アップ・ワン・ダウン」
これもインプレッションと同様、コルトレーンのアドリブのエッセンスがぎっしり詰まった演奏で素晴らしい。エルビンのドラムとのやり取りもこ気味よくスピード感ある演奏です。

このような内容のアルバムですが、どうして当時発売されなかったのか、いやインパルスの倉庫にも保管されなかったのかは謎。

インパルス時代前期のコルトレーンはプロデューサーのボブ・シールの作戦だと思うのだけれど、ライブ録音中心のクァルテット演奏、スタジオ録音はバラード系、という風にわざとしていたのでしょうね。

確かに本アルバムのインプレッションやワン・アップ・ワン・ダウンなどはどちらもライブの方が迫力を感じますもん。コルトレーン自身も自分の音楽はライブの演奏がメイン、と考えていたのかもしれませんね。65年に「至上の愛」で全編スタジオ録音のアルバムを出すまでは当時は発売していませんから。
興味を引くのはこのレコーディングが1963年3月6日の録音であることと録音がモノラルであること。

録音日についていえばこのアルバムの翌日にコルトレーンはあのジョニー・ハートマンとのレコーディングをしている。練習ではなくちゃんと録音したというからにはどこかで発表の機会も考えていたのでしょうけれど、結局日の目を見なかったのは先ほども述べたように当時はクァルテットはライブで、というのがあったんでしょうか?
先にも述べたように、本アルバムの録音前後にコルトレーンがスタジオレコーディングアルバムとして当時発売されたのは「バラード」「デューク・エリントンとコルトレーン」などのいわゆる売れ線アルバムで、コルトレーン・クァルテットでのアルバムは64年発売の「ライブ・アット・バードランド」、エリック・ドルフィーを加えてのライブで「インプレッション」となりスタジオ録音のみのアルバムはないというわけであります。

録音がモノラルなのは何故なのだろう?おそらくステレオ録音したものをなんらかの理由でモノラルミックスしたものがこういう形で残ったんだろうなあ。当時はマスターにステレオとモノラルを両方作っていたようでもあるので、そのモノラルだけが残っていたということか?


何れにしてもコルトレーンの没後51年目に発見されて発売されたこのアルバム、ファンは必聴でしょう。


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2018年5月25日 (金)

岩見淳三トリオ+1with YAYOI@ MUZA川崎 音楽工房

ジャズギタリスト岩見淳三さんのCD発売記念ライブ第二弾と称してのライブがあったので聴きに行って来ました。

前回今年の三月十四日にはCD発売記念ライブ第一弾がありそこに出かけた際に発売されたCD「JAZZ AND BOSSA II」を購入し、本ブログにも感想文を書きましたが、CDでは演奏されていたのに前回のライブには参加していなかったトランペットの伊勢秀一郎さんをどうしても生で聴きたかった、というのが今回出かけて行った一番の動機なんです。

CDで聴ける伊勢さんのトランペットの音は甘く切なく繊細で聴いていて心に染み渡ってくるものがありました。これを生で聴くチャンスを逃すものかというわけです。

会場はJR川崎駅前のMUZA川崎、ここの市民交流室と呼ばれる150人ほど入れる小ホールで行われました。小編成のジャズを聴くにはこのくらいの箱の方が演奏者の息遣いが伝わって来ていいというものです。

午後7時、予定通り開演。
はじめに登場したのは岩見淳三ギター、中村新太郎ベース、山口新語ドラムスのギター・トリオ。CDのメンバーです。

一曲目はアップテンポの曲(曲名は忘れた)ノリノリにスタート。確かこれはCDには入っていない曲だった。岩見さんのMCがあって二曲めに進む。

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二曲めからはギターをクラッシックギターに持ち替えて曲は「Polka dots and moonbeams」
この演奏は最初のギターの一音で涙が滲んで来てしまった。
最近歳のせいか僕は妙に涙もろくなっているのですが、このギターの音、そして素晴らしいタイミングで入って来たベースとドラムすにすっかりやられてしまった。
僕の心の何処かにある琴線に触れてしまたのですね。

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このトリオのコラボレーションは素晴らしく、タイトで控えめながら要所をきちっと決める山口さんのドラム、一音一音気持ちの入った音で歌い上げる中村新太郎さんのベース、そしてその二人をバックに縦横無尽に展開する岩見さんのギターソロのサウンドが会場を温かく包み込んみ、演奏が終われば水を打ったように鎮まった会場から感動の拍手がわいて出た。


「It's the talk of town」では静かな演奏からノリノリのボサノバのリズムに変わり会場全体がスイングする空気が伝わってくる。
この曲も生で聴くのは二度め、CDでは何度も繰り返し聴いているけれどトリオの息のあった演奏がどれも素晴らしい。
曲順は忘れてしまったけれど、この辺りでトランペットの伊勢秀一郎さんが登場し、僕は待ってましたとばかりの拍手で迎えました。

伊勢さんが入っての最初の曲はなんだったか忘れてしまったけれど印象に残っているのはギターとトランペットのデュオで演奏した「There will never be another you」

最初はスローテンポでバラード風に始まる。この伊勢さんのトランペットの音が実に優しく温かく僕を包み込んで癒してくれる。これだよ!これが聴きたかったんだよ!と耳をすます。
テーマを拭き終わったところでインテンポになりソロを展開していく。
伊勢さんのソロは音色と同様メロディアスで優しく包み込むような暖かいソロ。
トランぺとというとやたらとテクニックを見せびらかしたり大きな音を威勢良く強いアタックで吹く人が多い中、伊勢さんのペットは柔らかなその音色とフレーズでギターの音の邪魔をしないのでギターとの間に実に絶妙なバランスが取れた世界が広がる。どこまでも温かく、優しく、全てを許容して包み込んでくれる感じ。まるで子守唄でも聴いているかのような心地よさ。

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岩見さんのギターソロ曲を挟んで舞台にヴォーカルのYAYOIが登場し二曲ほどいつものノリノリの歌を披露。(順番はうろ覚えですが)

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会場一体となって演奏と歌を楽しませてくれたところで第一部の終了となりました。
第二部の始まりは「Foggy forest」という岩見さんのオリジナル曲。
故郷の熊野の山の中にある小さな村の神社の神木を見て作ったというその曲は岩見さんのギターをバックに中村さんの太く力強いベースでテーマのメロディが奏でられはじめる。

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サビの部分でギターの音が流れるサーッと新しい空気が流れ込んできたように世界が広がる瞬間が心地よい。再びベースに戻りテーマが終わるとギターソロへ。
ちょっとフォークソング的なメロディの曲なのだけれどとても幻想的な世界を喚起させられて素晴らしい曲です。

長くなるので端折りますがその後、途中から伊勢さんのトランペットが入りアルバムから「St.VITAS dance」「Zingaro」などの曲が演奏されます。

控えめながら実に細やかな技でバックをサポートする山口さんのドラムが素晴らしい。ドラム・ソロもまた素晴らしかった。

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どの曲も素晴らしい演奏だったのですが一番シビレタのは伊勢さんの入った「Zingaro」かな。シンプルなメロディがうねるようなコード進行の上をなぞっていくような曲なのですが、そのメロディははなんとも切ない響きで、これがまたまた切ない音色の伊勢さんのトランペットで吹くと素晴らしい。
再び不覚にも涙がにじんできてしまい、恥ずかしいので人に見られないように目をつぶって聴いていましたよ。

甘く切ない伊勢さんのトランペットソロの後に続いて岩見さんのギターソロもまた素晴らしい。次アントニオ・カルロス・ジョビン作曲のこの曲、ボサノバ特有の切なさや哀愁を醸し出しつつどこか人生を励まされるようなそんな演奏でした。
続いて一部同様にYAYOIのヴォーカルが順次入って二曲ほど最後は「What a wonderful world」でしっとりと終了しました。
と思ったらアンコールの拍手に呼ばれて岩見さんがギター片手に登場。
ソロで「I'll be seeing you」をしっとり聴かせてくれて暖かい拍手でコンサートは終了しました。

この演奏も岩見さんの気持ちの入ったギターの音色が美しく繊細にそして時に物悲しく時に力強く奏でられ、会場は水を打ったように静まり返り聴き惚れました。東北大震災の追悼イベントで演奏したというこの曲。岩見さんの被災者への寄り添う気持ちがそのまま音になってで奏でられた素晴らしい演奏でした。

ジャズは普段あまり聴かない同行者の感想は、今ままでライブはたくさん見てきたけれど「楽器が歌う」というのを感じたのは初めて!、とても楽しかった、と岩見ファンお僕にとっても嬉しい言葉をいただきました。
なお本ブログに掲載した写真は特別な許可をいただいて取らせていただいたものです。許可なしでの転載は二次使用はご遠慮ください。よろしくお願いいたします。


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2018年4月13日 (金)

THE JAZZ TRIO@Paul Smith Ray Brown Louis Bellson

先日、月に一度くらいの割合で通っている西新宿にある整体院に行った。

予約時間よりだいぶ早く着いてしまったのでどうやって時間をつぶそうか、喫茶店(て今は言わないか、でも近くにルノアールがあったぞ)でコーヒーを飲むには時間も半端だし、そもそも自分でコーヒーの焙煎を始めてからというもの、街場のカフェのコーヒーの味に対する失望が大きくお金を払ってあまり美味しくもないコーヒーを飲む気にもならないし、さてどうしようか?と、とりあえず整体院の入るビルまで来たところ「中古レコード」の看板が目に入った。


どれどれレコードでも眺めて暇をつぶそうかとお店のある二階へ上がってみたら、店の入り口にレコードが無造作に入った箱がいくつか並んでおり「どれでも一枚200円」という札が立てかけられていた。

こういうのを見ると俄然燃え上がるのが中古レコードエサ箱アサリ魂(そんなのあるのか?)で、箱の中には絶対お宝が眠っているに違いない、待っていろよお宝ちゃん、今僕が君を拾い上げてあげるからね、と早速あさり始めた。

見ていくと段ボールの中のレコードは昭和の歌謡曲、ソウル、アメリカンポップスなどでしめられていて、スタイリスティックス、ダイアナ・ロス、オリビア・ニュートンジョン、なんて思わず懐かしくて買ってしまおうかと心をくすぐってくる。なんたって一枚200円なのだから。

それでも我慢してジャズ以外は無視してあさり続けていくと三箱目でやっとJAZZの文字が目に飛び込んできた。

「THE JAZZ TRIO」というタイトル文字に、おおなんと臆面もなくよくぞつけたジャズの王道を行く的潔いタイトルだ、と手に取りメンバーを見たらpaul smith    ray brown    louis bellson と書かれている。

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レイ・ブラウンとルイ・ベルソンはよ〜く知っているけどピアノのポール・スミスは知らなかった。でもどこかで聞いた響き、ファッションブランドにそんなのがなかったっけ、などと思いつつも、ベースとドラムがこの二人ならリズム隊はドライブしていいレコードに違いない、いや、プロデューサーがピアノが心細いからリズム隊を強力にしたのか?などと考察しつつも200円払って買ってきた。ダメアルバムでも200円なら悔しくない。

整体で修行のようなきつい治療をしていただき調子の悪かった膝がすっかり楽になったところで、この日は下北沢にあるバーで知り合いの画家が個展をやっているので見に行き、居合わせた知人関係の方々とワイワイやりながらお酒を飲んでいたら、ふとカウンターにレコードプレーヤーがおいてあるのを見つけた。 恐る恐るこれかけてくれますか?と200円のポール・スミスを取り出したらマスターが快く受け取ってくださりくるくると回り始めた。
さて、どんな音が飛び出すのか、ワクワクドキドキしながら耳をそばだてていると、なんと実に小気味良いピアノ・トリオのサウンドが流れてくるではありませんか。
あ、これ大当たりだ、とその瞬間思いましたね。
演奏はオーソドックスなモダンジャズ・ピアノ・トリオそのもので奇抜なことは一切なし。真正面からのバップ勝負という演奏が潔く心地よい。

お店のBGMとしても上質なサウンドだったのでお店の方が裏までかけてくださった。
いやあ、今日はなんだか得しちゃったぞ、とその日は心地よく酔っぱらい終電で帰宅した。

翌日、件のアルバムを朝からかけて聴き直す。
酔っ払った勢いで良く聴こえたのかもしれない、という思いと夕べの心地よいサウンドをもう一度という思いとでターンテーブルを回した。

おお、我が家のオーディオの方がお店の小さいスピーカーよりデカイ分迫力があるぞ、レイ・ブラウンのベースがグイングイン唸るし、ルイ・ベルソンのドラムスがシャープに炸裂する。ピアノも軽快で美しいタッチで聞いていて心地よい。演ってる曲もスタンダードのオンパレード。いやあ、渋くていいアルバムだなあ、さらに200円の割にレコード盤の状態も良くノイズがほとんど出てこない。

ポール・スミスさんについては全く知識がなかったのでググってみたら僕の勉強不足が露呈した、エラ・フィッツジェラルドのバック・ピアニストとして有名らしい。

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西海岸の人だということもわかり、ディスクユニオンのページを見たら10枚くらいアルバムがある。ディスクユニオン的には「ソフト・サウンディング・ジャズを代表するピアニスト」らしい。ソフト・サウンディング・ジャズというのは初めて聞くジャンルわけだが、まあ納得できる。サウンドがソフトでそのままだから。

若い頃にトンガッたジャズばかり聴いていたのでこういうオーソドックスな人たちに以外尊いのよね、などと言い訳しつつ朝からソフトなジャズのサウンドにつつまれて幸せな時間を過ごしたのであります。

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裏のライナーノーツを眺めていたら1977年アウトスタンディング・レコードというところで録音されて「insights」というレーベルだ、クレジットに日本人の名前が二人入っている。さらに見て行ったら、あれえ?Printed in Japan ¥2500 て書かれている。ひょっとしてとジャケットの中を見たら解説書まで出て来た。

ジャズ評論家の佐藤秀樹さんがポール・スミスについて詳しく解説している。
なんだ発売元は日本ではRCAだったんじゃないか。すっかり輸入盤だと思い込んでいて見落としていた。

詳しくは書かないけどとにかく素直に心地よく聞けるいいアルバムなのでありました。

もし、何処かで見かけたら買いですよ〜!


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2017年10月16日 (月)

TODAY AND TOMORROW/McCOY TYNER(ヨーロッパ盤LP)

秋めいたら急にジャズばかり聴くようになってしまい自ずと本ブログ記事もジャズネタが連続してしまいますが、本日はマッコイ・タイナーの「トゥデイ・アンド・トゥモロー」というアルバムです。

Photo

TODAY AND TOMORROW

Personel
SIDE1  1~3
THAD JONES tp
FRANK STOROZIER  as
JOHN GILMORE ts
McCOY TYNER p
BUTCH WARREN bs
ELVIN JONES ds

4~SIDE2
McCOY TYNER p
JIMMY GARRISON b
ALBERT TOOTIE HEATH ds

曲目
SIDE1
1.CONTENPORARY FOCUS
2.T'N A BLUES
3.THREE FLOWERS
4.FLAPSTICK BLUES

SIDE2
1.NIGHT IN TUNISIA
2.AUTMUN LEAVES
3.WHEN SUNNY GETS BLUE
4.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
5.FIVE SPOT AFTER DARK

Bounus Tracks  SIDE1-4  SIDE2-4.5 

このアルバム、オリジナルはインパルスから発売されていて、セクステットとピアノトリオの演奏がそれぞれ三曲ずつ交互に収録されているアルバムでありまして、当時コルトレーン・バンドのメンバーだったマッコイにとってセクステットとトリオのどりらがトゥデイでどちらがトゥモロウなのかは本人に聞いてみたいところでありますが、アルバムでは先にセクステットから始まっているところや、このアルバムの発売の頃にはコルトレーン・バンドと決別しているところなどから、セクステットがトゥデイなのかと思いきや、録音はトリオ演奏が1963年でセクステットが1964年、演奏曲もトリオはスタンダード中心なのがセクステットは全曲オリジナル、しかも最初の曲名が「コンテンポラリー フォーカス」となるとセクステットが「明日」でトリオが「今日の姿」なのでしょう。

と、ここまで書いて見たのですが、私の手元にある本アルバムは今年になってヨーロッパのレコード会社から発売されたアナログ盤で、収録の曲順がオリジナルと全く違うんでありますよ。

A面の頭から三曲がセクステット演奏で四曲目以降がトリオ演奏となり、しかも、トリオ演奏のボーナス・トラックが三曲も挿入されているので、オリジナルのアルバムとは全く違う内容の構成になっているのであります。
以前、本ブログでギル・エヴァンス・オーケストラの記事でやはり曲順をオリジナルと変えてしまったために全く違う意味のアルバムになってしまっている、ということを書きましたが、ここでは演奏内容からアルバムの意味はさほど変わらないであろうにしても聞いた時の印象は全く異なるものになってしまっているのでありました。

しかしながら、ではこのヨーロッパ盤が良くないのか?と言いますと、必ずしもそうではなく、異なる編成の演奏をスパッと前後に分けてしまったことから、すっきり分かりやすい構成になっていることも事実で、最初に賑やかななセクステット演奏を堪能した後にリラックスしてトリオ演奏を聴けるという楽しみ方ができないでもない。

演奏内容はと申し上げますと、前半三曲のセクステットものは一発物あり、激しいブルースあり、モーダルな感じで結構いやらしいコードチェンジをしている曲ありで、サウンド的には新しく聴こえ、のちの「エクステンションズ」などのアルバムにつながるサウンドになっております。
ホーンの三人もなかなかいい演奏を繰り広げておりまして、各メンバー、エルビンの熱いドラムに引きずられるように熱い演奏を繰り広げておりますね。しかし、コード進行のいやらしい三曲目のスリーフラワーズはちょっと手こずっている感じ。

後半のトリオものはマッコイの旧作「バラードトブルースの夜」を思わせるリラックスしたピアノトリオ演奏で、おまけで収録されたブルース以外は王道を行くようなスタンダードばかり演奏しています。


もう一つこのアルバムで目が行ったのは、セクステットのテナーサックスがジョン・ギルモアという人であること。

このかた、あまり名前は知れれていないようですが、アメリカジャズ界ではミュージシャンから一目置かれるミュージシャンズ・ミュージシャンのような方なんです。

1950年台後半にクリフォード・ジョーダンのデビューアルバムで一緒にプレイしていたり、その後アート・ブレーキーのジャズ・メッセンジャーズに入団し来日もしている。しかもその時、当時に日活アクションものか何かの映画に演奏シーンで登場までしている。

実は彼に興味を持ったのはこの映画のワン・シーンをビデオで見た時に、アート・ブレーキーはわかるけれど、後ろにいるバカでかいテナーは一体誰だ!とわしらジャズ仲間で議論になり、色々調べたところこのジョン・ギルモアという人だということが判明し、その間、色々この方の演奏しているレコードやらCDやらを聞いているうちにすっかり好きになってしまったという経緯があるんですね。

その後の活動には詳しくないのですが、サン・ラノアーケストラに入り長いこと共演していたようであります。
アシュリー・カーン著の「インパルス・レコード物語」という本にも、このアルバムのことが少しだけ書かれており、文脈からすると、ジョン・ギルモアをサン・ラノアーケストラから連れてきたのはプロデューサーのボブ・シールのように読み取れるのだけれど、本当なのだろうか?

ともあれ、そんなジョン・ギルモアの演奏が思いがけず聞けたのもとても嬉しかったし、マッコイのある種過渡期的な時期の演奏を収めたアルバムとして十分聞く価値のあるものだと思うわけでありました。


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2017年10月15日 (日)

ELVIN JONES JAZZ MACHINE AT ONKEL PO'S CARNEGIE HALL

先日カーター・ジェファーソンというサックス吹きの記事を書きましたが、その中で1980年代にエルビンのグループで演奏していたとご紹介していました。

本日、ひと月ほど前にまとめ買いしたレコードがアルバム数枚部屋の片隅に、「暑くってジャズなんか、特に暑苦しそうなエルビンのツイン・サックス・バンドのライブものなんざ聴いていらんねえや!」と放置していたものを、「秋雨がそぼ降り涼しくなった途端に、どれどれ、ジャズでもじっくり聴いてみるか」と手に取り始め、その中の一枚をとって「エルビンもいいかも」なんて言いながらメンツを見てみれば、なあんと!サックス、カーター・ジェファーソンと書かれているではありませんか!

灯台下暗しとは正にこの事、まさか自分がカーター・ジェファーソンが入っているエルビンのレコードを持っていようなんざ夢にも思わなかったぜえ。と、ひとり朝から飛び上がって喜んで手にしていたアルバムがこれ、
「ELVIN JONES JAZZ MACHINE AT ONKEL PO'S CARNEGIE HALL」というなが〜いタイトルの二枚組レコードで1981年ハンブルグで収録されたものであります。

Photo_2

Personel
CARTER JEFFERSON sax
DWAYNE ARMSTRONG sax
FUMIO KARASHIMA piano
MARVIN HORNE guitar
ANDY McCLOUD bass
ELVIN JONES drums

曲目
1.ELVIN JONES BLUES
2.FRIDAY NIGHT
3.DOLL OF THE BRIDGE
4.IN A SENTIMENTAL MOOD
5.MY ONE AND ONLY LOVE
6.ANTIGUA
このアルバム、二枚組のくせして6曲しか入っていない。ライブ録音なので当たり前なのかもしれませんけれど、当時の熱いジャズはライブともなれば一曲20分なんていうのはザラにあったので特に驚きはしませんが時代は変わったなあ。最近のライブ録音て曲がたくさん入っていますよねえ。それだけ演奏が淡白になっちゃったんだろうな。昔のあつ〜いジャズが恋しくなってきた。という事で早速聴いて見ました。


上記のパーソネルを見ると二本のサックスからなるバンド・スタイルはグロスマン、リーブマンの時代の有名なライトハウスのライブ録音が残っているエルビンバンドのスタイルを踏襲した形式になっておりますが、コード楽器のいなかったカサカサに乾いたサウンドのグロスマン、リーブマン時代と違い和音楽器のギターも入ってし、さらによ〜く見るとピアノは今年亡くなった辛島文雄さんだ!

辛島さんがこんなところで活躍なさっていたとはつゆ知らず、改めて素晴らしい演奏に感銘を受けるとともにご冥福を祈ってしまったのですが、今回も注目したいのはサックスのカーター・フェファーソン。

一曲目は、いかにもテキトーに名前をつけました、という感じのブルースだけれどいきなり熱い演奏。
しかし、サックスの二人が前面に出てバトルを繰り広げるというよりは、全員のソロのバランスを考えて構成されていて、例のライトハウスのライブとは全く違うバンドのサウンドなのでありました。

演奏も、サックス陣のお二人なんだかイマイチ。
カーター・ジェファーソンもウッディ・ショウのバンドで見せた、いや、聴かせた歯切れのいいソロが聴けない。どこか調子悪かったのだろうか?
三曲目のDOLL OF BRIDGEは蕗谷紅児(ふきやこうじ)の「花嫁人形」でありました。「きんらんどんすの〜す〜の、お〜び締めながら〜」というやつです。若い人には分かんないか?その「花嫁人形」アルバムクレジットには辛島さん作曲と書かれていますがこれは間違いですね。

テーマは日本の懐かしのメロディのジャズアレンジで、日本人の僕的には聴いていて少々恥ずかしい感じもしなくないんですが、アドリブに入ってしまえばこれはもう怒涛のエルビン・サウンズで圧倒的なジャズを展開してくれます。

ここでも、いいソロ取ってるのはマービン・ホーンという人のギターと我らが辛島さん。辛島さんのソロが本当にいい。

さらに四曲目、五曲目のバラード二連発においては辛島さんフューチャーで実に美しいサウンド、ここでのギターもいい。

最後の曲 「アンティグア」は冒頭にも話した「エルビン・アット・ライトハウス」というアルバムで大受けしたテナーバトル曲なのでありまして、LPの片面一曲で勝負という長い演奏になっているのでありますが、ここでも残念なことにテナー陣がイマイチ!ギター君と寺島さんのリズム陣の圧倒的勝利で終わってしまった。

振り返ると、ギターとピアノのアルバムだな、という印象。
なんて発音して良いのかわからない名前の方のサックス、アームストロング君はともかくカーター・ジェファーソンにはもう少し頑張って欲しかったなあ。

何か本調子が出せない理由があるに違いないのだと思うのだけれど、このレコード一枚で彼の演奏を全て評価してしまうのにはあまりにも気の毒というレコードなのでありました。


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2017年10月14日 (土)

THE STRAIGHT HORN OF STEVE LACY

スティーブ・レイシーというソプラノ・サックス吹き、名前は知ってるけどちゃんと聴いたことないよ〜。というジャズファンも多いと思われる、いわばマイナーなミュージシャンなのでありますが、僕は大学生の頃から大好きでジャズ喫茶でリクエストして他の客から嫌な顔をされたりしたものであります。

そんな不人気のレイシーのアルバムは中々手に入らなかったのですが、最近彼の初期のものを手に入れることができました。

改めて聴き直すとみんないいのでご紹介したくなっちゃうんですが、今日はその中からの一枚、「 THE STRAIGHT HORN OF STEVE LACY」というアルバムをご紹介しましょう。

Photo

THE STRAIGHT HORN OF STEVE LACY

1.Luise
2.Introspection
3.Donna Lee
4.Played Twice
5.Air
6.Criss Cross

Steve Kacy      soprano  sax
Charles Davis  baritone sax
John Ore         bass
Roy Haynes     drums

1961年録音のこのアルバムはレイシーの三枚目のアルバムになりますが、ハード・バップの曲をやっているので聴きやすいという事と、コルトレーンがマイ・フェバリット・シングスで初めて自分らしいスタイルのソプラノ・サックスをご披露した年(前年にアヴァンギャルドで吹いているが発表されたのは1966年)と同じ時期当たるので、聴き比べてみると面白いということなどがあって取り上げたのであります。

レイシーの演奏スタイルを言葉で表現するのは難しいのだけれど、簡単に言ってしまうといわゆる「バップ・フレーズ」を吹かない独自にメロディの作り方にあるのではないでしょうか。

これは僕自身がソプラノ・サックスを吹いてみてわかったのだけれど、テナーサックスではサマになるバップ的ツー・ファイブのフレーズやバップ的アルペジオなどをソプラノでそのまま吹くととても古臭い、簡単にいうとダサい音になってしまうんですよ。
おそらくレイシーもそのことを十分承知してアドリブのメロディーの組み立てをしているに違いなく、その組み立て方が当時としてはとても新しいサウンドに聞こえたに違いないと思うのです。

このアルバムではビ・バップの代表曲といってもいい「ドナ・リー」をやっているのですが、共演のバリトンサックスのチャールス・デヴィスがバップ・フレーズの大爆発でノリノリにブローしているのに対してレイシーのソロは音数も少なく、でもホットな新しい解釈のソロを展開している。そのメロディの作り方の違いはコードの解釈の違いにもよるのかもしれない。

レイシーの作るメロディは決してフリーにやっているわけでなく、むしろモンク的なコードの細分化と感覚から来ているように聞こえるんですね。僕が思うにはおそらくこの人はモンクの影響をとても受けているのではないかと思われます。モンクの作品集を何枚も出していることからもそれは伺えますね。

モンクの和声解釈がモダンジャズ・サウンドをもたらしたように、管楽器のサウンドもモンクの解釈を取り入れてビ・バップから抜け出しよりモダンに進化していったように感じるんですね。

それは、モンクのバンドで修行したコルトレーンがコードの細分化とスケール・トーンを多用した新しいスタイルを作り上げていったことも証明していると思われますし、おそらくソプラノサックスでは先輩にあたるレイシーの演奏をコルトレーンが聴いていなかったはずがない。コルトレーンがレイシーのスタイルは俺のやり方じゃないな、と思ったのか二人のスタイルは全く異なるものになりましたが、スタイルこそ違えど、それぞれがモンクの影響を受けたと思われるレイシーとコルトレーンの二人が当時のモダンジャズ・ソプラノ奏者としてジャズ界をリードしていった事実には違いないのと思われます。

まあ、理屈では色々言えるのですが、そういう過程を経て出しているレイシーのサウンドが好きか嫌いか、問うことになると、これはまた別な問題でして、バラバラと流暢に吹きまくるコルトレーンと比較すれば、どこかトツトツとメロディを組み立てていくレイシーのサウンドは地味といえば地味、好みの分かれるところだと思うのですが、僕は好きだなあ。

余談になりますが、このアルバムの後、レイシーはドン・チェリーと共演をするところもコルトレーンと同じ道を辿っているところが面白いのでありますが、ここではコルトレーンがオーネット・コールマンのバンドメンバーそのままにコールマン的フリー・ジャズをやったのに対し二年遅れのレイシーはきっちり自分の音楽に仕上げているあたりも面白い。案外二人は、少なくともレイシーはコルトレーのことを同じソプラノ吹きとしてライバル視していたのかもしれないなあ。

1970年代以降はフリー・ジャズに行ってしまったレイシーなので、フリーは嫌い!とおっしゃる方も多かろうとお思いますが、この時代のレイシーは聴きやすく一聴の価値がありますぞ。

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2017年10月13日 (金)

CATER JEFFERSON @THE RISE OF ATLANTIS

涼しくなってきたせいか、急にジャズを聴くようになった今日この頃ですが、新たにレコードやCDを買うことはあえてせず、これまでまとめ買いした中で、真面目に聴き込んでいなものを取り出しては聴いております。

今回はサックスのカーター・ジェファーソンという人のライズ・オブ・アトランティスというアルバム。

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この人あまり知られていないサックス吹きだと思うのですが、昔買ったウッディ・ショウのライブアルバムで聴いて以来大好きなコルトレーン系のサックス吹きなんです。

ところが、他の演奏をいろいろ探してみたのですが同じウッディ・ショウのバンドで二枚ある以外になかなか見つからないんですね。
これだけの実力のある人がなぜ?と思うのですが、1970年代後期という時代的にちょうどブレッカーやグロスマン、リーブマンあたりに人気が集中していた上にその後はジェリー・バーガンジなどの派手派手サックスが続々出てきてしまったために埋もれてしまたのかと思われます。

彼自身はライナーノーツによればウッディ・ショウのバンドの後はロイ・ヘインズやエルビンのバンドなどで演奏していたらしいのですが、これらのバンドが時代の流れの中では地味な存在だったこともレコーディングのない理由なのかな?

おそらくはライブハウスではものすごい演奏をしていたのではないかと思うと、一度くらい生で聴いてみたかったと思うのであります。ちなみにこの方1993年に47歳の若さで演奏旅行中に患った病気の手術が元で亡くなってしまったらしい。
もう少し生きていてくれたらチャンスもあったろうにと思うと悔しいのでありますね。

さて、肝心の演奏の方なのですが、このアルバムは良くも悪くも1970年代サウンドですねえ。ジャズがスタンダードから離れて新しい形を探していた時代のいい時期のサウンドといったらいいのか。少々大げさなタイトルにテーマも物々しく鳴り響くメロディ、といったもので1970代スタイルのジャズといってもいいのかもしれない。

曲は6曲すべてオリジナル。演奏は素晴らしく、期待を裏切ってくれなかった。トランペットには日野皓正と大野俊三が曲によって入っていて、彼らの演奏も実に良い。脂が乗り切ってる感じ。

プロデュースはカーターの親分的な存在だったウッディ・ショウなのですが、彼自身がトランペットを吹かずに日野に吹かせているあたりの経緯は何か面白い話がありそうだ。

コルトレーン・チェンジを意識した曲や、マイナーブルースでのカーターのソロも実に子気味良い。このくらい上手に吹けたらいいのになあ。とため息をついてしまうのでありました。スタイル的にも個人的にはコルトレーン・タイプのこの手のスタイルが好き!

このアルバム、昨年あたりにオランダのタイムレス・レーベルの復刻シリーズで出ているので、まだ探せば安く手に入るかも。ちなみに私はうっかり同じものを二枚買ってしまいました。

アルバム紹介というよりミュージシャン紹介的な文章になってしまったので、カーターの入っているウッディ・ショウのアルバム名もご紹介しますね。

二枚ありますがどちらもコロンビア盤
一枚はStepping Stones、

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   STEPPING STONES
そしてもう一枚は Rose Woodというアルバム。
個人的にはライブ演奏の生々しさと白熱した演奏が聴ける前者をお勧めします。

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      ROSE WOOD



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